定年後も働ける!電験三種が「ビルメンテナンス最強資格」と言われる理由と年収

第三種電気主任技術者(電験三種)

受験資格

なし
年齢・学歴・実務経験すべて不問

難易度

★★★
4科目合格率10%前後。理数系の難関資格

勉強時間の目安

約1,000時間
4科目合格まで平均2〜3年かかる場合も

合格率

4科目合格:約10%
科目別合格制度で最大5回の受験機会

試験日・受験料

年2回(上期・下期)
上期CBT:7〜8月 筆記:8月30日

転職需要

★★★★★
電気主任技術者の選任義務。全業種で必置

工場・ビル・商業施設・病院・発電所など、電気設備を持つすべての事業者に選任が義務付けられている電気の保安専門家が「電気主任技術者」です。その入門・最多取得区分が「第三種電気主任技術者(電験三種)」で、電気設備の保守・監督を担う独占業務資格として、エネルギー業界・製造業・建設業・ビル管理業など幅広い分野で安定した需要を誇ります。

4科目合格率は10%前後と難関ですが、2022年度から年2回試験が実施されるようになり、さらにCBT方式の導入で受験しやすい環境が整っています。科目別合格制度(最大5回の受験機会)を活用すれば、働きながら計画的に合格を目指せます。

目次

電験三種とはどんな資格か

電験三種(第三種電気主任技術者)は、電気事業法に基づく国家資格です。電気主任技術者には第一種・第二種・第三種の3区分があり、それぞれ保安監督できる電気工作物の電圧範囲が定められています。

種別 保安監督できる範囲 難易度
第一種電気主任技術者 すべての事業用電気工作物 最難関
第二種電気主任技術者 電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物 難関
第三種電気主任技術者 電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5,000kW以上の発電所を除く) 最多取得区分

電験三種の対象となる「電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物」には、工場・ビル・商業施設・マンション・病院・学校など、一般的な建物の電気設備の大半が含まれます。これらの電気設備の工事・維持・運用に関する保安の監督は電気主任技術者の独占業務であり、設置者は必ず電気主任技術者を選任する義務があります。

試験の基本情報(2026年度)

項目 内容
受験資格 なし(年齢・学歴・実務経験不問)
受験料 インターネット申込:7,700円/郵送申込:8,100円(非課税)
試験回数 年2回(上期・下期)
上期試験日(2026年度) CBT方式:7月16日(木)〜8月9日(日)/筆記方式:8月30日(日)
下期試験日(2026年度) CBT方式:2027年2月4日(木)〜3月1日(日)予定/筆記方式:2027年3月21日(日)予定
試験科目 理論・電力・機械・法規の4科目
出題形式 五肢択一式(マークシートまたはCBT)
合格基準 各科目原則60点以上(難易度により調整あり)
合格率 4科目合格:約10%前後
主催 一般財団法人 電気技術者試験センター

CBT方式は試験期間中の都合の良い日時・会場を選べるため、試験センターもCBT方式での受験を推奨しています。試験3日前まで日程・会場の変更が可能で、働きながら受験する社会人にとって非常に受験しやすい環境です。

4科目の内容と特徴

電験三種は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目で構成されます。各科目の特徴と難易度を把握して学習の優先順位を決めることが、合格への重要な戦略です。

科目 主な内容 特徴・難しさ
理論 電気回路・電磁気学・電子理論・電気計測 最重要かつ最難関。他3科目の基礎。電気数学の理解が必須
電力 発電・変電・送配電・電気材料 理論の知識を前提とした計算問題。実務寄りの出題
機械 変圧器・回転機・パワーエレクトロニクス・情報 出題範囲が広く最も多様。得点が安定しにくい
法規 電気事業法・電気設備技術基準・電気工事士法 暗記中心だが計算問題も出題。条文の正確な理解が必要

「理論」はすべての科目の土台となるため、最初に習得することが合格への最短ルートです。理論を理解しないまま他の科目を学習しても効率が悪く、多くの受験者が理論の壁で苦労します。特に数学(複素数・微積分・行列)への抵抗がある方は、電気数学の基礎から学習を始めることをおすすめします。

科目別合格制度:計画的な3年戦略

電験三種には「科目別合格制度」があり、4科目のうち一部科目に合格した場合、その科目は最大5回(翌々年の試験まで)免除されます。年2回の試験機会があるため、5回の受験機会内(最大3年間)で4科目に合格すれば電験三種取得となります。

この制度を活用した合格戦略の例を示します。

年度 上期(8月) 下期(3月)
1年目 理論・電力を受験→両科目合格 機械を受験→合格
2年目 法規を受験→合格 (全科目合格・資格取得)

一度に4科目すべてを受験する必要はなく、自分の学習進度に合わせて科目を選択できます。ただし合格した科目の免除申請を忘れると不合格扱いになるため注意が必要です。

電験三種で開けるキャリア

ビル管理・施設管理での電気主任技術者

オフィスビル・商業施設・マンション・病院・学校・ホテルなどの施設管理において、電気主任技術者(電験三種保有者)の選任は法律で義務付けられています。ビル管理会社・施設管理会社では電験三種保有者の採用ニーズが常に高く、転職市場での評価は非常に高いです。特に50代・60代でも需要が高い「定年後も活躍できる資格」としても注目されています。

電力・エネルギー業界でのキャリア

電力会社・ガス会社・再生可能エネルギー事業者(太陽光・風力・バイオマスなど)では、発電設備・変電設備の保安監督者として電験三種・二種の資格保有者が求められています。特に再生可能エネルギーの急速な普及を背景に、太陽光発電所・風力発電所の電気主任技術者需要は増加傾向にあります。

製造業・工場での電気主任技術者

大規模な電気設備を持つ工場・製造プラントでは、自家用電気工作物の保安監督のために電気主任技術者が必要です。製造業の電気・設備担当者が電験三種を取得することで、会社内の電気主任技術者として選任され、昇給・昇格につながるケースが多くあります。

独立・電気保安法人での外部委託

自社に電気主任技術者を選任する代わりに、電気保安法人(電気保安協会など)に電気主任技術者業務を外部委託することが認められています。電験三種取得後に電気保安法人に勤務し、複数の施設の電気主任技術者業務を担当する働き方も可能です。専門性と経験を積んだ後、独立して電気管理技術者として複数の施設と直接契約する道もあります。

電験二種・一種へのステップアップ

電験三種取得後に電験二種・一種へのステップアップを目指す方も多くいます。電験二種は大規模変電所・大型工場、電験一種はすべての電気工作物の保安監督が可能となり、大規模インフラ・電力会社での上位ポジション・年収大幅アップにつながります。

難易度・勉強時間の目安

電験三種の4科目合格率は約10%と、国家資格の中でも高い難易度の試験です。特に理論科目の電気数学(複素数・ベクトル・微積分)への対応が最初の壁となります。電気・理数系の専門教育を受けた方でも、試験特有の問題形式に慣れるための相当な勉強時間が必要です。

前提知識 勉強時間の目安 学習期間
電気系の専門学校・大学出身・実務経験あり 500〜700時間 1〜1.5年
理系出身(電気以外)・数学の基礎あり 700〜1,000時間 1.5〜2年
文系・電気知識ほぼなし 1,000〜1,500時間以上 2〜3年以上

合格のための勉強法

Step1:電気数学の基礎を固める

電験三種最大の関門は「理論」科目の電気数学です。複素数・三角関数・指数対数・微積分・ベクトルなど、高校〜大学初年度レベルの数学知識が必要です。電気知識の前に数学が不安な方は、「電験三種 電気数学」などの入門テキストで基礎を固めてから各科目に進みましょう。

Step2:理論科目を最初に集中対策

理論は電力・機械・法規すべての土台となるため、最初に習得することが合格への王道です。電気回路(直流・交流)・電磁気学・電子回路の基本を理解し、計算問題を繰り返し解いて解法を身につけましょう。理論が固まれば電力・機械への学習スピードが上がります。

Step3:科目別合格制度を活用した受験計画

4科目を一度に全合格しようとせず、科目別合格制度を活用した計画的な受験戦略が有効です。例えば1回目の試験では理論・電力に集中し、次の試験で機械・法規を狙う、という分割戦略で着実に合格を積み上げることが現実的な道です。

Step4:過去問の徹底演習

電験三種は過去問から類似した問題が出題される傾向があります。電気技術者試験センターが公式サイトで過去問を公開しているため、過去5〜10年分を繰り返し解いて出題パターンを把握することが合格の近道です。計算問題は「問題を見たら解法が浮かぶ」レベルまで繰り返しましょう。

CBT方式 vs 筆記方式

2023年度からCBT方式が導入され、受験方式を選べるようになりました。

項目 CBT方式 筆記方式
試験日 期間中(約1ヶ月)の都合の良い日時を選択 全国一斉指定日(年2回)
場所 全国のCBT試験会場(数百か所)から選択 指定試験会場(都道府県ごと)
変更 試験3日前まで日程・会場の変更可能 変更不可
複数科目 科目単位での予約・連続受験が可能 1日に全科目受験(上期)
難易度 同じ(問題内容・合格基準に差なし) 同じ

試験センターはCBT方式を推奨しており、柔軟なスケジュール調整が可能なCBT方式は働きながら学習する社会人に特に適しています。

独学 vs 通信講座 vs 資格学校

電験三種は独学合格者も多くいますが、電気数学・理論で挫折する方も多いため、通信講座・資格学校の活用が合格率を高めます。特に電気の基礎知識が少ない方には、動画解説が充実した通信講座が効果的です。

講座名 費用目安 特徴
スタディング 約20,000〜40,000円 業界最安値水準。スマホ完結型で隙間時間学習に強い
ユーキャン 約60,000〜80,000円 初心者向けにわかりやすいテキスト。添削指導あり
アガルート 約100,000〜150,000円 動画講義が充実。合格特典あり
TAC・能セン 約80,000〜200,000円 対面授業・模擬試験が充実。計算問題の解説に定評

よくある質問

Q. 文系・電気未経験でも電験三種に合格できますか?

合格している方はいますが、相当な学習時間と覚悟が必要です。特に電気数学(複素数・微積分)が最初の高い壁となります。文系・電気未経験の方は1,000〜1,500時間以上を見込み、電気数学の基礎から丁寧に学習を進めることが重要です。通信講座の電気数学基礎講座や、初心者向けテキストで基礎を固めてから本格学習に入ることをおすすめします。

Q. 電験三種と第一種電気工事士はどう違いますか?

電気工事士は「電気工事の施工作業」を行う資格、電験三種(電気主任技術者)は「電気設備の保安監督」を行う資格です。役割が根本的に異なります。電気工事士が工事を「実施」するのに対し、電気主任技術者は工事が適切に行われているかを「監督」する立場です。両方を持つことで電気分野のオールラウンダーとして評価されます。

Q. 電験三種の資格手当はどのくらいですか?

企業によって異なりますが、月額5,000〜20,000円程度の資格手当を設定している企業が多くあります。また、電気主任技術者として選任されることで手当が別途支給されるケースもあります。ビル管理・電力・製造業では電験三種保有者の基本給・年収が非保有者と比べて大幅に高い傾向があります。

まとめ

電験三種(第三種電気主任技術者)は、電気設備を持つすべての事業者に選任義務がある独占業務資格として、エネルギー・製造・ビル管理・再生可能エネルギーなど幅広い分野で安定した需要を誇ります。4科目合格率約10%と難関ですが、年2回の試験機会と科目別合格制度(最大5回の受験機会)を活用することで、働きながら計画的に合格を目指せます。

特に理論科目の電気数学が最初の壁となるため、早い段階から数学基礎を固めることが合格への最重要ステップです。エネルギー転換・再生可能エネルギー拡大が加速する現代において、電気の専門家としての価値はますます高まっており、今から挑戦する価値は十分あります。

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