建設業経理士2級は転職に有利?経審加点の仕組みと取得メリットをわかりやすく解説

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この記事を書いた人資格建築家の運営者・けいしー。行政書士・宅建士・第二種電気工事士・建設業経理士2級など10の資格を取得。試験日や合格率などは、試験団体の公式情報で確認して掲載しています。運営者情報

建設業経理士

受験資格

なし
学歴・年齢・実務経験すべて不問

難易度(2級)

★★★
日商簿記2級よりやや易しい

勉強時間の目安

100〜300時間
2級の一般的な目安。簿記2級があればさらに短い

合格率(2級)

32〜48%
直近5回。1級は科目別に約18〜46%

試験時期

年2回
1・2級は3月・9月、3・4級は3月のみ

転職需要

★★★★
建設会社の経理・財務職で特に高い

建設業界での経理・財務職への転職やキャリアアップを考えているなら、ぜひ知っておきたい資格が「建設業経理士」です。一般の簿記とは異なり、建設業特有の会計処理を専門に扱うこの資格は、業界内で非常に高く評価されます。

さらにこの資格の特徴的な点は、資格保有者が会社に在籍しているだけで、会社が受注できる公共工事のランクが上がる可能性があるという点です。つまり、個人のスキルアップにとどまらず、会社全体の受注力を底上げできる珍しい資格です。この記事では、建設業経理士の概要・難易度・勉強法からキャリアへの活かし方まで、社会人向けに詳しく解説します。

運営者も日商簿記2級を取ったあとに建設業経理士2級を受け、約10時間の勉強で1回で合格しました。最新の試験日程・合格率と、その体験もあわせて紹介します。

目次

建設業経理士とは

建設業経理士は、一般財団法人建設業振興基金が実施する検定試験に合格することで取得できる資格です。建設業では「未成工事支出金」「完成工事原価」「工事進行基準」など、一般の簿記では登場しない独自の会計処理が多くあります。これらを正しく扱えることを証明するのが建設業経理士です。

正確には級によって呼び方が異なり、1級・2級が「建設業経理士」、3級・4級が「建設業経理事務士」と称されます。転職市場や経営事項審査(後述)で評価されるのは2級以上のため、キャリアアップを目指す方は2級取得を最初のゴールに設定しましょう。

級 レベルと対象 呼称
1級 財務諸表・原価計算・財務分析の3科目に合格。経営管理・高度な財務分析ができるレベル 建設業経理士
2級 建設業の簿記・原価計算・会社会計を網羅的に理解し実務をこなせるレベル 建設業経理士
3級 建設業簿記の基本的な仕訳や帳簿記入ができるレベル 建設業経理事務士
4級 初歩的な建設業簿記・伝票処理ができる入門レベル 建設業経理事務士

試験日程・受験料(2026年度(令和8年度))

項目 内容
次回試験 令和8年度下期(第40回):2027年(令和9年)3月14日(日)※1〜4級
申込期間 2026年11月10日(火)〜12月10日(木)
合格発表 2027年5月14日(金)
受験料(税込) 1級:1科目8,120円・2科目11,420円・3科目14,720円/2級:7,120円/3級:5,820円/4級:4,720円
受験資格 なし(どなたでも希望の級を受験可。ただし1級と他の級の同日受験は不可)
直前の試験 令和8年度上期(第39回、1・2級)は2026年9月13日に実施済み。合格発表は2026年11月13日

出典:建設業経理検定 R8下期試験、R8上期試験、建設業経理検定試験とは(確認日:2026年10月4日)

日商簿記との違い

「日商簿記を持っているなら建設業経理士は必要ない」と思う方もいるかもしれませんが、両者は別物です。日商簿記が製造業・サービス業を含む幅広い業種の会計を扱うのに対して、建設業経理士は建設業に特化した会計処理を学びます。

建設業独自の論点として、受注から完成・引き渡しまでに時間がかかる「長期請負工事」の会計処理(工事進行基準・工事完成基準)、建設現場ごとに原価を管理する「工事原価計算」、下請け業者との複雑な債権・債務管理などが挙げられます。日商簿記の知識があれば学習効率は上がりますが、建設業界で働くなら建設業経理士を取得することで初めて「即戦力」として認められます。

項目 日商簿記 建設業経理士
対象業種 全業種 建設業に特化
知名度 非常に高い 建設業界内で高い
経審への影響 なし 2級以上で評価あり(1級は1人、2級は0.4人として数える)
独自論点 なし 工事原価・長期請負工事など

なぜ建設会社は2級以上を欲しがるのか

建設業経理士が他の資格と一線を画すのは、「保有者が在籍しているだけで、会社の公共工事受注ランクが上がる可能性がある」という点です。この仕組みを理解するには、公共工事の入札に関わる「経営事項審査(経審)」について知る必要があります。

経営事項審査(経審)とは

国や自治体の公共工事を受注したい建設会社は、毎年「経営事項審査」という審査を受けます。この審査で算出される評点(P点)が高いほど、より大きな金額の公共工事に応札できる仕組みになっています。いわば建設会社の「通知表」のようなものです。

建設業経理士の合格者がいると、この審査の「社会性等(W点)」のうち「公認会計士等の数」という項目で評価されます。計算では、1級合格者は1人、2級合格者は1人あたり0.4人として数え、その合計(公認会計士等数値)と会社の完成工事高などから点数が決まります。1人分が評点に直接1点・0.4点足されるわけではありません。

評価の対象になるのは、合格した年度の翌年度の開始日から5年以内の人か、登録経理講習を受けてから5年以内の人です(令和5年4月以降の経審)。中小建設会社では評点の差が受注できる工事の規模に関わるため、経理担当者が2級を持っているかどうかは会社にとって大事なポイントで、採用でも評価されやすくなります(出典:建設業経理検定 経営事項審査の改正に伴う経理士等の評価、確認日:2026年10月4日)。

キャリアへの活かし方

建設会社の経理・財務職への転職

建設業界の経理・財務職への転職を考えているなら、2級建設業経理士は「持っているかどうか」で選考結果が変わる資格です。一般の経理経験者が多数応募する中で、建設業の会計知識があることを証明できる資格として、採用担当者に強くアピールできます。未経験から建設業界の経理職に転職したい場合でも、2級を取得してから応募することで採用のハードルが大きく下がります。

資格手当・昇給

建設業経理士に資格手当を設けている建設会社もあります(金額は会社によって異なるため、求人票で確認しましょう)。1級保有者は経営幹部候補や財務スペシャリストとして処遇されるケースも増えており、長期的なキャリアパスとして1級取得を目指す価値は十分あります。

全国どこでも通用するキャリアの安定性

建設業は全国どこにでもある産業です。大手ゼネコンから地元の中堅建設会社まで、建設業経理士2級以上の資格は業界内で広く通用します。地方への移住・Uターン転職を考えている方にとっても、地元の建設会社で即戦力として迎えられる可能性が高い資格です。

建設業の取引先がある仕事でも役立つ

経理職でなくても、建設業の会社と取引がある仕事なら役立ちます。運営者は企画管理系の仕事で取引先に建設業の会社が多く、請求処理などに役立てるために受験しました。「直接役立ったと自信を持てる場面は多くないが、取引先との会計処理で前提条件がわかるので、交渉や事前に何を確認すべきかなど、実務的な視点が身についた」と感じています。

難易度・合格率の目安

建設業経理士は級によって難易度が大きく異なります。いきなり2級から挑戦することも可能ですが、簿記の知識がまったくない方は3級で基礎を固めてから2級へ進むルートが着実です。日商簿記2級を持っている方であれば、建設業独自の論点を上乗せするだけで2級合格を狙えるため、比較的短期間での取得が可能です。

級 合格率 勉強時間 難易度の目安
4級 70〜79% 20〜30時間 簿記未経験者でも短期合格可能
3級 65〜71% 50〜100時間 日商簿記3級より少し専門的
2級 32〜48% 100〜300時間 日商簿記2級よりやや易しい。計算量が多い
1級 科目別に約18〜46% 500〜1,000時間 科目合格制。高度な専門知識が必要

合格率は直近の実績(2級・1級は第34回〜第38回、3級・4級は第42回〜第44回)。勉強時間は一般的な目安です。出典:建設業経理検定 過去の実施状況(確認日:2026年10月4日)

2級の合格率は回によって差があり、3月の回は47%前後ですが、9月の回は2024年(令和6年)36.5%、2025年(令和7年)32.2%と低めでした。2026年(令和8年)3月の第38回は受験者9,226人・合格者4,386人で47.5%です。

なお、1級には科目合格制度があり、各科目の合格は合格通知書の交付日から5年間有効です。有効期限内に「財務諸表」「財務分析」「原価計算」の3科目すべてに合格すると1級になります。すべてを一度に受験する必要はないため、働きながらでも計画的に取得できます。また、経審で評価され続けるには、合格から5年を過ぎたら登録経理講習を受ける必要があります(受講は義務ではありません)。

合格のための勉強法

2級:建設業独自の論点を集中的に攻略する

日商簿記2級の知識がある方は、建設業特有の勘定科目(未成工事支出金・完成工事原価・完成工事未収入金など)と工事原価計算の考え方を重点的に学習することで、比較的短期間で合格ラインに届きます。過去問を繰り返し解くことが最も効果的で、計算問題は手を動かして繰り返し解くことで精度が上がっていきます。

簿記未経験の方は、まず3級で「原価計算の考え方」と「建設業特有の勘定科目」に慣れることを優先してください。3級で基礎を固めてから2級に進むと、学習のスムーズさが大きく違います。

運営者の場合:簿記2級があって約10時間・教材費0円で合格

運営者は日商簿記2級(2023年3月合格)のあと、2025年9月の第37回で建設業経理士2級を受け、1回で合格しました。この回の2級の合格率は32.2%で、直近5回で最も低い回です。

  • 勉強期間・時間:試験の約2週間前から、合計10時間ほど
  • 勉強の仕方:平日は通勤電車(行き帰り各30分)でネットの論点解説サイトを読み、試験前日に約3時間かけて公式サイトの過去問を1回分解いた(7割くらいの出来)
  • 教材費:0円(解説サイトと公式の過去問だけ)
  • 感想:「勘定科目の違いや進行基準は最初は戸惑うけど、基本的な考え方は同じなので難しくはなかった」「工事原価の計算などは、簿記2級の工業簿記の考え方が活きた」
  • 試験当日:筆記試験。大問1から順に解いて、時間はちょうど足りるくらい。前日に解いた過去問の論点が出て、手応えはあった

10時間は、簿記2級の知識があり、直前の過去問演習がうまくはまった一例です。運営者からは「簿記2級を持っていれば、それほど対策しなくても受かると思う。持っていない人は、先に簿記2級を取るのがおすすめ」とのことです。2つの資格の詳しい比較は建設業経理士2級と簿記2級はどっちが難しい?で紹介しています。

1級:科目ごとに対策を分けて進める

1級は「財務諸表」「財務分析」「原価計算」の3科目それぞれに合格する必要があります。科目合格制度を活用して、1回の試験で1〜2科目ずつ受験する戦略が働きながら取得する際の王道です。最初は比較的取り組みやすい「原価計算」から着手し、「財務分析」「財務諸表」の順で進める方が多いです。

独学 vs 通信講座

日商簿記の知識がある方は独学でも十分合格できます(公式サイトでは過去の試験問題も公開されています)が、建設業会計の知識がゼロの方は、体系的に学べる通信講座を活用することで学習効率が上がります。特に1級は範囲が広く独学での管理が難しいため、通信講座の活用が特に有効です。

主な通信講座の比較

講座名 特徴
TAC 資格の大手予備校。建設業経理士の講座がある
ネットスクール Web講座が中心で、スキマ時間に学びやすい
建設業経理士 独学道場 テキストと問題集を中心にした独学向けのセット

価格や対応級は時期によって変わるため、申し込む前に各講座の公式サイトで確認してください。

何級を目指すべきか

就職・転職を有利にするなら2級以上が必須です。3級・4級は履歴書に書いても評価されにくいため、最初から2級合格を目標にして学習計画を立てましょう。

簿記が初めての方は3級でウォームアップしてから2級へ、日商簿記2級を持っている方はいきなり2級から挑戦するのが最も効率的です。将来的に建設業界での財務・経営管理職を目指すなら、2級取得後に1級へのステップアップも視野に入れてください。

よくある質問

Q. 日商簿記2級を持っていたら建設業経理士2級はすぐ取れますか?

日商簿記2級の知識がベースになるため、建設業独自の論点(工事原価計算・特有の勘定科目など)に絞って学習すれば、短期間での合格が狙えます。運営者は約10時間(2週間)で合格しました。ただし回によって合格率が30%台に下がることもあるため、過去問演習は必ず行いましょう。

Q. 建設業界で働いていなくても受験できますか?

はい、受験資格に実務経験の制限はないため、建設業界未経験でも受験・取得できます。建設業への転職を目指している方が、転職前に取得して応募するケースも多くあります。

Q. 経審の加点はいつ反映されますか?

公共工事を受注する建設会社は、毎年経審を受けるのが一般的です。合格後の経審から評価の対象になります。ただし評価されるのは、合格した年度の翌年度の開始日から5年以内の人か、登録経理講習を受けてから5年以内の人です。5年を過ぎたら講習を受けると、再び評価の対象になります。

まとめ

建設業経理士は、建設業界に特化した会計の専門資格です。2級以上を取得すると、個人の転職・昇給に役立つだけでなく、経審で会社の評価(W点)にも関わるという、他の資格にはない価値があります。

建設業界の経理・財務職への転職を考えている方、現在建設会社に勤めていてキャリアアップを目指している方、どちらにとっても取得する価値の高い資格です。次の試験は2027年(令和9年)3月14日(日)で、申込は2026年11月10日〜12月10日です。まずは2級合格を目標に、準備を始めてみてください。

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資格建築家の運営者。行政書士・宅地建物取引士・第二種電気工事士・建設業経理士2級・日商簿記2級など10の資格を取得。建設・不動産業界でプロジェクトマネジメントや企画開発に携わる。自分の受験経験と、試験実施団体の公式情報をもとに、資格選びと勉強の進め方を解説しています。

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