社会福祉士
受験資格
学歴・実務経験による12ルート
福祉系大学卒・一般大卒+養成施設等
難易度
★★★★★
合格率55〜60%台。19科目・全科目群での得点が必要
勉強時間の目安
200〜300時間
社会人既卒者はスキマ時間の活用が鍵
合格率
55〜60%台
第38回(2026年):60.7%
試験日・受験料
年1回・2月上旬・19,370円
全国24都道府県で実施
転職需要
★★★★★
福祉・医療・教育・行政など多分野で活躍
高齢者・障害者・子ども・生活困窮者など、さまざまな困難を抱える人々の相談に応じ、必要な支援へとつなぐ専門家が「社会福祉士」です。「三福祉士(社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士)」の中で最も広い活動領域を持つ国家資格として、福祉・医療・教育・司法・行政など社会のあらゆる場所でソーシャルワーカーとして活躍できます。
かつては合格率30%前後の難関資格でしたが、近年は55〜60%台に上昇しており、計画的な準備で合格を目指せる水準になっています。福祉の専門職として本格的にキャリアを築きたいすべての方に取得をおすすめできる資格です。
社会福祉士とはどんな資格か
社会福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく国家資格です。「ソーシャルワーカー」とも呼ばれ、生活上の困難を抱える人々に対して専門的な相談援助を行うことが主な職務です。具体的には、利用者の状況を把握してニーズを明確にし、利用可能なサービスや制度を調整・提案し、関係機関と連携しながら問題解決を支援します。
介護福祉士が「身体的なケアの専門家」であるのに対し、社会福祉士は「相談援助・制度活用・地域連携の専門家」として位置づけられます。超高齢社会・孤立・貧困・家庭崩壊など複雑化する社会問題に対応する専門家として、その重要性は年々高まっています。
受験資格:12ルートから自分に合った道を選ぶ
社会福祉士試験の受験資格は12のルートが定められています。大きく分けると「福祉系大学等ルート」「一般大学等+養成施設ルート」「実務経験+養成施設ルート」の3系統です。
| 学歴・経歴 | 必要な追加要件 |
|---|---|
| 4年制福祉系大学(指定科目修了)を卒業 | なし(卒業と同時に受験資格) |
| 4年制福祉系大学(基礎科目修了)を卒業 | 短期養成施設等で6ヶ月以上修学 |
| 2〜3年制福祉系短大(指定科目修了)を卒業 | 指定施設で1〜2年以上の相談援助実務 |
| 4年制一般大学を卒業 | 一般養成施設等で1年以上修学 |
| 2〜3年制一般短大を卒業 | 指定施設で1〜2年以上の実務+一般養成施設等で1年以上修学 |
| 高校卒業・中学卒業等 | 指定施設で4年以上の実務+一般養成施設等で1年以上修学 |
社会人が働きながら目指す場合、最も一般的なのは「一般4年制大学卒業+一般養成施設(通信1年)」ルートです。通信制の養成施設(専門学校・短大)に1年通いながら実習も修了することで受験資格を取得できます。夜間通学・通信制が多く設置されているため、仕事を続けながら受験資格を得ることが可能です。
試験の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験料 | 19,370円(精神保健福祉士と同時受験の場合:36,360円) |
| 試験日 | 例年2月上旬の日曜日(年1回) |
| 申込期間 | 例年9月上旬〜10月上旬 |
| 試験会場 | 全国24都道府県 |
| 合格発表 | 例年3月上旬 |
| 試験形式 | 五肢択一を基本とする多肢選択式・筆記試験のみ |
| 問題数・配点 | 129問・1問1点(一部免除者は45点満点) |
| 試験時間 | 225分(午前:共通科目140分、午後:専門科目85分) |
| 合格基準 | 総得点60%程度(難易度補正あり)かつ6科目群すべてで得点 |
| 主催 | 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター |
試験は午前(共通科目)・午後(専門科目)の2部構成で、1日がかりの試験です。精神保健福祉士との同時受験も可能で、その場合は精神保健福祉士の専門科目が前日に実施されます。また、すでに精神保健福祉士を取得している方は共通科目が免除されます。
試験の19科目(18科目群)
社会福祉士試験は共通科目12科目と専門科目7科目の計19科目から出題されます。合格には6科目群すべてで得点することが必要で、いずれかの科目群で0点があると不合格となります。
| 区分 | 主な科目 |
|---|---|
| 共通科目(精神保健福祉士と共通) | 医学概論/心理学と心理的支援/社会学と社会システム/社会福祉の原理と政策/社会保障/権利擁護を支える法制度/地域福祉と包括的支援体制/障害者福祉/刑事司法と福祉/ソーシャルワークの基盤と専門職/ソーシャルワークの理論と方法/社会福祉調査の基礎 |
| 専門科目(社会福祉士独自) | 高齢者福祉/児童・家庭福祉/貧困に対する支援/保健医療と福祉/ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)/ソーシャルワークの理論と方法(専門)/福祉サービスの組織と経営 |
2025年の第37回試験から新カリキュラムに基づく出題が始まりました。制度・政策の最新動向・地域共生社会・権利擁護などの分野が重視されており、最新のテキストでの学習が必須です。
社会福祉士で開けるキャリア
医療ソーシャルワーカー(MSW)
病院・クリニックに勤務し、患者や家族の退院後の生活支援・経済的問題の相談・医療費制度の案内・介護サービスの調整などを担います。医療現場と福祉をつなぐ橋渡し役として、社会福祉士の活躍が最も可視化されている領域のひとつです。
地域包括支援センター
高齢者の総合相談・権利擁護・介護予防ケアマネジメントを担う地域の中核機関です。社会福祉士・主任ケアマネジャー・保健師の3職種で運営が義務付けられており、社会福祉士の配置が法律で定められています。
児童福祉・学校教育分野
児童相談所・児童養護施設・スクールソーシャルワーカー(SSW)として、虐待対応・不登校・貧困家庭の支援など、子ども・家庭に関わる複雑な問題に対応します。スクールソーシャルワーカーは学校現場へのニーズが急増しており、教育委員会や学校への配置が全国的に広がっています。
行政・相談機関
市区町村の福祉事務所・生活困窮者自立支援機関・障害者相談支援事業所・精神保健福祉センターなど、行政・公的機関での相談援助業務に就く社会福祉士も多くいます。公務員として安定した雇用を求める方にも目指しやすい職種です。
NPO・社会福祉法人でのキャリア
社会福祉協議会・NPO法人・社会福祉法人などの民間福祉機関でも社会福祉士の需要は高く、地域福祉の推進・孤立防止・居場所づくりなど、公的機関だけでは対応しきれない「すき間」の支援を担います。
難易度・勉強時間の目安
社会福祉士試験の合格率は近年55〜60%台と上昇しています。ただし19科目・全科目群での得点が必要という試験構造から、特定科目への偏った学習では合格できません。特に社会人既卒者は、新卒学生と比べて学習時間の確保が難しく、計画的な学習と過去問演習の徹底が合格の鍵です。
| 受験者の状況 | 勉強時間 | 学習期間 |
|---|---|---|
| 福祉系大学・養成施設で体系的に学んだ新卒者 | 150〜200時間 | 3〜4ヶ月 |
| 社会人既卒(養成施設修了)・福祉の実務経験あり | 200〜300時間 | 4〜6ヶ月 |
| 社会人既卒・福祉の知識・経験がほぼない | 300時間以上 | 6ヶ月〜1年 |
合格のための勉強法
科目群別の「0点」を徹底防止する
合格の最大の壁は「6科目群すべてで得点すること」です。得意分野で高得点を取っても苦手科目群で0点があれば不合格になります。19科目を均等に仕上げるには、早い段階から苦手科目を把握し、重点的に時間を配分する学習計画が不可欠です。
過去問演習と「なぜ」の理解を組み合わせる
社会福祉士試験は単純な暗記だけでは通用しません。事例問題や制度の背景・理念を問う問題が多く、「なぜその制度ができたのか」「この事例でソーシャルワーカーは何をすべきか」という文脈理解が求められます。過去問を解きながら、正解の根拠をテキストで確認し理解を深める学習サイクルが有効です。
法改正・制度変更の最新情報に対応する
社会保障・福祉制度は毎年のように改正があり、最新の制度変更が出題されます。古いテキストで学習すると制度の数値・名称が変わっている可能性があるため、必ず最新年度版のテキストを使用し、直前期には法改正情報を別途確認することが重要です。
スキマ時間を最大活用する
社会人受験者にとって最大の課題は学習時間の確保です。通勤時間・昼休み・家事の合間などスキマ時間を積み重ねることが合格への道です。スマートフォンアプリの過去問集や通信講座の動画講義を活用し、場所を選ばずに学習できる環境を整えましょう。
よくある質問
Q. 社会福祉士と介護福祉士はどう違いますか?
社会福祉士は「相談援助」の専門家で、生活上の困難を抱える人が必要な支援を受けられるよう調整・助言・連携する役割を担います。介護福祉士は「身体介護・生活援助」の専門家で、日常生活の直接的なサポートが主な職務です。両者は異なる専門性を持ちながら連携して支援を行います。両方の資格を持つ「ダブルホルダー」も一定数います。
Q. 一般企業出身でも社会福祉士になれますか?
一般4年制大学を卒業していれば、一般養成施設(通信1年)を修了することで受験資格を取得できます。実務経験は受験資格の必須要件ではなく、養成施設での学習・実習によって代替できます。社会人が転職のために取得するケースも多く、受験者の半数以上が31歳以上という特徴があります。
Q. 精神保健福祉士と同時受験するメリットはありますか?
精神保健福祉士と社会福祉士は共通科目(12科目)が同じのため、同時受験することで学習効率が上がります。両方取得すると「精神医療福祉」「地域生活支援」など幅広い分野での就職・転職が有利になります。受験料は別途かかりますが(36,360円)、学習コスト削減の観点から同時受験を検討する方も多くいます。
まとめ
社会福祉士は、超高齢社会・地域共生社会の実現に向けて社会的ニーズが急速に高まっている国家資格です。合格率55〜60%台と以前に比べて挑戦しやすくなり、19科目の広範な学習が必要ですが、計画的な準備で合格を目指せます。
福祉・医療・教育・行政と活躍の場は社会全体に広がり、「人を支える仕事」のなかで最も専門性が高く、やりがいのある資格のひとつです。受験資格の取得ルートを確認し、まずは養成施設への入学・在学中の学習から一歩を踏み出しましょう。