「士業」とは、名称や業務が法律で定められた国家資格の総称で、資格名に「士」の字が付くものが多いことからこう呼ばれます。その中でも法律実務に携わる主要な8つの資格をまとめて「8士業」、さらに2つを加えた10資格を「10士業」と呼びます。
- 弁護士
- 司法書士
- 行政書士
- 社会保険労務士
- 弁理士
- 税理士
- 土地家屋調査士
- 海事代理士
- 弁護士
- 司法書士
- 行政書士
- 社会保険労務士
- 弁理士
- 税理士
- 土地家屋調査士
- 海事代理士
- 不動産鑑定士
- 建築士
8士業と10士業の最大の違いは、「職務上請求」ができるかどうかです。
たとえば、司法書士が相続登記を行う際に被相続人の戸籍を収集したり、行政書士が在留資格申請のために住民票を取得したりするケースが該当します。
| 区分 | 職務上請求 | 対象書類 |
|---|---|---|
| 8士業 | ✅ できる | 住民票・戸籍謄本・戸籍附票など |
| 10士業のみ(不動産鑑定士・建築士) | ❌ できない | — |
法律業務全般を扱う法曹三者の一角。訴訟代理・法律相談・示談交渉など法律に関するほぼあらゆる業務を行うことができます。他の士業が行える業務のほとんどを弁護士も行うことができ、士業の中で最も広範な業務範囲を持ちます。
不動産・法人の登記申請書類の作成・代理が主な業務。相続登記や会社設立登記など、法務局への手続きに関するプロフェッショナルです。認定司法書士は140万円以下の民事紛争について簡易裁判所での訴訟代理も行えます。
官公署への申請書類作成・代理を専門とする資格。建設業許可・飲食店営業許可・外国人の在留資格申請など、行政手続き全般を幅広く担います。独立開業しやすい資格として知られ、毎年多くの方が目指す人気資格です。
労働・社会保険に関する法律の専門家。企業の人事・労務管理から社会保険手続きまで幅広く担います。年金・労働保険に関する書類作成は社労士の独占業務であり、企業の法令遵守に欠かせない存在です。
特許・商標・意匠など知的財産権の専門家。発明や商標を保護するための出願代理が主な業務です。技術的知識と法律知識を兼ね備えた専門職として、メーカーや特許事務所で高い需要があります。
税務申告・税務相談の専門家。個人・法人を問わず、税務書類の作成・代理が独占業務です。相続税申告では戸籍謄本など多くの公的書類が必要になるため、職務上請求が重要な役割を果たします。
土地・建物の現況を調査・測量し、表示に関する登記申請を代理する専門家。新築時の建物表示登記や土地の分筆・合筆登記は土地家屋調査士だけが代理できます。
船舶の登録・検査申請など、海事に関する行政手続きを代理する専門家。「海の行政書士」とも呼ばれ、海運業界では欠かせない存在です。8士業の中では最もニッチな資格ですが、競合が少なく専門性が高い点が特徴です。
以下の2資格は10士業には含まれますが、8士業には含まれません。職務上請求権は持たないものの、国家資格として重要な独占業務を持つ専門職です。
不動産の経済価値を判定・評価する専門家。公示地価の評価や相続・裁判に用いる不動産鑑定評価書の作成は不動産鑑定士だけが行える独占業務です。合格者数が少なく希少価値が高い難関資格です。
建物の設計・工事監理を行う国家資格。建物の規模によって一級・二級・木造建築士の区分があり、一定規模以上の建築物の設計・工事監理は建築士でなければ行えません。設計事務所・ゼネコン・ハウスメーカーなど幅広い分野で活躍できます。
| 資格名 | 8士業 | 10士業 | 職務上請求 | 主な業務 |
|---|---|---|---|---|
| 弁護士 | ✅ | ✅ | ✅ | 訴訟代理・法律相談 |
| 司法書士 | ✅ | ✅ | ✅ | 登記申請書類の作成・代理 |
| 行政書士 | ✅ | ✅ | ✅ | 官公署への申請書類作成 |
| 社会保険労務士 | ✅ | ✅ | ✅ | 労働・社会保険書類の作成 |
| 弁理士 | ✅ | ✅ | ✅ | 特許・商標の出願代理 |
| 税理士 | ✅ | ✅ | ✅ | 税務申告・税務相談 |
| 土地家屋調査士 | ✅ | ✅ | ✅ | 表示登記申請の代理 |
| 海事代理士 | ✅ | ✅ | ✅ | 海事行政手続きの代理 |
| 不動産鑑定士 | — | ✅ | — | 不動産鑑定評価書の作成 |
| 建築士 | — | ✅ | — | 建築物の設計・工事監理 |
8士業と10士業の最大の違いは「職務上請求権の有無」です。8士業はすべて職務上請求権を持ち、業務上必要な場合に住民票・戸籍謄本などの公的書類を取得できます。一方、10士業のみに含まれる不動産鑑定士・建築士はこの権限を持ちません。資格選びの際は「どんな業務を担うか」だけでなく、こうした法的権限の違いも理解しておくと、資格の活かし方がより明確になるでしょう。
