建設業経理士2級は転職に有利?経審加点の仕組みと取得メリットをわかりやすく解説

建設業経理士

受験資格

なし
学歴・年齢・実務経験すべて不問

難易度(2級)

★★
日商簿記2級と同等レベル

勉強時間の目安

150〜300時間
2級の場合。3級なら50〜100時間

合格率(2級)

30〜50%前後
1級は10〜30%とかなり難関

試験時期

年2回
3月・9月に実施

転職需要

★★★
建設会社の経理・財務職で特に高い

建設業界での経理・財務職への転職やキャリアアップを考えているなら、ぜひ知っておきたい資格が「建設業経理士」です。一般の簿記とは異なり、建設業特有の会計処理を専門に扱うこの資格は、業界内で非常に高く評価されます。

さらにこの資格の特徴的な点は、資格保有者が会社に在籍しているだけで、会社が受注できる公共工事のランクが上がる可能性があるという点です。つまり、個人のスキルアップにとどまらず、会社全体の受注力を底上げできる珍しい資格です。この記事では、建設業経理士の概要・難易度・勉強法からキャリアへの活かし方まで、社会人向けに詳しく解説します。

目次

建設業経理士とは

建設業経理士は、一般財団法人建設業振興基金が実施する検定試験に合格することで取得できる資格です。建設業では「未成工事支出金」「完成工事原価」「工事進行基準」など、一般の簿記では登場しない独自の会計処理が多くあります。これらを正しく扱えることを証明するのが建設業経理士です。

正確には級によって呼び方が異なり、1級・2級が「建設業経理士」、3級・4級が「建設業経理事務士」と称されます。転職市場や経営事項審査(後述)で評価されるのは2級以上のため、キャリアアップを目指す方は2級取得を最初のゴールに設定しましょう。

レベルと対象 呼称
1級 財務諸表・原価計算・財務分析の3科目に合格。経営管理・高度な財務分析ができるレベル 建設業経理士
2級 建設業の簿記・原価計算・会社会計を網羅的に理解し実務をこなせるレベル 建設業経理士
3級 建設業簿記の基本的な仕訳や帳簿記入ができるレベル 建設業経理事務士
4級 初歩的な建設業簿記・伝票処理ができる入門レベル 建設業経理事務士

日商簿記との違い

「日商簿記を持っているなら建設業経理士は必要ない」と思う方もいるかもしれませんが、両者は別物です。日商簿記が製造業・サービス業を含む幅広い業種の会計を扱うのに対して、建設業経理士は建設業に特化した会計処理を学びます。

建設業独自の論点として、受注から完成・引き渡しまでに時間がかかる「長期請負工事」の会計処理(工事進行基準・工事完成基準)、建設現場ごとに原価を管理する「工事原価計算」、下請け業者との複雑な債権・債務管理などが挙げられます。日商簿記の知識があれば学習効率は上がりますが、建設業界で働くなら建設業経理士を取得することで初めて「即戦力」として認められます。

項目 日商簿記 建設業経理士
対象業種 全業種 建設業に特化
知名度 非常に高い 建設業界内で高い
経審への影響 なし 2級以上で加点あり
独自論点 なし 工事原価・長期請負工事など

なぜ建設会社は2級以上を欲しがるのか

建設業経理士が他の資格と一線を画すのは、「保有者が在籍しているだけで、会社の公共工事受注ランクが上がる可能性がある」という点です。この仕組みを理解するには、公共工事の入札に関わる「経営事項審査(経審)」について知る必要があります。

経営事項審査(経審)とは

国や自治体の公共工事を受注したい建設会社は、毎年「経営事項審査」という審査を受けます。この審査で算出される評点(P点)が高いほど、より大きな金額の公共工事に応札できる仕組みになっています。いわば建設会社の「通知表」のようなものです。

建設業経理士の保有者がいると、この審査の「社会性等(W点)」という項目で会社に加点されます。具体的には1級保有者が1人いると1点、2級保有者は1人あたり0.4点が加算されます。「たった0.4点」と感じるかもしれませんが、中小建設会社では数点の差が受注できる工事規模を左右するため、経理担当者が2級を持っているかどうかは会社にとって切実な問題です。採用面接で「2級建設業経理士を持っています」と言えるだけで、即座に採用担当者の評価が変わるのはそのためです。

キャリアへの活かし方

建設会社の経理・財務職への転職

建設業界の経理・財務職への転職を考えているなら、2級建設業経理士は「持っているかどうか」で選考結果が変わる資格です。一般の経理経験者が多数応募する中で、建設業の会計知識があることを証明できる資格として、採用担当者に強くアピールできます。未経験から建設業界の経理職に転職したい場合でも、2級を取得してから応募することで採用のハードルが大きく下がります。

資格手当・昇給

建設会社の多くは、建設業経理士に資格手当を設定しています。2級で月額5,000〜10,000円、1級では月額10,000〜20,000円以上を支給する企業も珍しくありません。1級保有者は経営幹部候補や財務スペシャリストとして処遇されるケースも増えており、長期的なキャリアパスとして1級取得を目指す価値は十分あります。

全国どこでも通用するキャリアの安定性

建設業は全国どこにでもある産業です。大手ゼネコンから地元の中堅建設会社まで、建設業経理士2級以上の資格は業界内で広く通用します。地方への移住・Uターン転職を考えている方にとっても、地元の建設会社で即戦力として迎えられる可能性が高い資格です。

難易度・合格率の目安

建設業経理士は級によって難易度が大きく異なります。いきなり2級から挑戦することも可能ですが、簿記の知識がまったくない方は3級で基礎を固めてから2級へ進むルートが着実です。日商簿記2級を持っている方であれば、建設業独自の論点を上乗せするだけで2級合格を狙えるため、比較的短期間での取得が可能です。

合格率 勉強時間 難易度の目安
4級 80%以上 20〜30時間 簿記未経験者でも短期合格可能
3級 60〜80% 50〜100時間 日商簿記3級より少し専門的
2級 30〜50% 150〜300時間 日商簿記2級と同等。計算量が多い
1級 10〜30% 500〜1,000時間 科目合格制。高度な専門知識が必要

なお、1級には科目合格制度があり、「財務諸表」「財務分析」「原価計算」の3科目を5年以内に合格すればよい仕組みになっています。すべてを一度に受験する必要はないため、働きながらでも計画的に取得できます。また、1級・2級の合格者は5年ごとに登録講習の受講が義務付けられており、最新の会計基準に対応し続けることが求められます。

合格のための勉強法

2級:建設業独自の論点を集中的に攻略する

日商簿記2級の知識がある方は、建設業特有の勘定科目(未成工事支出金・完成工事原価・完成工事未収入金など)と工事原価計算の考え方を重点的に学習することで、比較的短期間で合格ラインに届きます。過去問を繰り返し解くことが最も効果的で、計算問題は手を動かして繰り返し解くことで精度が上がっていきます。

簿記未経験の方は、まず3級で「原価計算の考え方」と「建設業特有の勘定科目」に慣れることを優先してください。3級で基礎を固めてから2級に進むと、学習のスムーズさが大きく違います。

1級:科目ごとに対策を分けて進める

1級は「財務諸表」「財務分析」「原価計算」の3科目それぞれで合格基準(70点以上)を満たす必要があります。科目合格制度を活用して、1回の試験で1〜2科目ずつ受験する戦略が働きながら取得する際の王道です。最初は比較的取り組みやすい「原価計算」から着手し、「財務分析」「財務諸表」の順で進める方が多いです。

独学 vs 通信講座

日商簿記の知識がある方は独学でも十分合格できますが、建設業会計の知識がゼロの方は、体系的に学べる通信講座を活用することで学習効率が上がります。特に1級は範囲が広く独学での管理が難しいため、通信講座の活用が特に有効です。

主な通信講座の比較

講座名 費用目安 対応級・特徴
TAC 約40,000〜70,000円 2級・1級対応。実績豊富で教材の質が高い
ネットスクール 約25,000〜50,000円 2級・1級対応。Web講座でスキマ時間学習に強い
建設業経理士 独学道場(オーム社) 約10,000〜20,000円 2級対応。テキスト+問題集のセットでコスパ良

何級を目指すべきか

就職・転職を有利にするなら2級以上が必須です。3級・4級は履歴書に書いても評価されにくいため、最初から2級合格を目標にして学習計画を立てましょう。

簿記が初めての方は3級でウォームアップしてから2級へ、日商簿記2級を持っている方はいきなり2級から挑戦するのが最も効率的です。将来的に建設業界での財務・経営管理職を目指すなら、2級取得後に1級へのステップアップも視野に入れてください。

よくある質問

Q. 日商簿記2級を持っていたら建設業経理士2級はすぐ取れますか?

日商簿記2級の知識がベースになるため、建設業独自の論点(工事原価計算・特有の勘定科目など)を集中的に学習すれば、100〜150時間程度で合格ラインに届く方も多いです。ただし計算量が多いため、過去問演習を十分に行うことが重要です。

Q. 建設業界で働いていなくても受験できますか?

はい、受験資格に実務経験の制限はないため、建設業界未経験でも受験・取得できます。建設業への転職を目指している方が、転職前に取得して応募するケースも多くあります。

Q. 経審の加点はいつ反映されますか?

経営事項審査は毎年更新するものです。資格取得後、次回の経審申請時から加点対象として反映されます。また、1級・2級保有者は5年ごとに登録講習を受講しないと経審の加点対象から外れるため、取得後も継続的な対応が必要です。

まとめ

建設業経理士は、建設業界に特化した会計の専門資格です。2級以上を取得することで、個人の転職・昇給に直結するだけでなく、会社の公共工事受注力を高める「経審の加点」という、他の資格にはないユニークな価値を持っています。

建設業界の経理・財務職への転職を考えている方、現在建設会社に勤めていてキャリアアップを目指している方、どちらにとっても取得する価値の高い資格です。まずは2級合格を目標に、今日から一歩踏み出してみてください。

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