農業簿記検定(3級・2級・1級)
受験資格
なし
学歴・年齢・国籍不問。どの級からでも受験可。農業従事者以外も受験可
難易度
★★〜★★★
3級合格率58〜65%・2級37〜55%・1級24〜38%。農業特有の知識が問われる
勉強時間の目安
3級:30〜60時間 / 2級:60〜100時間 / 1級:100〜150時間
日商簿記2〜3級の学習経験があれば大幅に短縮できる
合格率
3級:58〜65% / 2級:37〜55% / 1級:24〜38%
合格基準:各級とも総得点の70%以上
試験・受験料
年2回(7月・11月)・1級5,280円・2級2,750円・3級1,980円
第25回:2026年7月5日(日)・申込4月20日〜6月1日(受付済み)
農業経営・農業法人需要
★★★
農業法人化・スマート農業の進展で農業簿記の重要性が急増。農業経理士へのステップにも
農業経営に特化した複式簿記の知識と実務能力を証明できる唯一の検定が農業簿記検定です。一般財団法人日本ビジネス技能検定協会が実施し、一般社団法人全国農業経営コンサルタント協会が監修するこの検定は、2014年に創設されて以来、農業法人化の進展・異業種からの農業参入増加・スマート農業の拡大を背景に年々注目度が高まっています。
農業では生物の生産という特性上、水稲・野菜・畜産・果樹など作目ごとに独特の収穫・販売・棚卸の処理が必要であり、一般の商工業簿記とは異なる農業専用の会計処理が求められます。農業簿記検定は、こうした農業特有の簿記処理を体系的に学び・証明できる資格として、農業従事者・農業法人の担当者・農業コンサルタント・JAや農業支援機関の職員に幅広く活用されています。
農業簿記検定とはどんな資格か
農業簿記検定は「農業特有の複式簿記を習得し、農業経営の現場で経営管理に活かせる人材を育成すること」を目的として創設されました。現代の農業経営では、農業経営の法人化・青色申告・経営改善計画策定・補助金申請・金融機関への財務報告など、数値に基づく経営管理が必要不可欠になっています。
農業簿記は一般の商工業簿記と基本的な複式簿記の仕組みは共通しながらも、農作物・生物資産の評価・農地の減価償却・農業特有の補助金・農産物の棚卸など、農業ならではの会計処理が求められます。1級まで合格した後はさらに「農業経理士」称号認定試験(経営管理・税務)へのステップアップも可能です。
農業簿記が「一般の簿記」と異なる主なポイント
| 農業特有の会計処理 | 内容 |
|---|---|
| 生物資産の評価 | 農作物(成熟前の作物)・育成中の家畜など「生物」が資産計上される。収穫前の稲・育成牛などを貸借対照表上でどう評価するかが農業簿記独自の論点 |
| 農産物の棚卸 | 収穫後の農産物(米・野菜・果物等)を期末に棚卸計上。腐敗・品質低下がありうるため、一般商品と異なる取扱いが必要 |
| 農地・農業用設備の減価償却 | 農業用機械(トラクター・コンバイン等)・施設(ビニールハウス・農業用倉庫)・果樹・成木などの減価償却方法が農業特有の耐用年数・基準に基づく |
| 農業関連の補助金・助成金 | 農業経営安定対策・農業共済・各種補助金の会計処理が一般企業とは異なる取扱いを要する |
| 農作業費の原価計算 | 農作業の種類(耕起・播種・施肥・収穫等)ごとの費用を集計する農業原価計算の仕組み |
| 農業経営における青色申告 | 農業所得の計算・個人農業の青色申告と法人農業の法人税申告の違い |
3段階の等級構成
| 等級 | 対象者・レベルの目安 | 出題科目 | 試験時間 | 受験料 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 3級 | 農業簿記の入門。農業経営の基礎的な複式簿記の仕組みと主要な仕訳を理解するレベル | 財務会計(基礎) | 90分 | 1,980円 | 58〜65% |
| 2級 | 農業経営の実務に対応できる複式簿記の実践レベル。農業法人の経理担当として必要な知識 | 財務会計・原価計算(基礎) | 120分 | 2,750円 | 37〜55% |
| 1級 | 農業経営の経理を総合的に管理できる高度なレベル。農業コンサルタント・経理責任者向け | 財務会計・原価計算・管理会計(各20・15・15問・計50問) | 120分 | 5,280円 | 24〜38% |
試験の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | なし(学歴・年齢・国籍不問。農業従事者以外も受験可) |
| 出題形式 | マークシート多肢選択式(記述文章・計算問題の組み合わせ) |
| 電卓持込 | 可(ただし携帯電話・スマートフォン・タブレット等の通信機器は使用不可) |
| 合格基準 | 各級・各科目とも問題の総得点の70%以上 |
| 試験頻度 | 年2回(7月第1日曜日・11月第4日曜日) |
| 試験会場 | 全国40以上の都市(札幌・函館・帯広・盛岡・仙台・山形・水戸・東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・広島・福岡・熊本・那覇等) |
| 合格発表 | 試験日から1〜2週間後 |
| 受験料(2026年度) | 1級5,280円・2級2,750円・3級1,980円(※2027年度施行より一部改訂予定) |
| 主催・実施 | 一般財団法人日本ビジネス技能検定協会(監修:一般社団法人全国農業経営コンサルタント協会) |
| 後援機関 | 全国農業会議所・全国農業協同組合中央会・農林中央金庫・日本政策金融公庫・日本農業法人協会等 |
2026年度 試験日程
| 回次 | 試験日 | 申込受付期間 |
|---|---|---|
| 第25回 | 2026年7月5日(日) | 2026年4月20日(月)〜6月1日(月) |
| 第26回 | 2026年11月22日(日)頃(予定) | 2026年8月下旬〜10月下旬頃(予定) |
第25回(2026年7月5日)の申込受付はすでに2026年4月20日から開始されています。受験を検討している方は日本ビジネス技能検定協会の公式サイト(jab-kentei.or.jp)からマイページを作成してオンライン申込を行ってください。
各級の出題内容
3級:農業簿記の入門
| 分野 | 主な内容 |
|---|---|
| 農業簿記の基礎 | 農業経営における複式簿記の仕組み・農業特有の勘定科目・仕訳の基本 |
| 主要な農業取引の処理 | 農産物の販売・農業資材の仕入・農業機械の購入・農業補助金の受取 |
| 農業財務諸表の基礎 | 農業経営の貸借対照表・損益計算書の構造と読み方 |
| 農業青色申告の基礎 | 農業所得の計算・個人農業者の青色申告の仕組み |
2級:農業経営の実務レベル
| 分野 | 主な内容 |
|---|---|
| 農業財務会計(応用) | 農業法人(農業生産法人・農事組合法人等)の会計処理・連結・消費税 |
| 農業原価計算(基礎) | 作目別・圃場別の農業原価計算・農作業費の集計方法・標準原価の考え方 |
| 生物資産・農地の会計 | 育成中の農作物・家畜の資産評価・成木(果樹・茶樹等)の減価償却 |
| 農業機械・施設の管理 | 農業用機械・ビニールハウス・農業倉庫の減価償却・修繕費の処理 |
1級:農業経営の総合管理レベル(50問:財務会計20問・原価計算15問・管理会計15問)
| 科目 | 主な内容 |
|---|---|
| 財務会計(20問) | 農業法人の財務諸表作成・会計基準の適用・農業関連助成金の処理・税務処理 |
| 原価計算(15問) | 農産物の製品原価計算・作目別収益性分析・農業原価管理の実践 |
| 管理会計(15問) | 農業経営の意思決定(作目選択・規模拡大・設備投資)のための管理会計・損益分岐点分析・農業経営計画の策定 |
農業経理士称号認定試験へのステップアップ
農業簿記検定1級合格後のさらなるステップアップとして、日本ビジネス技能検定協会が実施する「農業経理士®称号認定試験」があります。農業簿記検定で培った知識を基盤に、農業経営の現場で必要な実践的スキルを習得した者として協会が「農業経理士」の称号を認定する制度です。
| 科目 | 内容・対象 | 実施時期 |
|---|---|---|
| 経営管理 | 農業経営の計数管理・経営分析・事業計画策定。農業簿記検定1級合格者対象 | 年2回(7月・11月)・農業簿記検定と同日 |
| 税務 | 農業に関する税務(所得税・法人税・消費税等)の実務知識。農業簿記検定1級合格者対象 | 年2回(7月・11月)・農業簿記検定と同日 |
農業経理士の称号は名刺・履歴書等への記載が可能で、「農業経営の計数管理・税務を専門的に担える人材」の証明として農業法人・農業コンサルティング・JA等での活動で活用できます。
農業簿記検定で開けるキャリア
農業法人・農業生産法人の経理担当
法人化した農業経営体(農業生産法人・農事組合法人・一般法人等)の経理・財務担当として、農業特有の複式簿記処理を正確に行える専門性の証明として活用されます。農業法人の経理担当者が農業簿記2〜1級を取得することで、税理士や農業コンサルタントとの協働がスムーズになり、経営分析・決算・融資申請のための財務資料作成の質が向上します。
農業コンサルタント・農業支援機関の専門職
農業経営改善指導・経営計画策定支援・農業補助金申請支援を行う農業コンサルタント(農業経営コンサルタント協会認定等)や、JA(農業協同組合)・農業委員会・農業改良普及員など農業支援に携わる職員にとって、農業簿記の体系的な知識は農家への適切なアドバイスの基盤となります。
税理士・会計士事務所での農業専門サービス
農業法人・農家を顧客に持つ税理士・公認会計士事務所において、農業簿記検定は農業専門の会計処理・税務に対応できるスタッフの専門性証明として活用されます。一般の商工業簿記と異なる農業特有の処理を正確に扱えることで、農業経営体への付加価値の高いサービス提供が可能になります。
異業種から農業参入する企業の担当者
食品メーカー・流通企業・IT企業など異業種から農業事業に参入する企業が増える中、農業特有の会計処理を理解した経理・財務担当者の需要が高まっています。農業簿記検定は「自社の農業事業の経理を正しく処理できる人材」の証明として、農業参入企業での活躍の幅を広げます。
スマート農業・農業DXへの対応
ICT・IoT・AIを活用したスマート農業の普及に伴い、農業経営における数値管理・データに基づく意思決定の重要性が増しています。農業簿記1級の管理会計知識(損益分岐点分析・設備投資判断・作目選択の意思決定)は、デジタルツールを活用した農業経営の高度化に直接役立ちます。
難易度と学習の進め方
| 受験者の背景 | 勉強時間目安(3級) | 勉強時間目安(2級) | 勉強時間目安(1級) |
|---|---|---|---|
| 日商簿記2〜3級の学習経験あり | 15〜30時間 | 40〜70時間 | 70〜100時間 |
| 農業の実務経験あり・簿記は初学 | 30〜50時間 | 60〜90時間 | 90〜130時間 |
| 簿記・農業ともに初学 | 50〜80時間 | 80〜120時間 | 120〜180時間以上 |
合格のための学習戦略
公式テキスト・問題集が最重要教材
農業簿記検定の市販対策書はまだ限られているため、日本ビジネス技能検定協会が発行する公式テキスト・問題集が最も信頼性の高い教材です。公式テキストで農業特有の勘定科目・仕訳・財務処理を体系的に理解し、公式問題集で過去問演習を繰り返すことが合格への基本です。
日商簿記2〜3級の知識を農業に適用する視点で
複式簿記の基礎(借方・貸方・仕訳・決算処理)は農業簿記も一般の商工業簿記も共通しています。日商簿記2〜3級の知識がある方は、「一般の簿記処理が農業にどう適用されるか」という視点で農業特有の差異(農産物棚卸・生物資産・農業機械の減価償却等)を集中的に学習することで効率よく合格できます。
2級対策無料講習会の活用
日本ビジネス技能検定協会では2級対策講習会を無料で実施しています(日程・実施地域は協会サイトで確認)。2級の受験を検討している方は、この無料講習会の活用も選択肢のひとつです。
よくある質問
Q. 農業に従事していなくても受験できますか?
はい、学歴・年齢・国籍に制限はなく、農業従事者以外の方でも受験できます。農業コンサルタントを目指す方・税理士事務所で農業部門を担当する方・農業参入を検討する企業の担当者・農業に関心を持つ学生など、農業分野に関わるすべての方が受験の対象です。
Q. 日商簿記と農業簿記はどちらを先に取るべきですか?
農業の現場で実際に働いている方や農業関連の業務に特化したい方は、農業簿記3級から始めることをおすすめします。一方、会計・経理の基礎をしっかり身につけてから農業に適用したい方には、日商簿記3級→農業簿記3〜2級のルートが効率的です。両方取得することで一般会計と農業特有の会計処理の両面を証明できます。
Q. 2027年度から受験料が改訂されるとはどういう意味ですか?
現在の受験料(1級5,280円・2級2,750円・3級1,980円)は2026年度施行分まで適用されます。2027年度施行の検定試験より一部の受験料が改訂される予定です。2027年度以降に受験を予定している方は、日本ビジネス技能検定協会の公式サイトで最新の受験料を確認してください。
まとめ
農業簿記検定は、農業法人化・スマート農業・異業種参入が進む日本農業の現場において、農業特有の複式簿記を体系的に習得した専門家を証明する唯一の検定試験です。年2回の受験機会・全国40以上の試験会場・電卓持込可という受験しやすい設計で、農業従事者から会計専門家まで幅広い方が取り組める資格です。
第25回(2026年7月5日)の申込受付はすでに4月20日から開始されています。日本ビジネス技能検定協会の公式サイト(jab-kentei.or.jp)からマイページを作成し、公式テキスト・問題集を使って農業特有の簿記処理を体系的に習得しましょう。
