損害保険募集人資格(損保一般試験:基礎単位・商品単位)
受験資格
損保会社・代理店への所属が必要
個人での直接申込不可。所属会社の承認を得た方が対象
難易度
★
合格率90%以上(業界推定)・試験中テキスト閲覧可・40分・50問
勉強時間の目安
1日〜4週間程度
テキスト閲覧可のため要点の把握が最優先。過去問演習が有効
合格率・合格基準
合格率:90%以上(業界推定・非公表)
合格基準:70点以上/100点(各単位共通)
試験・受験料
CBT方式・月〜土受験可(年末年始・祝日除く)
単位ごとに5年の更新制。受験料は所属会社経由で確認
損保業界での必要性
★★★
損害保険の販売に法律上必須。基礎単位不合格では募集業務不可
自動車保険・火災保険・傷害保険など損害保険の提案・販売を行うすべての人が取得しなければならないのが損害保険募集人資格です。保険業法に基づき、損害保険の募集(勧誘・販売)を行うには損保一般試験に合格した上で、代理店登録または募集人届出が義務付けられています。損害保険会社の営業・内勤職員はもちろん、損保代理店・自動車ディーラー・不動産会社・旅行会社など損害保険を取り扱うあらゆる業種の従業員が対象となる業務必須の資格です。
合格率は90%以上(業界推定)と非常に高く、かつ試験中にデジタルテキストを閲覧できるという他の試験にはない特徴があります。ただし5年ごとの更新制が設けられており、有効期限内に更新試験に合格しないと資格が失効します。
損害保険募集人資格とはどんな資格か
損害保険募集人一般試験(損保一般試験)は、一般社団法人日本損害保険協会が定める業界共通の教育・試験制度です。「募集人が契約者に対して保険商品に関する重要事項等をきちんと説明するための知識を、業界として共通の内容で教育する制度」として設けられており、損害保険の基礎や募集コンプライアンスに関する「基礎単位」と、各保険商品に関する「商品単位」の計4単位で構成されています。
試験はCBT方式(プロメトリック株式会社が委託実施)で行われ、全国各地の会場で月曜日〜土曜日(年末年始・祝日除く)に受験できます。
重要:個人では受験できない・所属が必須
損保一般試験は個人での直接申込ができません。以下の条件が必要です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 所属要件 | 損害保険会社または損害保険代理店に所属(雇用または委託契約)していること |
| 承認要件 | 損害保険会社の承認を得ていること |
| 申込方法 | 所属保険会社・代理店を通じた申込(団体申込)または代理店が直接CBT申込システムから申込 |
これから損保業界で働くことを検討している方は、損害保険会社・保険代理店・損保を取り扱う会社(ディーラー・不動産会社等)に就職・入社した後に会社のサポートを受けながら取得する流れになります。
4単位の構成:基礎単位と3つの商品単位
| 単位 | 区分 | 主な出題内容 | 受験の要否 |
|---|---|---|---|
| 基礎単位 | 必須 | 損害保険の基礎・保険業法・募集コンプライアンス・消費者保護・告知義務・保険契約の仕組み | 全員必須(不合格では代理店登録・募集人届出ができない) |
| 自動車保険単位 | 商品単位 | 自動車保険の仕組み・任意保険と自賠責の違い・自動車事故の処理・示談・保険金支払い | 自動車保険を取り扱う場合に必須 |
| 火災保険単位 | 商品単位 | 火災保険・地震保険の仕組み・建物・家財の評価・保険金算定・特約 | 火災保険を取り扱う場合に必須 |
| 傷害疾病保険単位 | 商品単位 | 傷害保険・医療保険・がん保険・就業不能保険の仕組み・支払い要件 | 傷害疾病保険を取り扱う場合に必須 |
商品単位は取り扱う保険商品に応じた単位のみ受験が必要です。例えば自動車ディーラーであれば自動車保険単位、不動産会社であれば火災保険単位が中心になります。「1回の申込」で申し込める単位は、試験日が同一かつ時間帯が連続している単位に限られます。
試験の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験形式 | 〇×問題・4択問題・語句選択など選択問題形式・CBT方式(PC受験) |
| 問題数・配点 | 各単位50問・1問2点・100点満点 |
| 試験時間 | 各単位40分 |
| 合格基準 | 各単位70点以上(35問以上正解) |
| 試験中のテキスト閲覧 | 可能(学習サイト上のデジタルテキストを試験中に参照可) |
| 合格率 | 90%以上(業界推定・公式非公表) |
| 試験頻度 | 月曜日〜土曜日(年末年始・祝日除く)のほぼ毎日受験可 |
| 合格発表 | 試験終了後に画面上で即時確認・翌翌日の10時に合否確定・翌々日の12時に合格証書発行 |
| 更新制度 | 単位ごとに5年の更新制(更新試験の難易度は新規試験と同水準) |
| 主催 | 一般社団法人日本損害保険協会(委託実施:プロメトリック株式会社) |
【重要】2025年4月からデジタルテキストに完全移行
2025年4月版より、損保一般試験の教育テキストは紙冊子での配付を終了し、デジタルテキストに完全移行しました。受験者は損保代理店試験の学習サイトにログインしてデジタルテキストを利用します。
| 変更点 | 内容 |
|---|---|
| 教育テキスト | 2025年4月版より紙冊子廃止・学習サイト上のデジタルテキストのみ |
| 学習サイトのID | 受験申込完了時または入金完了時にメールで通知。教育テキストの適用年度(4月〜翌年6月)ごとに変わる |
| 試験中の閲覧 | 試験中も学習サイトのデジタルテキストを参照可能(試験問題と同じ画面上で閲覧) |
| 対象端末 | PC推奨(スマートフォン・タブレットでも利用可能だが試験はPCのみ) |
テキストが閲覧可能であっても、試験時間は40分と限られているため、テキストのどこに何が書いてあるかを事前に把握しておくことが重要です。「調べれば解ける」という油断は禁物で、出題傾向を過去問で把握しテキストの構成を頭に入れておくことが合格の鍵です。
5年更新制:更新を忘れると資格が失効
損保一般試験(損害保険募集人資格)は、各単位ごとに5年の更新制が設けられています。これは保険業法改正・商品内容の変更・コンプライアンス要件の変化に対応するための制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 更新期限 | 各単位の合格日から5年以内に更新試験を受験し合格 |
| 更新試験の難易度 | 新規受験と同水準。出題内容・形式は同一 |
| 更新忘れの場合 | 有効期限を超えると資格が失効し、当該単位の保険商品の取扱いができなくなる |
| 失効後の対応 | 改めて同単位を受験・合格することで資格を復活させることが可能 |
| 更新管理 | 所属会社が管理・通知するケースが多いが、自分でも有効期限を把握しておくことが重要 |
生命保険募集人資格に有効期限がないのとは異なり、損保一般試験は5年毎の更新が必須です。複数単位を取得した場合、単位ごとに有効期限が異なるケースがあるため注意が必要です。
損害保険募集人資格で活躍できる職場
損害保険会社の営業・代理店担当
損害保険会社の営業職・代理店支援担当として、保険代理店への支援・研修・新契約獲得を担うポジションでは損保一般試験の全単位取得が基本です。保険会社の内勤職員も損害保険業務に関わる部署では取得が求められます。
保険代理店・乗合代理店
複数の保険会社の商品を取り扱う乗合代理店では、基礎単位+取扱商品に応じた商品単位の取得が必須です。自動車保険・火災保険・傷害保険など幅広い商品を扱う場合は3つの商品単位すべてを取得することで、顧客の多様なニーズに対応できる専門家として活躍できます。
自動車ディーラー・中古車販売店
自動車の販売に伴い自動車保険(任意保険)を提案するディーラーや中古車販売店では、自動車保険単位の取得が必須です。自動車販売の現場で「クルマと保険をセットで提案できる」専門スタッフとしての価値を高めます。
不動産会社・住宅会社
住宅購入・賃貸契約に伴って火災保険・地震保険を提案する不動産会社・住宅ローン担当者には火災保険単位が必要です。住宅の購入・引越しのタイミングで保険も提案できる担当者は顧客満足度の向上・収益拡大につながります。
旅行会社・銀行・信用金庫・郵便局等
旅行保険・海外旅行保険を取り扱う旅行会社、銀行の窓口で損害保険を販売する担当者、農業協同組合・郵便局などでも損保一般試験の取得が必要です。多業種で損害保険の取扱いが広がっており、資格の活躍の場は保険会社に限りません。
損保大学課程(損保プランナー・損保トータルプランナー)へのステップアップ
損保一般試験の取得後、さらに専門性を高めるステップアップ資格として「損保大学課程」があります。一般社団法人日本損害保険協会が認定する2段階の上位資格で、より高度な損害保険の専門家として認定されます。
| 資格 | 取得要件 | 称号 |
|---|---|---|
| 損保大学課程(専門コース) | 損保一般試験全単位合格後・所定の学習・専門コース試験合格 | 損害保険プランナー |
| 損保大学課程(コンサルティングコース) | 専門コース認定後・コンサルティングコース試験合格 | 損害保険トータルプランナー |
損害保険トータルプランナーは日本損害保険協会が認定する損害保険分野の最上位資格で、高度な損害保険の提案・コンサルティングができる専門家の証明として評価されます。
合格のための学習戦略
テキスト閲覧可能を最大限活用する
損保一般試験の最大の特徴は試験中にデジタルテキストを閲覧できることです。この特性を踏まえた学習戦略として、「テキストの目次と各章の見出しを記憶する」「重要ポイントがどの章に書かれているかを把握する」ことが合格率向上の鍵です。全暗記ではなく「調べ方を知っている」状態を目指しましょう。
過去問・練習問題で出題パターンに慣れる
日本損害保険協会の公式学習サイトには講義動画・練習問題が用意されています。過去問に近い形式の問題を繰り返し解くことで出題パターンへの習熟度が上がり、試験中のテキスト参照回数を減らせます。「50問を40分で解く」というペース感覚を練習問題で身につけましょう。
基礎単位を最優先に確実に合格する
基礎単位に合格しないと代理店登録・募集人届出ができず、保険販売業務を一切開始できません。複数単位を同時受験する場合でも、基礎単位を確実に合格させることが最優先です。基礎単位の内容(保険業法・募集コンプライアンス・消費者保護)は他の商品単位の理解にも直結するため、最初に徹底的に学ぶことで商品単位の学習も効率化されます。
よくある質問
Q. 試験中にテキストを見れるなら勉強しなくても合格できますか?
そうとは言えません。試験時間は40分・50問と制限があり、1問あたり約48秒しかありません。テキストを参照しながら全問回答することは非常に困難です。「どの章に何が書いてあるか」を把握した上でテキストを素早く参照する能力と、重要項目を記憶している状態での受験が合格への正しい準備です。
Q. 転職した場合、前の会社で取得した損保一般試験の資格はどうなりますか?
損害保険募集人の資格は単位ごとに5年の有効期限があります。転職時に前の代理店・会社での届出が廃止されますが、5年の有効期限内であれば転職先の会社での再登録・届出が可能です。有効期限が切れている場合は再受験が必要です。転職の際は有効期限と転職先の手続き要件を事前に確認してください。
Q. 生命保険募集人資格と損害保険募集人資格の両方が必要なケースはありますか?
はい、生損保を両方取り扱う乗合代理店では両方の資格取得が必要です。例えばFP(ファイナンシャルプランナー)として顧客のライフプランを包括的にサポートする場合、生命保険(死亡・医療・年金)と損害保険(自動車・火災・傷害)の両方を提案できることで、より幅広い顧客ニーズに対応できます。損保代理店の中には生命保険も取り扱う乗合代理店が多く、両資格取得は業界での活躍の幅を大きく広げます。
まとめ
損害保険募集人資格(損保一般試験)は、損害保険の販売に法律上必須の業務要件型資格です。基礎単位+取扱商品に応じた商品単位の合格で、自動車保険・火災保険・傷害保険などを合法的に提案・販売できるようになります。合格率90%以上・試験中テキスト閲覧可という取り組みやすい設計ですが、5年毎の更新制を忘れると資格が失効するため、有効期限の管理は徹底してください。
損保業界でのキャリアを目指す方は、まず就職先の損害保険会社・代理店の試験サポート制度を確認し、基礎単位から順に確実に合格を積み上げましょう。詳細は日本損害保険協会の損保代理店試験公式サイト(sonpo-dairiten.jp)でご確認ください。
