証券アナリスト(CMA:日本証券アナリスト協会認定アナリスト)
受験資格
通信教育講座の受講が必須
1次・2次ともに協会の通信講座受講後に受験可。学歴・年齢不問
難易度
★★★★★
1次科目別合格率50〜55%・2次合格率約50%(相対評価)。計2〜4年超の長期戦
勉強時間の目安
1次:200〜400時間 / 2次:200〜300時間
CMA取得までの総合学習時間は500〜800時間以上が一般的
合格率
1次(科目別):50〜55% / 2次(総合):約50%
2025年秋1次:受験者4,725名・合格者2,492名・合格率52.7%
費用の目安
協会講座:1次69,000円+2次約57,000円(税込)
2026年度より1次講座受講料改定。別途市販教材・予備校費用が必要
金融業界キャリア需要
★★★★★
銀行・証券・保険・運用会社の昇格に直結。金融業界の「パスポート資格」
証券市場・資産運用の分野における高度な専門知識と分析能力を証明する資格が証券アナリスト(CMA:Certified Member Analyst of the Securities Analysts Association of Japan)です。公益社団法人日本証券アナリスト協会が認定するこの資格は、銀行・証券会社・生命保険会社・投資運用会社などの金融機関において昇格・昇給・専門職認定の条件として広く活用されており、金融業界の「パスポート資格」として知られています。
CMAの取得には「通信教育講座の受講→試験合格→実務経験3年」という独特のプロセスが必要で、最短でも2〜3年かかる長期プロジェクトです。1次試験(3科目)と2次試験(記述式含む)の2段階を突破した上で、3年間の実務経験を証明して協会入会申請を行うことでCMAを名乗ることができます。
証券アナリスト(CMA)とはどんな資格か
CMAは「証券投資の分野において高度の専門知識と技能を持つ者として、日本証券アナリスト協会が認定する検定会員(Certified Member Analyst)」です。単なる試験資格ではなく、試験合格に加えて3年間の実務経験と協会への加入が必要な点で他の資格と大きく異なります。
2025年11月時点の2次合格者の業態別構成比は、銀行(信託銀行・投資銀行含む)25.1%・証券会社21.4%・生損保13.0%・投資運用・助言・代理等9.7%・事業会社等6.5%という構成になっており、金融機関勤務者が中心ですが事業会社のIR・M&A担当からの取得も増加傾向にあります。
CMA取得までの全体像:最短3〜4年かかる長期プロセス
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| ①1次レベル通信講座受講 | 協会の通信教育講座を受講(受講料:一般69,000円・会員63,000円。2026年度から改定)。課題レポートの提出が必要 | 約1年 |
| ②1次試験受験・合格 | 3科目(科目Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)を受験。年2回(春・秋)実施。受講翌年から3年間に各科目を合格する | 1〜3年 |
| ③2次レベル通信講座受講 | 1次全科目合格後、2次レベル通信講座を受講(受講料:約57,000円) | 約1年 |
| ④2次試験受験・合格 | 年1回(6月第1週頃)の試験を受験。受講翌年から3年間で計3回の受験機会 | 1〜3年 |
| ⑤実務経験3年の取得・入会申請 | 証券アナリスト業務に関する3年間の実務経験を取得後、協会への検定会員入会申請を行う | 3年(試験合格と並行可) |
| ⑥CMA(検定会員)として認定 | 入会申請承認後、「CMA(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)」を名乗って活動可能 | 申請から数ヶ月 |
実務経験3年は試験合格前から積み上げることができるため、金融機関勤務者であれば試験合格後すぐに入会申請できるケースもあります。
【重要】2026年度から1次レベル講座の受講料が改定
諸物価の上昇を反映し、2026年度(2026年5月20日申込受付開始)から1次レベル講座の受講料が改定されます。
| 区分 | 改定前 | 改定後(2026年度〜) |
|---|---|---|
| 一般受講者 | 変更前の金額 | 69,000円(税込) |
| 会員受講者 | 変更前の金額 | 63,000円(税込) |
2次レベル講座の受講料は約57,000円程度です。協会講座の受講料だけで合計12〜13万円、さらに市販教材・予備校費用を合わせると総費用は20〜30万円以上になる本格的な資格です。
1次試験の詳細
| 科目 | 試験時間・配点 | 出題内容 |
|---|---|---|
| 科目Ⅰ | 170分・170点満点 | ①証券分析とポートフォリオ・マネジメント(全配点) |
| 科目Ⅱ | 100分・100点満点 | ②財務分析(約75%)+③コーポレート・ファイナンス(約25%) |
| 科目Ⅲ | 90分・90点満点 | ④市場と経済の分析(約60%)+⑤数量分析と確率・統計(約20%)+⑥職業倫理・行為基準(約10%)・足切りあり |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験頻度 | 年2回(春:4〜5月頃・秋:9〜10月頃)の全国一斉試験 |
| 受験可能期間 | 受講翌年から3年間(計6回の受験機会。うち3科目すべてに合格が必要) |
| 科目合格制 | 科目ごとに個別合格・有効期限は3年間(受講年を含む) |
| 出題形式 | マークシート方式・すべて択一問題(計算問題・穴埋め問題含む) |
| 合否判定 | 上位一定割合の受験者の平均得点を基準とする相対評価 |
| 科目Ⅲの特別基準 | 総得点が合格基準を超えても「職業倫理・行為基準」の得点が一定水準(近年約60%程度)未満なら不合格 |
| 合格率(2025年秋) | 3科目の単純合計:受験者4,725名・合格者2,492名・52.7% |
| 試験会場 | 東京(2会場)・大阪・名古屋・札幌・仙台・金沢・広島・松山・福岡 |
| 2026年春1次試験申込期間 | 2026年2月6日(金)〜3月5日(木) |
2次試験の詳細
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験頻度 | 年1回(6月第1週頃)の全国一斉試験 |
| 試験形式 | 午前・午後の2部構成・記述式問題(論文式)を含む |
| 試験科目 | 1次試験と共通の6つの学習分野を横断的に出題(科目合格制なし) |
| 受験可能期間 | 2次レベル講座受講翌年から3年間(計3回の受験機会) |
| 合否判定 | 上位一定割合の相対評価。午前・午後の両方受験が必要 |
| 職業倫理の特別基準 | 総得点が合格基準を超えても「職業倫理・行為基準」が一定水準未満なら不合格(「A(R)」と表示) |
| 不合格者への情報開示 | 不合格者には順位ランク(A〜D)を開示。Aが上位1/10・Bが上位1/4・Cが1/2以内・Dが1/2未満 |
| 受験資格失効の注意 | 3回の受験期間内に合格しなかった場合、速やかに再受講しなければ1次試験の合格実績が失効する |
| 合格後の条件 | 2次試験合格+実務経験3年の両方を満たして初めて協会入会(CMA認定)申請が可能 |
証券アナリスト(CMA)で開けるキャリア
銀行・証券会社・保険会社での昇格・専門職認定
証券アナリストは金融機関において最も重要な「昇格パスポート資格」として位置づけられています。銀行・証券会社・投資運用会社では、本部・調査部門・資産運用部門への異動・昇格の要件としてCMAを求める企業が多くあります。アセットマネジメント会社では「何年以内に取らないと不利になる」という実態もあります。
証券アナリスト(リサーチアナリスト)としてのキャリア
証券会社の株式調査部門でアナリストとして企業調査レポートを発行する職務や、資産運用会社のファンドマネージャー・投資戦略担当として活躍するキャリアでは、CMAは業界標準の必須資格です。TOPIX・日経平均等への組み入れ銘柄の分析・投資推奨・業績予想の発信を行うプロのアナリストとしての信頼性の証明になります。
コーポレートファイナンス・M&A・IR部門
事業会社のM&A担当・IR(投資家向け広報)部門・財務部門でもCMAの取得者が増えています。投資家との対話・企業価値評価・資本政策の立案において、CMAの財務分析・コーポレートファイナンスの知識が直結します。
コンサルティングファーム・監査法人
戦略コンサルティングファームや監査法人の財務・投資アドバイザリー部門でもCMAは評価されます。デューデリジェンス・企業価値評価・ファイナンシャルモデリングを担う専門家としての差別化資格として活用されています。
難易度と学習の実態
合格率だけ見ると「1次50〜55%・2次約50%」と一見合格しやすそうですが、受験者は現役の金融機関勤務者や本格的に準備した受験者が中心です。「半分以上は受かる」というより「しっかり準備した人の半分が受かる」という水準であり、実質的な難易度は合格率以上に高いといえます。
| 受験者の背景 | 1次全科目合格の目安時間 | 2次合格の目安時間 |
|---|---|---|
| 金融機関勤務・実務知識が豊富 | 150〜250時間 | 150〜200時間 |
| 経済・金融系学部卒・基礎知識あり | 200〜300時間 | 200〜250時間 |
| 他業界・金融知識がほぼゼロ | 300〜400時間以上 | 250〜350時間以上 |
合格のための学習戦略
協会テキストより市販教材・予備校が実戦的
証券アナリスト試験の合格者の多くが「協会通信講座のテキストよりも市販の教材・予備校テキストの方が試験対策に有効」と証言しています。協会の受講料は「受験資格を得るためのコスト」として割り切り、実際の学習はTAC・LEC等の予備校テキスト・過去問集・問題集を中心に行うことが効率的です。
1次科目Ⅰ(証券分析・ポートフォリオ)を最重点に
1次試験の最大の山場は科目Ⅰ(証券分析とポートフォリオ・マネジメント)です。170分・170点という最大配点を誇り、財務数学・確率・統計・デリバティブ理論・ポートフォリオ理論など数学的な理解が深く問われます。科目Ⅰに十分な時間を割り当て、数式レベルでの理解と計算力を磨くことが合格への核心です。
職業倫理・行為基準の足切りに注意
1次科目Ⅲ・2次試験ともに「職業倫理・行為基準」に足切りラインが設定されています(近年60%程度)。総得点が合格基準を超えても倫理で足切りになると不合格です。倫理は配点は小さいですが確実に得点できるよう優先的に仕上げてから本番に臨みましょう。
2次試験は記述式の「書く訓練」が必須
2次試験は記述式問題を含む論文形式で、知識をアウトプットする表現力が問われます。択一式の1次試験とは全く異なるアプローチが必要で、過去問を実際に書いてみる訓練を繰り返すことが合格への近道です。「半分程度の正答率でも合格する」という試験の特性を踏まえ、得点しやすい分野(コーポレートファイナンス・職業倫理)を確実に取ることが得点戦略の要です。
よくある質問
Q. 受講資格(学歴・職歴)はありますか?
受講資格はなく、学歴・職歴を問わず誰でも1次レベル通信講座に申込むことができます。大学生でも受講可能ですが、CMAとして認定されるには最終的に3年間の実務経験が必要です。
Q. 1次試験は科目ごとに受験できますか?
はい、科目ごとに個別受験できます(1科目だけの申込も可能)。合格した科目は3年間有効であるため、最初の受験で科目Ⅰだけ受けて合格を積み上げていく計画的な戦略も有効です。ただし3年間の受験可能期間内に3科目すべてに合格しないと、次の2次レベル講座に進めません。
Q. 2次試験の受験可能期間が終了したらどうなりますか?
2次レベル講座受講翌年から3年間の受験期間内に合格できなかった場合、速やかに再受講しなければ「第1次試験の合格実績が失効し、1次レベル講座のすべての科目からやり直し」となります。この点は非常に重要なため、2次試験の受験可能期間の管理は徹底して行ってください。
まとめ
証券アナリスト(CMA)は、金融業界の「パスポート資格」として銀行・証券・保険・運用会社での昇格・専門職認定に直結する最高峰の金融資格です。通信講座受講→1次試験→2次試験→実務経験3年という最短でも2〜3年かかる長期プロセスが必要ですが、取得後のキャリア価値は絶大です。
2026年度から1次レベル講座受講料が一般69,000円・会員63,000円に改定されます。2026年春1次試験の申込は2026年2月6日〜3月5日に受付けています。まずは日本証券アナリスト協会の公式サイト(saa.or.jp)で最新のスタディ・ガイドと講座情報を確認し、受講申込のスケジュールを立てましょう。
