1級ファイナンシャルプランニング技能士の取り方|学科と実技の2段階・面接vs記述の選び方・450時間の学習戦略

1級ファイナンシャルプランニング技能士(FP1級)

受験資格(学科)

FP2級合格+1年以上の実務経験、または5年以上の実務経験
きんざい学科試験のみ。CFP6科目合格者は学科免除

難易度

★★★★
学科合格率10〜15%が最大の関門。実技は80〜90%と高い

勉強時間の目安

450〜600時間(学科中心)
FP2級合格者で8〜10ヶ月が標準。実技は別途2〜3ヶ月

合格率

学科:10〜18% / 実技:75〜90%
2025年9月学科:15.4%・FP協会実技2025年9月:75.6%

試験頻度・受験料

学科:年3回(5・9・1月)
きんざい学科8,900円+実技28,000円 / FP協会実技20,000円

キャリア価値

★★★★
FP最高峰の国家資格。金融・保険・不動産の最上位証明

お金のプロフェッショナルとしての最高峰を証明する国家資格が1級ファイナンシャルプランニング技能士(FP1級)です。ライフプランニング・税制・不動産・保険・相続・金融資産運用の6分野にわたる高度な専門知識を持ち、富裕層・中小企業経営者・相続案件など複雑なケースに対応できるファイナンシャルプランナーを国が認定する国家資格です。

試験は学科(きんざいのみ実施)と実技(きんざい・FP協会)に分かれており、学科の合格率が10〜15%と非常に低く、ここが最大の関門です。一方、実技は学科合格者のみが受験できるため合格率75〜90%と高く、FP1級取得のカギは学科試験にあります。

目次

FP1級とはどんな資格か

FP1級(1級ファイナンシャルプランニング技能士)は、厚生労働大臣が認定した職業能力開発促進法に基づく国家検定です。FP技能士は3級(入門)→2級(実務レベル)→1級(専門家レベル)の段階があり、1級は日本のFP資格の最高位に位置します。一度合格すれば資格は永続的に有効で、更新制度はありません(民間資格のCFP・AFPとは異なる点)。

試験は「きんざい(一般社団法人金融財政事情研究会)」と「日本FP協会(NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会)」の2団体が実施機関ですが、学科試験はきんざいのみが実施しており、FP協会では実技試験のみを実施しています。どちらの機関で合格してもFP1級の資格価値は同等です。

FP2級との大きな違い

項目 FP2級 FP1級
試験方式 CBT方式(通年・テストセンター) 紙試験(ペーパー方式)・学科と実技は別日
受験資格 FP3級合格またはAFP認定研修修了など FP2級合格+1年以上の実務経験、または5年以上の実務経験
学科合格率 約20〜30% 約10〜15%(きんざいのみ実施)
出題レベル 個人・家庭向けの標準的なFP知識 富裕層・法人・相続・高度な税務など専門家レベル
実技試験 学科と同日・CBT方式 学科合格後に受験(きんざい:面接形式、FP協会:記述式)
資格の更新 なし(FP技能士は永続) なし(FP技能士は永続)
勉強時間 200〜400時間 450〜600時間(学科中心)

受験資格:実務経験が必須

学科試験(きんざいのみ)の受験資格

FP1級学科試験の受験資格は以下のいずれかを満たす必要があります。

条件 内容
①FP2級合格+実務経験 FP技能検定2級の合格者で、FP業務に関し1年以上の実務経験を有する者
②実務経験のみ FP業務に関し5年以上の実務経験を有する者
③金融渉外技能審査 厚生労働省認定金融渉外技能審査2級の合格者で、1年以上の実務経験を有する者

実技試験の受験資格(きんざい・FP協会共通)

条件 内容
①学科合格者 1級FP技能検定の学科試験に合格した者(合格から翌々年度末までが受験期限)
②CFP資格保有者 FP協会のCFP認定者またはCFP資格審査試験(6科目)合格者
③FP養成コース修了者 きんざいのFP養成コース修了者で、FP業務に関し1年以上の実務経験を有する者

学科合格後に実技を受験できる期限は「合格から翌々年度末まで」です。例えば2025年9月学科合格者の実技受験期限は2027年度末まで。期限を過ぎると再度学科から受験が必要になりますので注意してください。

試験の構成:学科→実技の2段階

試験 実施機関 形式 試験時間 合格基準 頻度
学科試験 きんざいのみ 基礎編:マークシート50問
応用編:記述式5題15問
各150分(計300分・午前基礎+午後応用) 200点満点中120点以上(60%以上) 年3回(5・9・1月)
実技試験(きんざい) きんざい 口頭試問(面接形式)2回・約12分×2 設例確認15分+面接各12分 200点満点中120点以上(60%以上) 年3回(6・10・2月)
実技試験(FP協会) 日本FP協会 記述式(択一・語群選択・空欄記入・論述)2題20問 120分 200点満点中120点以上(60%以上) 年1回(9月)

学科試験と実技試験は同日に受験できず、学科合格後に実技を申込む流れになります。また実技試験はきんざい(面接形式)とFP協会(記述形式)のいずれかを選べます。面接が苦手な方はFP協会の記述式を選ぶ戦略もあります。

2025〜2026年度 試験日程(参考)

区分 試験 試験日(2025年度)
きんざい 学科 第1回(5月試験) 2025年5月25日(日)
第2回(9月試験) 2025年9月14日(日)
第3回(1月試験) 2026年1月25日(日)
きんざい 実技 6月試験 2025年6月(学科5月合格者以降対象)
10月試験 2025年10月(学科9月合格者以降対象)
2月試験 2026年2月(学科1月合格者以降対象)
FP協会 実技 9月試験(年1回) 2025年9月14日(日)

2026年度の詳細な日程は各機関の公式サイトで随時発表されます。学科試験の合格発表はきんざい・FP協会ともに試験日から約1〜2ヶ月後です。受験料の振込締切・申込方法は機関・試験回によって異なるため、必ず公式サイトで最新情報を確認してください。

受験料

試験区分 受験料(税込)
きんざい 学科試験 8,900円
きんざい 実技試験(資産相談業務) 28,000円
FP協会 実技試験(資産設計提案業務) 20,000円
きんざい 学科+実技(合計) 36,900円

実技試験の受験料が高額な点は要注意です。受験申請後は理由を問わず返金されないため、実技受験前に十分な準備を整えてから申込をすることをおすすめします。

合格率の実態:学科こそが最大の関門

試験回 試験日 受験者数 合格者数 合格率
2025年9月(学科) 2025年9月14日 3,764名 580名 15.4%
2025年5月(学科) 2025年5月25日 18.75%
2025年9月(FP協会実技) 2025年9月14日 1,338名 1,012名 75.6%
きんざい実技(平均) 約80〜85%

学科試験の合格率は平均10〜15%と非常に低く、FP1級取得の最大のハードルです。ただし受験者の中には会社から指示されて準備不足のまま受験する層も含まれており、十分な準備をした受験者の合格率はこれより高いと考えられます。実技試験は学科合格者(またはCFP6科目合格者)のみが受験するハイレベルな母集団のため、合格率75〜90%と高くなっています。

出題科目:FP2級と同じ6分野をより深く

分野 主な出題内容(1級レベル)
ライフプランニングと資金計画 高度な資金計画・社会保険の応用・中小企業向け保険・事業承継関連
リスクと保険 法人契約の税務・生命保険・損害保険の複雑な契約形態・保険会社の財務
金融資産運用 デリバティブ・オプション取引・ポートフォリオ理論・外国為替・金融規制
タックスプランニング 法人税・所得税の複雑な課税計算・税効果会計・国際税務・消費税の高度論点
不動産 都市計画法・建築基準法の詳細・不動産投資分析・賃貸経営の税務・区分所有法
相続・事業承継 相続税・贈与税の精密な計算・遺言・信託・事業承継対策・納税資金の確保

特に学科試験の応用編は記述式で、単なる知識の暗記ではなく「なぜそのような処理をするのか」という理論的背景まで含めた深い理解が問われます。また過去問に登場しない士業レベルの難問も出題されることがあり、幅広い知識の習得が必要です。

FP1級で開けるキャリア

独立系FPとしての信頼性の証明

資産運用・相続対策・事業承継・ライフプランなど高度なコンサルティングを提供する独立FPにとって、FP1級は顧客への最高の信頼証明です。富裕層・中小企業経営者を対象としたコンサルティング案件では、FP1級の保有が受注の差別化要因になります。

金融機関・保険会社・証券会社でのキャリアアップ

銀行・証券会社・保険会社・信託銀行などの金融機関において、FP1級は上位職・専門職への昇格評価として高く評価されます。富裕層担当・プライベートバンキング・法人営業・相続コンサルタントなど、より専門性の高いポジションへの異動・昇格でアドバンテージになります。

税理士・弁護士・司法書士との連携業務

相続・事業承継案件では、税理士・弁護士・司法書士と連携しながら総合的な資産対策を提案するFPとして活躍できます。FP1級の知識はこれら士業の業務領域と重複する部分が多く、専門家として対等に議論・連携できる能力の証明になります。

CFPとのダブルライセンス戦略

FP1級とCFP(Certified Financial Planner)のダブル取得は、国際的にも通用するファイナンシャルプランナーとしての最高の証明になります。CFP6科目合格者はFP1級の学科試験が免除されるため、CFP取得後にFP1級実技を取得するルートは非常に効率的です。逆にきんざいの学科からFP1級を目指す方も、最終的にCFPとのダブル取得を目標にする方が多くいます。

合格のための学習戦略

FP2級の内容を完全に固めてから学科に臨む

FP1級学科試験は、FP2級の内容を前提として大幅に深化・拡張した問題が出題されます。FP2級の知識に不安がある場合は、まず2級レベルの復習から始めることが効率的です。特にタックスプランニング(所得税・法人税)と相続・事業承継は1級で大幅に範囲が広がるため、重点的な学習が必要です。

応用編の記述式対策:過去問の徹底分析

学科の応用編は記述式で、計算過程・理由の記述が求められます。きんざいの公式サイトで公開されている過去問5〜7年分を時間を測って解き、採点基準と照らし合わせることが最も効果的な対策です。応用編は5問中2〜3問が毎回繰り返し出題される典型的なテーマ(贈与税・相続税・不動産所得の計算等)があるため、得点源にしましょう。

最新の法改正・税制改正に常にアンテナを立てる

FP1級の学科では毎回のように直近の法令改正に絡む問題が出題されます。税制改正(毎年4月施行)・社会保険改正・金融規制の変更などをニュースや専門誌で把握し、試験直前に重要改正点を整理しておくことが差をつけるポイントです。

実技(きんざい面接)は設例を深く読み込む

きんざいの実技は面接形式で、面接15分前に渡された設例をもとに2回の面接(各約12分)が行われます。不動産・相続事業承継分野が圧倒的に多く出題されるため、これらの分野の典型的な相談事例に対する回答パターンを身につけておくことが重要です。学科合格から実技試験まで約3ヶ月あるため、学科合格後すぐに実技対策を開始することをおすすめします。

よくある質問

Q. FP2級を持っていないと受験できませんか?

学科試験の受験資格として「FP2級合格+1年以上の実務経験」が最も一般的ですが、「5年以上のFP実務経験」があればFP2級なしでも学科受験が可能です。ただし実務経験をゼロから積むよりも、FP2級を取得してから1年以上の実務経験を経るルートが最も現実的です。

Q. CFP(民間資格)とFP1級(国家資格)はどちらが格上ですか?

性格が異なるため単純な比較はできません。CFPは日本FP協会が認定する民間資格で国際認知度が高く、6科目の試験と更新制度があります。FP1級は厚生労働大臣名で認定される国家資格で更新不要です。ビジネス上の信頼性・対外的な認知という面ではダブル取得が最も強力です。なお、CFP6科目合格者はFP1級学科が免除されるため、CFP→FP1級実技のルートは効率的です。

Q. 独学で合格できますか?

合格者の中に独学者も一定数います。ただし学科の応用編(記述式)は採点基準が公開されておらず、独学では自己採点の精度に限界があります。通信講座や資格スクールを活用することで、記述答案の質と試験時の時間配分の精度が大幅に上がります。合格率10〜15%という難易度を考えると、学科試験対策には外部サービスの活用が費用対効果の高い選択です。

まとめ

FP1級は、金融・税務・不動産・相続の専門家として国が認定する最高峰の国家資格です。学科合格率10〜15%という難関ですが、独立FPとしての信頼性向上・金融機関でのキャリアアップ・CFPとのダブルライセンスなど、取得後の活用価値は非常に高い資格です。

学科試験は年3回(5月・9月・1月)実施されます。受験資格の「FP2級合格+1年以上の実務経験」を満たした段階で、きんざいの過去問と公式テキストを中心に450〜600時間の学習計画を立て、計画的に挑戦しましょう。受験申込は各機関の公式サイト(kinzai.or.jp / jafp.or.jp)で最新情報を確認してください。

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