建設業の必置資格・電気工事施工管理技士はなぜ今需要が高いか?1級二次60〜70%合格率と再エネ時代のキャリアを解説

電気工事施工管理技士(1級・2級)

受験資格

2級一次:17歳以上(学歴不問)
2級二次・1級:学歴に応じた実務経験が必要。令和6年度から制度改正

難易度

★★★★★
1級一次合格率35〜50%・二次60〜70%。2級一次50〜60%・二次40〜60%

勉強時間の目安

2級一次:100〜150時間 / 1級一次:150〜200時間
二次(記述式)は実務経験の整理・論述対策が別途必要

合格率

1級一次:35〜50% / 1級二次:60〜70%
2025年度1級一次:41.5%。2級一次:50〜60%・二次:40〜60%

試験・受験料

2級:年2回(一次)・受験料各7,900円(非課税)
1級:年1回・受験料各15,800円(非課税)。2025年度より受験料改定

建設業・電気工事需要

★★★★★
主任技術者・監理技術者の配置に必須。建設業の技術者不足で需要急増

電気設備工事(変電設備・動力設備・電灯設備・情報設備等)の施工管理を担う国家資格が電気工事施工管理技士です。建設業法に基づく国家資格として、一定規模以上の電気工事における「主任技術者」(2級以上)および「監理技術者」(1級のみ)に選任できる資格者として、電気工事業界で最も重要な資格のひとつです。

インフラ・工場・商業施設・再生可能エネルギー設備など電気設備工事の需要は拡大を続けており、施工管理ができる有資格者は慢性的に不足しています。転職市場でも極めて需要が高く、資格保有者には資格手当・昇格・好条件での転職という具体的なキャリアメリットが期待できます。

目次

電気工事施工管理技士とはどんな資格か

電気工事施工管理技士は、建設業法第27条に基づいて国土交通大臣が実施する技術検定の合格者に与えられる国家資格です。1級と2級に分かれており、それぞれ配置できる現場の規模・役職(監理技術者 vs 主任技術者)が異なります。

試験は「第一次検定(学科的な知識を問う択一式)」と「第二次検定(施工管理の応用力を問う記述式)」の2段階です。第一次検定の合格者には「技士補」の称号が付与され(2021年度制度改正より)、第二次検定にも合格して初めて「技士」の称号が得られます。

1級と2級の違い

項目 2級電気工事施工管理技士 1級電気工事施工管理技士
配置できる役職 主任技術者(下請け合計4,500万円未満の工事) 監理技術者・主任技術者(規模制限なし)
対象工事の規模 一般建設業許可の工事(小〜中規模) 特定建設業許可が必要な大規模工事まで対応
一次検定の受験資格 試験実施年度内に17歳以上(学歴・実務経験不問) 2級合格者または学歴に応じた実務経験が必要
試験頻度 一次:年2回(前期・後期)/ 二次:年1回(後期のみ) 一次・二次ともに年1回
受験料(一次・二次各) 各7,900円(非課税)/ 同時受験15,800円 各15,800円(非課税)
一次合格率 50〜60% 35〜50%(2025年度:41.5%)
二次合格率 40〜60% 60〜70%
一次合格の称号 2級電気工事施工管理技士補 1級電気工事施工管理技士補
両方合格の称号 2級電気工事施工管理技士 1級電気工事施工管理技士

試験の基本情報

項目 第一次検定 第二次検定
出題形式 四肢択一式(マークシート) 記述式(施工経験記述・施工管理の応用問題)
合格基準 正答率60%以上 採点基準による総合評価(正答率60%程度が目安)
試験地 全国10〜15都市(札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・那覇等) 同左
合格証明書 技士補として合格証明書交付申請可能 技士として合格証明書交付申請可能
主催 一般財団法人建設業振興基金(国土交通大臣指定試験機関)

2026年度(令和8年度)試験日程

2級電気工事施工管理技士

区分 申込受付期間(予定) 試験日(予定) 合格発表(予定)
前期:一次検定のみ 2026年3月上旬〜3月末頃 2026年6月7〜14日頃(日曜日) 2026年7月上旬頃
後期:一次検定(または一次・二次同時) 2026年7月上旬〜8月上旬頃 2026年11月8〜22日頃(日曜日) 一次:2026年12月下旬頃
後期:二次検定(後期一次と同日) 同上(後期一次と同時申込) 同上(後期一次と同日) 二次:2027年2月上旬頃

1級電気工事施工管理技士

区分 申込受付期間(予定) 試験日(予定) 合格発表(予定)
第一次検定 2026年2月上旬〜3月上旬頃 2026年7月第2〜3日曜日頃 2026年7月下旬頃
第二次検定 第一次合格発表後〜9月上旬頃 2026年10月第3日曜日頃 2027年1月上旬頃

上記日程は過去の実績をもとにした予測です。正式な試験日程は一般財団法人建設業振興基金の公式サイト(kensetsu-kikin.or.jp)で発表されます。申込を忘れると次回は翌年になるため、早めに確認・申込をしてください。

受験資格:令和6年度から改正された新制度

令和6年(2024年)度より施工管理技術検定の受験資格制度が改正されました。2024年度〜2028年度は経過措置期間として旧制度での受験も可能ですが、2029年度以降は新制度のみとなります。

2級 第一次検定(学科)

試験実施年度内に満17歳以上になる方であれば、学歴・実務経験を問わず受験できます。高校2年生以上から受験可能です。

2級 第二次検定(実地)

第一次検定合格後、学歴に応じた実務経験を積むことで受験資格が得られます。学歴・実務経験の組み合わせの詳細は建設業振興基金の受験資格要件を確認してください。

1級 第一次検定

受験資格の区分 必要な条件
2級電気工事施工管理技士合格者 2級合格後すぐに受験可(実務経験要件なし)
学歴ルート 大学・高専・高校卒業等に応じた実務経験年数(詳細は公式サイトで確認)

1級 第二次検定

1級第一次検定に合格した上で、受験資格区分に応じた実務経験(実務経験年数・指導監督的実務経験の有無)を満たす必要があります。特に2級合格ルートで1級一次を受験した方は、1級二次の受験には別途実務経験(2級合格後5年以上等)が必要です。複雑な要件のため、必ず建設業振興基金の公式サイトで自分の区分を確認してください。

第一次検定の出題内容

科目 主な出題内容 2級 1級
電気工学・電気設備 電気理論・変電設備・動力設備・照明・電気通信・情報設備の基礎 ○(より詳細)
関連分野 電気以外の建築・土木・機械・建設設備の基礎知識
施工管理法 工程管理・品質管理・安全管理・原価管理の基礎・施工計画 基礎 応用
法規 建設業法・労働安全衛生法・電気工事士法・建築基準法等

第二次検定の内容

第二次検定は記述式で、施工管理の実務応用力が問われます。最も重要な設問は「施工経験記述」で、自分が実際に従事した電気工事での施工管理の経験(工程管理・品質管理・安全管理等から選択)を具体的に記述する形式です。

設問内容 内容
施工経験記述(必須) 実際に経験した電気工事について、指定されたテーマ(品質管理・工程管理・安全管理等)に基づき具体的に記述する
施工管理・法規の知識問題 電気設備施工・材料・機器・施工管理・法規に関する空欄補充・記述問題
安全・品質管理の応用問題 現場での安全対策・施工品質確保のための具体的な措置を記述する

電気工事施工管理技士で開けるキャリア

主任技術者・監理技術者として現場を統括

建設業法では、一定規模以上の電気工事現場には主任技術者(2級以上)または監理技術者(1級のみ)の配置が義務付けられています。資格を取得することで現場責任者として施工管理全体を統括できるようになり、現場での責任と権限が大幅に拡大します。建設会社・電気工事会社での昇格・昇給に直結する資格として広く活用されています。

転職市場での圧倒的な需要

電気工事施工管理技士の有資格者は、建設業界の深刻な技術者不足を背景に転職市場で非常に高い需要があります。1級電気工事施工管理技士は「会社に1人いると特定建設業許可の要件を満たせる」という企業側のメリットから、好条件(年収500〜700万円台も多数)での転職が可能なケースが多くあります。

再生可能エネルギー・スマートグリッド分野

太陽光発電所・風力発電設備・蓄電池設備・スマートメーター等の電気設備工事の拡大を背景に、これらの分野での電気工事施工管理技士の需要が急増しています。カーボンニュートラル推進による電気設備工事の今後の需要拡大を考えると、電気工事施工管理技士の将来性は非常に高いといえます。

独立・建設業許可の要件として

電気工事会社として独立開業する際に、建設業許可(電気工事業)を取得するためには、専任技術者として1級または2級電気工事施工管理技士を配置することが要件のひとつです。独立を目指す電気工事士にとって、電気工事施工管理技士は独立開業の法的基盤を整える上で必須の資格です。

難易度と学習の進め方

受験者の背景 一次検定の勉強時間目安 二次検定の準備
電気工事の実務経験あり・第二種電気工事士等保有 80〜120時間 施工経験記述の事前作成が中心(30〜50時間)
電気工学の基礎知識あり・実務経験少なめ 120〜180時間 施工経験の整理・記述練習が必要(50〜80時間)
他業種・電気の知識が少ない 180〜250時間 施工経験そのものが少ない場合は対策が難しい

合格のための学習戦略

一次検定:過去問5〜7年分の反復が最優先

電気工事施工管理技士の一次検定は過去問から類似した問題が繰り返し出題される傾向があります。市販の過去問題集(地域開発研究所・CIC等から出版)を使って5〜7年分の過去問を繰り返し解くことが、最も効率的な対策です。正答率60%以上が合格基準のため、苦手分野を作らずに幅広い出題範囲をカバーすることが重要です。

法規は建設業法・労働安全衛生法を重点的に

一次検定の法規問題は毎年高い出題比率を占めます。特に建設業法(下請け・技術者の配置義務等)・労働安全衛生法(安全管理・特別教育・作業主任者等)・電気工事士法の重要条文は確実に習得しましょう。法令の数値(専任の義務が生じる金額・特定建設業許可の要件等)の暗記が得点に直結します。

二次検定:施工経験記述は事前に完成させる

二次検定で最も重要な「施工経験記述」は、試験本番で一から考えるのではなく、事前に自分の施工経験をもとに「品質管理」「工程管理」「安全管理」の3テーマ分の記述を完成させておくことが合格の鉄則です。出題テーマは毎年変わるため、3テーマすべて準備しておくことをおすすめします。記述は「工事概要→課題→対応策→結果」という構成で300〜400字程度を具体的に書けるよう練習しましょう。

よくある質問

Q. 電気工事士と電気工事施工管理技士はどちらを先に取るべきですか?

電気工事士(第一種・第二種)は電気工事の作業を行うための資格で、電気工事施工管理技士は現場の施工管理を担うための資格です。役割が異なるため、電気工事の現場で実際に作業を行いながらキャリアアップを目指す方はまず電気工事士を取得し、その後施工管理技士を目指すルートが一般的です。第一種電気工事士を持っていると1級電気工事施工管理技士の受験資格要件の一部が緩和される場合もあります。

Q. 2級を取らずに1級から受験できますか?

はい、学歴に応じた実務経験要件を満たしている場合は、2級を取得せずに1級から受験することも可能です。特に第一種電気工事士の資格を持ち、一定の実務経験がある方は2級をスキップして1級から挑戦するケースが多くあります。ただし2級→1級のステップアップの方が学習の積み上げが効率的なため、経験年数が短い方は2級から取得するルートを推奨します。

Q. 2級の前期と後期の違いは何ですか?

前期(6月頃)は「一次検定のみ」の実施で、二次検定は受験できません。後期(11月頃)は「一次検定のみ」「一次・二次同時」「二次検定のみ(一次既合格者)」の3パターンから選択できます。二次検定を早く受けたい方は後期に一次・二次を同時申込することが一般的な流れです。ただし同時申込の場合、一次に不合格でも二次を受験することはできません。

まとめ

電気工事施工管理技士は、電気設備工事の現場を統括する主任技術者・監理技術者として活躍するための国家資格です。建設業の技術者不足・再生可能エネルギー拡大・インフラ整備の需要増加を背景に、有資格者の市場価値はかつてなく高まっています。

2級一次は17歳以上なら誰でも受験でき、前期(6月頃)・後期(11月頃)の年2回チャンスがあります。1級は年1回のため、申込期間を確認して早めに準備を開始しましょう。詳細は一般財団法人建設業振興基金の公式サイト(kensetsu-kikin.or.jp)で確認してください。

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