証券外務員資格(一種・二種外務員)
受験資格
なし(一般受験者)
金融機関勤務者は会社経由で申込。一種は二種合格なしで直接受験可
難易度
★★★
合格率65〜75%。一種はデリバティブ取引の計算問題が最大の難所
勉強時間の目安
二種:50〜80時間 / 一種:80〜100時間
金融知識ゼロの場合は2ヶ月程度の学習期間を確保
合格率
一種:66〜75% / 二種:65〜71%
合格基準:7割以上(一種440点中308点・二種300点中210点)
試験・受験料
通年(土日祝・年末年始除く)・12,169円(税込)
CBT方式・全国テストセンター。不合格後30日の再受験待機期間あり
金融・証券業界需要
★★★
証券・銀行・保険の金融機関での証券業務に必須。金融業界の入門資格
証券会社・銀行・保険会社などの金融機関で株式・投資信託・債券などの有価証券の販売・勧誘を行うすべての人が取得しなければならないのが証券外務員資格です。金融商品取引法に基づき、外務員として登録を受けるためにはこの試験への合格が義務付けられています。日本証券業協会が実施するこの試験は、金融業界に就職・転職する方の「最初の登竜門」として広く知られています。
一種外務員と二種外務員の2グレードがあり、取り扱える金融商品の範囲が異なります。合格率は65〜75%と比較的高い水準ですが、受験者の多くが「仕事上必要だから受験する」層であり、しっかり準備した上で受験していることを考えると、油断は禁物です。CBT方式で通年受験可能なため、自分のペースで学習計画を立てられます。
証券外務員とはどんな資格か
外務員資格試験は「金融商品取引法などの関連法令や規則、金融商品や証券市場に関する基本的な知識について、一定の習得度を確認するための試験」として日本証券業協会が実施しています。合格後に外務員登録を行うことで、証券業務(有価証券の売買の勧誘・注文の受付・売買の媒介等)を合法的に行えるようになります。
近年は証券会社・銀行の金融機関勤務者だけでなく、「金融に関心のある学生」「株式投資を新たに始める方」「証券市場の基礎知識を身につけたい方」など、一般の方の受験も増えています。
一種と二種の違い:取り扱える商品範囲が決定的に違う
| 項目 | 二種外務員 | 一種外務員 |
|---|---|---|
| 取扱える金融商品 | 株式・公社債・投資信託等の現物取引 | 二種の商品に加え、信用取引・デリバティブ取引(先物・オプション)・全ての金融商品 |
| 試験難易度 | ★★★★★ | ★★★★★(やや難) |
| 試験問題数・配点 | 〇×問題70問(1問2点)+五肢選択問題30問(1問10点)=計300点 | 〇×問題70問(1問2点)+五肢選択問題30問(1問10点)=計440点(一種固有の科目が加わる) |
| 合格基準 | 300点中210点以上(7割以上) | 440点中308点以上(7割以上) |
| 合格率 | 65〜71% | 66〜75%(二種取得者の受験が多いため高め) |
| 勉強時間目安 | 50〜80時間 | 80〜100時間 |
| 受験前提 | なし(直接受験可) | なし(二種合格なしで直接受験可) |
| 受験料 | 12,169円(税込) | 12,169円(税込) |
一種は二種の上位資格ですが、二種に合格していなくても一種を直接受験できます。金融機関から「一種の取得」を求められている場合は、二種をスキップして一種から受験する戦略も有効です。ただし一種の出題には二種の範囲も含まれているため、知識ゼロからの受験では相応の準備が必要です。
試験の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | 一般受験者:なし(年齢・学歴・職種不問)。金融機関・証券業協会員の役職員は会社経由での申込 |
| 試験形式 | CBT方式(全国テストセンターのPC受験)・マウス操作で解答 |
| 出題形式 | 〇×問題(1問2点)+五肢択一問題(1問10点)の混合 |
| 試験頻度 | 通年(月曜日〜金曜日・土日祝日・年末年始休業を除く) |
| 受験料 | 12,169円(税込)※2025年3月3日以降の申込分から改定 |
| 申込方法(一般) | プロメトリック株式会社のウェブサイトまたは電話で申込・希望日時・会場を選択 |
| 予約受付期間 | 試験日の60日前〜試験日の5営業日前まで(申込翌日を1日目として5日目以降・1ヶ月以内で選択) |
| 再受験制限 | 不合格の場合、再受験まで30日間の待機期間あり |
| 合否発表 | 試験終了直後に画面上で即時判定。当日発行の通知書が資格証明書になる |
| 外務員登録 | 合格後に金融機関を通じて日本証券業協会に外務員として登録することで証券業務が可能になる |
| 予約変更・キャンセル | 予約確定後は日程変更・キャンセル不可。受験しなくても受験料の返金なし |
| 主催 | 一般社団法人日本証券業協会(委託実施:プロメトリック株式会社) |
出題範囲:法令・諸規則と商品業務の2分野
二種外務員の出題科目
| 分野 | 主な出題内容 |
|---|---|
| 法令・諸規則 | 金融商品取引法・証券業協会の規則・外務員の資格・行為規制・適合性原則・禁止行為 |
| 証券市場の基礎知識 | 証券市場の仕組み・発行市場・流通市場・取引所・価格形成 |
| 株式業務 | 株式の種類・発行・配当・株主権・株式売買の仕組み・上場・公開・増資 |
| 債券業務 | 債券の種類・発行・利回り計算・価格変動・国債・社債・格付け |
| 投資信託・投資法人業務 | 投資信託の仕組み・種類・基準価額・分配金・ETF・REITの基礎 |
| 財務諸表・企業分析 | 貸借対照表・損益計算書の読み方・財務指標・企業価値評価の基礎 |
| 経済・金融の基礎知識 | 景気指標・金融政策・為替・物価の基礎的な理解 |
一種外務員の追加科目(二種の範囲に加えて出題)
| 分野 | 主な出題内容 |
|---|---|
| 信用取引 | 信用取引の仕組み・委託保証金・追い証・株式の空売り・決済方法 |
| 先物取引(デリバティブ) | 株価指数先物・長期国債先物の仕組み・証拠金・損益計算 |
| オプション取引 | コールオプション・プットオプションの仕組み・プレミアム計算・損益分析 |
| 特定店頭デリバティブ取引等 | スワップ取引・店頭デリバティブの仕組み |
一種試験の最大の難所はデリバティブ取引(先物・オプション)の計算問題です。先物取引の損益計算・オプションのプレミアム算定・損益分析など、数式を使った問題が出題されます。ここでつまずく受験者が多いため、重点的な対策が必要です。
証券外務員資格で開けるキャリア
証券会社での証券業務
証券会社の営業職・窓口担当として株式・投資信託・債券の売買注文受付・勧誘・資産運用提案を行うためには外務員登録が必須です。特に一種外務員は信用取引・デリバティブ取引も取り扱えるため、富裕層・法人顧客への高度な運用提案に不可欠な資格です。
銀行・信用金庫の窓口・投資相談業務
銀行・信用金庫での投資信託・国債・仕組債の窓口販売・資産運用相談では外務員資格が必要です。銀行の総合職・リテール営業担当として顧客の資産形成をサポートするキャリアの入り口となります。FP(ファイナンシャルプランナー)資格と組み合わせることで、より包括的な資産相談ができる専門家として差別化できます。
保険会社・生損保の窓口・運用商品販売
保険会社での変額保険・投資型保険の販売業務においても外務員登録が求められる場合があります。生命保険募集人資格と外務員資格の両方を持つことで、保険と証券を組み合わせた総合的な資産形成提案が可能になります。
証券・金融業界への就職・転職の武器として
金融業界未経験から証券会社・銀行・投資会社への転職を目指す方にとって、証券外務員資格(特に一種)は「金融の基礎知識を証明できる客観的な指標」として採用評価に活用されます。内定後に取得を求められるケースも多いですが、入社前に取得しておくことで入社後すぐに業務に就けるアピール材料になります。
個人投資家としての知識向上
「株式投資を始めるために基礎知識を身につけたい」という個人投資家が受験するケースも増えています。証券外務員試験の学習内容(株式・債券・投資信託の仕組み・財務分析・金融規制)は、個人の資産運用判断力を高める実用的な知識として直結します。
難易度と学習の実態
合格率65〜75%という数字だけ見ると「簡単」に見えますが、受験者の多くが金融機関勤務者や内定者であり、真剣に準備して受験しています。「ちょっと勉強すれば受かる」という認識での受験は不合格リスクが高く、不合格後は30日間の待機期間が発生することも忘れてはなりません。
| 受験者の背景 | 勉強時間目安(二種) | 勉強時間目安(一種) |
|---|---|---|
| 金融業界経験あり・金融知識が豊富 | 20〜40時間 | 40〜60時間 |
| 金融系学部出身・基礎知識あり | 40〜60時間 | 60〜80時間 |
| 金融知識ゼロ・未経験からの受験 | 60〜80時間 | 80〜100時間以上 |
合格のための学習戦略
公式テキスト(外務員必携)と市販問題集の組み合わせ
証券外務員試験の公式テキストは「外務員必携」(日本証券業協会発行)ですが、内容が膨大で試験対策用としては使いにくい面があります。市販の試験対策テキスト・問題集(「うかる!証券外務員」シリーズが定評あり)を中心に、公式テキストを参照書として補完的に使う学習スタイルが多くの合格者に採用されています。
〇×問題は暗記・五肢選択問題は理解を重視
試験は〇×問題(1問2点)と五肢選択問題(1問10点)の混合形式です。五肢選択問題は配点が高いため重点的に対策が必要です。「何日以内に」「何%以上」といった具体的な数値・期限を問う問題が多いため、細かい数字の暗記が求められます。一方で「なぜそのルールがあるのか」という背景理解があると、細部の数字が頭に残りやすくなります。
デリバティブ(一種)の計算問題は早期着手を
一種試験の難所であるデリバティブ取引の計算問題は、理解に時間がかかる内容です。先物取引の損益計算・オプションのプレミアム・損益図の読み取りを学習計画の早い段階から着手し、繰り返し練習問題を解くことで確実に得点源にしましょう。電卓は使用不可のため、計算を素早く暗算・筆算で行う訓練も必要です。
不合格後の30日待機を避けるために十分な準備を
証券外務員試験は不合格後に30日間の再受験待機期間があります。内定先から資格取得の期限を設けられているケースでは、この待機期間が大きなリスクになります。受験日は学習が十分に仕上がった段階で設定し、余裕を持ったスケジュールで臨みましょう。
よくある質問
Q. 二種に合格してから一種を受験すべきですか?それとも一種を直接受験すべきですか?
就職先・転職先から「一種取得」を求められている場合は一種から直接受験することをおすすめします。二種合格は一種試験の科目免除にはならないため、二種を取得してから一種を受験しても学習の手間がほとんど変わりません。ただし知識ゼロの場合は一種の出題範囲が広いため、二種で基礎固めをしてから一種に進む方が学習しやすいケースもあります。
Q. 試験結果は内定先の会社に伝わりますか?
試験結果は日本証券業協会の会員である金融機関から照会があった場合に回答される可能性があります(公式サイトに記載)。就活・転職中で内定先から受験を求められている場合は、この点を把握した上で受験してください。
Q. 合格後に「外務員登録」しないと資格は無効になりますか?
試験に合格しただけでは外務員として証券業務を行うことはできません。合格後に所属する金融機関を通じて日本証券業協会に外務員登録を行うことが必要です。一般の方(金融機関に所属していない方)が試験に合格した場合も、外務員登録は所属会社が決まってから行う形になります。試験合格の事実自体は失効しません。
まとめ
証券外務員資格は、証券・銀行・保険などの金融機関で有価証券の販売・勧誘業務を行うための必須資格です。合格率65〜75%・CBT方式通年受験という取り組みやすさと、金融業界就職・転職への直結性から、金融業界を目指すすべての方が取得すべき資格です。
受験料は12,169円(税込)で、不合格後は30日間の再受験待機期間があります。市販問題集を活用した50〜100時間の計画的な学習で、ほとんどの方が一発合格を目指せます。プロメトリック株式会社の公式サイトで自分の都合に合わせて試験日時を選択し、受験計画を立てましょう。
