全経簿記能力検定の取り方|日商簿記との違い・上級の記述式が合否を分ける・年2回7月・2月の受験スケジュール解説

簿記能力検定試験(全経簿記)基礎〜上級

受験資格

なし
年齢・学歴・職種不問。どの級からでも受験可。小・中学生も受験可能

難易度

★★★★★★★★
基礎70〜90%・3級65%前後・上級10〜15%。日商1級相当の最高峰

試験頻度

年4回(5・7・11・2月)
上級のみ年2回(7月・2月)。基礎〜2級はネット試験(CBT)も可能

合格率

上級:10〜15% / 1級商業:40%前後 / 3級:65%前後
上級のみ各科目40点以上+4科目合計280点以上の特別基準

受験料(目安)

上級:7,800円〜 / 1級:各科目2,200円〜
級・科目・受験地域により異なる。ネット試験は別途事務手数料1,200円

上級の最大メリット

★★★★★
税理士試験(税法科目)の受験資格が付与。日商1級との2冠で相互補完

日商簿記検定と並ぶ「もうひとつの簿記検定」として、会計・経理の専門教育機関で広く活用されているのが簿記能力検定試験(通称:全経簿記)です。公益社団法人全国経理教育協会(ZENKEI)が主催し、文部科学省と日本簿記学会が後援するこの検定は、基礎簿記会計から上級まで7段階で構成されており、小学生から会計のプロフェッショナルまで幅広い層が受験しています。

最高峰の全経上級に合格すると、日商簿記1級と同様に税理士試験(税法科目)の受験資格が付与されます。日商1級より記述式問題が多く、独自の出題傾向を持つ全経上級は、税理士試験を目指す方の「もうひとつの登竜門」として毎年多くの受験者が挑戦しています。

目次

全経簿記とはどんな検定か

全経簿記能力検定試験は「簿記に関する知識・技術を客観的に評価し、経理・会計分野の人材育成に貢献する」ことを目的とした検定試験です。全国の専修学校・高等学校の会計・経理科目の教育水準と連動した試験内容が特徴で、特に専門学校・商業系高校での簿記教育の「到達度証明」として広く使われています。

日商簿記との最大の違いは「全経上級は記述式問題の比率が高い」という点です。日商1級が選択式・計算問題中心なのに対し、全経上級は会計理論の記述を求める問題が多く、「なぜそのような会計処理をするのか」という背景理解が必要です。

全7段階の等級構成

等級 試験科目 試験時間 合格基準 合格率目安 受験頻度
上級 商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算(4科目) 各90分(2部制) 各科目40点以上+4科目合計280点以上 10〜15% 年2回(7月・2月)
1級(商業簿記・財務会計) 商業簿記・財務会計 各90分 各科目70点以上 20〜50% 年4回(5・7・11・2月)
1級(原価計算・管理会計) 原価計算・管理会計 各90分 各科目70点以上 50〜70% 年4回(5・7・11・2月)
2級(商業簿記) 商業簿記 90分 70点以上 50〜70% 年4回(ペーパー・ネット試験)
2級(工業簿記) 工業簿記 90分 70点以上 60〜80% 年4回(ペーパー・ネット試験)
3級(商業簿記) 商業簿記 90分 70点以上 65%前後 年4回(ペーパー・ネット試験)
基礎簿記会計 簿記会計の基礎 60分 70点以上 70〜90% 年4回(ペーパー・ネット試験)

1級は「商業簿記・財務会計」と「原価計算・管理会計」に分かれており、どちらか一方だけ合格した場合も、1年以内に残りの科目に合格すれば「1級合格」となる科目合格制度が設けられています。

試験の基本情報

項目 ペーパー試験 ネット試験(CBT)
対象等級 基礎〜上級すべて 基礎〜2級のみ(上級・1級は不可)
試験形式 筆記(ペーパー)方式 PC操作による解答
試験会場 全国の実施団体(専修学校・経理学校等)が指定する会場 全国の指定テストセンター
合格発表 試験日から1週間以内(上級のみ2ヶ月以内) 試験終了後に即時判定
事務手数料 なし 別途1,200円(税込)が必要
主催 公益社団法人全国経理教育協会(ZENKEI)・文部科学省・日本簿記学会後援

2026年度 試験日程(予定)

回次 試験日(予定) 対象等級 申込受付目安
第215回(5月試験) 2026年5月下旬(日曜日) 基礎〜1級(上級なし) 2026年4月上旬〜5月上旬
第216回(7月試験) 2026年7月上旬(日曜日) 基礎〜上級(全等級) 2026年5月中旬〜6月中旬
第217回(11月試験) 2026年11月下旬(日曜日) 基礎〜1級(上級なし) 2026年10月上旬〜10月下旬
第218回(2月試験) 2027年2月中旬(日曜日) 基礎〜上級(全等級) 2026年12月下旬〜1月下旬

上記は過去の実施スケジュールをもとにした予測です。正式な試験日程・申込方法・受験料は全国経理教育協会の公式サイト(zenkei.or.jp)または各地の実施団体で確認してください。実施団体によって受験料・申込締切が異なる場合があります。

日商簿記との比較:両者の特徴と違い

項目 全経簿記 日商簿記
主催 全国経理教育協会(ZENKEI) 日本商工会議所・各地商工会議所
認知度・普及度 会計・経理専門教育機関での認知が高い 企業の採用・昇格評価での認知度が最高
最高峰等級 上級(税理士受験資格付与) 1級(税理士受験資格付与)
試験頻度 上級:年2回(7月・2月) 1級:年2回(6月・11月)
出題形式の特徴 記述式(論述・説明問題)が多い 計算問題・処理問題が中心
難易度(最高峰) 日商1級と同等〜やや易しい(合格率10〜15%) 合格率10〜15%(同水準)
ネット試験 基礎〜2級のみ対応 2・3級はCBT対応(通年受験可)
税理士受験資格 上級合格で付与 1級合格で付与
同名称の級の難易度比較 全経1級<日商1級

注意が必要なのは名称が同じでも難易度が異なる点です。全経1級は日商1級より難易度が低く、日商2級〜1級の中間程度とされています。全経の「1級」を持っていても日商の「1級」と同等ではないため、採用・転職でのアピール時は混同しないよう注意が必要です。

全経上級の詳細:税理士受験資格への登竜門

合格基準の仕組み

全経上級の合格基準は日商1級とは異なる独自の設計です。

条件 内容
各科目の足切り 商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目それぞれで40点以上
総得点の基準 4科目の合計得点が280点以上(400点満点中70%以上)
両方の条件を同時に満たすことが必要 1科目でも39点以下だと不合格

日商1級との主な違い

項目 全経上級 日商1級
合格率 10〜15% 10〜15%(類似)
試験時期 7月・2月(年2回) 6月・11月(年2回)
記述式問題 多い(会計理論の説明・論述) 少ない(主に計算・処理問題)
勘定科目の扱い 独自の標準勘定科目表に基づく 日商独自の勘定科目
難易度の性質 記述で「理論を言葉で説明できるか」を問われる 計算の正確さ・処理の速度が問われる
合格後の税理士受験資格 税法科目のみの受験資格(2023年度改正後) 税法科目のみの受験資格(同)

全経上級は7月・2月実施のため、日商1級の6月・11月試験とのダブル受験戦略が定番です。日商1級6月合格を目指すなら7月の全経上級と、日商1級11月合格を目指すなら2月の全経上級と組み合わせることで、税理士受験資格の取得機会を増やせます。

全経簿記で開けるキャリア

経理・会計職への就職・転職

全経2級・3級は企業の経理・会計補助職への応募でのアピール材料として活用できます。特に専修学校・商業高校卒業者が在学中に取得した全経簿記は、「学校での会計教育の成果」として評価されます。全経上級・1級は日商と同様に経理・財務職での実力証明として活用可能です。

税理士試験への受験資格取得

全経上級の最大のメリットは税理士試験(税法科目)の受験資格が付与されることです。2023年度の税理士試験制度改正により、税理士試験受験資格として認められるのは「税法科目のみ」への適用となりましたが、それでも大学・大学院での要件を満たさない方にとっては、全経上級または日商1級の取得が実質唯一の受験資格取得ルートとなっています。

日商簿記1級へのステップアップ

全経上級の学習内容は日商1級と大部分が重複しており、全経上級の対策が日商1級合格への力を高めます。逆に日商1級の学習経験がある方が全経上級に挑戦することで、記述式論述問題への対応力が試されるため「会計理論の理解の深化」につながります。両検定をセットで学習することで、税理士試験の簿記論・財務諸表論への最短学習ルートが開けます。

難易度と学習の進め方

等級 日商簿記との比較 勉強時間目安
基礎簿記会計 日商3級より易しい 10〜30時間
3級商業簿記 日商3級相当 30〜80時間
2級商業簿記 日商2・3級の中間〜日商2級相当 80〜150時間
2級工業簿記 日商2級工業簿記相当 50〜100時間
1級商業簿記・財務会計 日商2級上位〜日商1級下位 150〜250時間
1級原価計算・管理会計 日商2級工業簿記上位〜日商1級下位 100〜200時間
上級 日商1級相当(記述式が多い) 300〜500時間(日商1級学習経験者で追加100〜200時間)

合格のための学習戦略

基礎〜2級:日商簿記の教材で学習し全経で腕試し

全経2級・3級の試験内容は日商簿記2〜3級の学習内容と大きく重複しているため、日商簿記の市販テキスト・問題集で学習した後に全経の過去問で勘定科目の違いと出題傾向を確認するアプローチが効率的です。日商と全経では使用する勘定科目名が異なるケースがあるため、本番前に全経固有の用語を確認しておきましょう。

全経上級:記述式論述の練習が合否を分ける

全経上級の最大の特徴は記述式問題の多さです。会計処理の理由・概念フレームワーク・会計基準の考え方を日本語で論述する力が求められます。日商1級の学習で計算力を高めた後、全経上級の過去問(大原・TACから対策教材あり)を使って記述問題の解答パターンを習得することが合格の鍵です。

日商1級との2冠を目指す受験計画

日商1級合格を目標にしつつ、試験日のずれを活かして全経上級も並行受験する戦略が多くの受験者に選ばれています。日商1級6月受験→全経上級7月受験、または全経上級2月受験→日商1級6月受験という流れで、1年以内に税理士受験資格を確実に取得する計画が効率的です。

よくある質問

Q. 全経1級と日商1級はどちらが難しいですか?

日商1級の方が難易度が高いとされています。全経1級は日商2〜1級の中間程度の難易度で、合格率も1級商業簿記で20〜50%と日商1級(10〜15%)より高い水準です。ただし「全経上級」は日商1級と同等の難易度で、合格率も同水準の10〜15%です。「全経1級」と「全経上級」は別の等級であることに注意してください。

Q. 全経上級合格だけで税理士試験に合格できますか?

全経上級合格は税理士試験(税法科目)の受験資格を得るためのものです。税理士試験そのものは全経上級とは別に5科目(会計2科目+税法3科目)に合格する必要があり、全経上級の合格だけで税理士になれるわけではありません。税理士試験への道の「入り口の鍵」を手に入れる資格と理解してください。

Q. ネット試験と紙の試験はどちらが受けやすいですか?

基礎〜2級はネット試験(CBT)も利用できます。CBTは全国のテストセンターで随時受験でき、試験終了後すぐに合否がわかる利便性があります(別途事務手数料1,200円が必要)。一方、紙のペーパー試験は従来の筆記形式で集中できる環境を好む方に向いています。どちらを選んでも試験の難易度・合格基準は同じです。

まとめ

全経簿記能力検定試験は、日商簿記と並ぶ会計・経理教育の定番検定として、基礎レベルから税理士受験資格が付与される「上級」まで7段階で幅広い学習者をカバーしています。特に全経上級は日商1級との2冠戦略・税理士試験への受験資格取得ルートとして多くの会計学習者に活用されています。

上級の試験は年2回(7月・2月)、その他の等級は年4回(5・7・11・2月)実施されます。受験を検討している方は全国経理教育協会の公式サイト(zenkei.or.jp)で最新の試験日程・申込方法・受験料を確認してください。

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