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行政書士
受験資格
なし
年齢・学歴・国籍すべて不問
難易度
★★★★
合格率10〜15%。法律系資格の登竜門
勉強時間の目安
800〜1,000時間
法律未経験者は1年以上の準備が必要
合格率
10〜15%前後
2025年度(令和7年度)は14.5%(受験者50,163人中7,292人合格)
試験日・受験料
年1回・10,400円
例年11月第2日曜日。2026年度(令和8年度)は11月8日(日)
転職需要
★★★
独立開業・副業・企業の法務などで活かせる
許認可申請・遺言書作成・契約書作成など、行政手続きと法律書類の専門家として活躍できる国家資格が「行政書士」です。受験資格がなく誰でも挑戦できることから、法律系国家資格への入口として人気があり、2025年度(令和7年度)は約5万人(50,163人)が受験しました。
合格率は10〜15%前後と簡単ではありませんが、法律未経験の社会人でも、行政法・民法を中心に計画的に勉強時間を確保すれば合格を目指せる資格です。独立開業・副業・法律系のほかの資格へのステップアップと、取得後のキャリアの幅が広い点も多くの社会人に選ばれる理由です。
2026年度(令和8年度)の試験は11月8日(日)13時〜16時です。受験票は10月19日(月)に発送予定と案内されています。受験される方は、受験票の試験場と持ち物を公式サイトの案内とあわせて確認しておきましょう。
この記事は、2024年度(令和6年度)の行政書士試験に1回で合格した運営者の体験と、試験を実施する行政書士試験研究センターの公式情報をもとにまとめています。
行政書士とはどんな資格か
行政書士は、行政書士法に基づく国家資格です。主な業務は「官公署への提出書類・権利義務に関する書類・事実証明書類の作成と提出代行」で、その範囲は非常に広いのが特徴です。
具体的には、建設業許可・飲食店営業許可・風俗営業許可などの各種許認可申請、在留資格(ビザ)の申請手続き、遺言書・遺産分割協議書の作成、会社設立・定款作成、契約書・内容証明郵便の作成などが代表的な業務です。官公署に提出する書類などの作成を、他人の依頼を受けて報酬を得て業として行うことは、ほかの法律に定めがある場合を除いて行政書士でなければできません(行政書士法第19条)。
行政書士は弁護士・司法書士のような訴訟・登記業務はできませんが、企業や個人が日常的に必要とする許認可・手続き業務の幅広さが強みであり、特定分野に特化することで専門性の高いコンサルタントとしても活躍できます。
受験資格
行政書士試験には受験資格の制限がありません。試験を実施する行政書士試験研究センターも「年齢、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験できます」と案内しています。法律の勉強経験がまったくない方でも挑戦できることが、行政書士試験の大きな特徴のひとつです。
試験の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | なし(年齢・学歴・国籍不問) |
| 受験料 | 10,400円 |
| 試験日 | 例年11月第2日曜日(2026年度(令和8年度):11月8日(日)) |
| 申込期間 | 2026年度(令和8年度)は郵送:7月21日〜8月17日(消印有効)/インターネット:7月21日〜8月24日(受付は終了) |
| 受験票 | 2026年度(令和8年度)は10月19日(月)発送予定 |
| 試験時間 | 午後1時〜午後4時(3時間) |
| 出題数 | 60問(300点満点) |
| 合格基準 | 法令等科目122点以上+基礎知識科目24点以上+総合180点以上(2025年度(令和7年度)の合否判定基準) |
| 合格率 | 10〜15%前後(2025年度(令和7年度):14.5%) |
| 合格発表 | 翌年1月下旬(2026年度(令和8年度)は2027年1月27日(水)) |
| 主催 | 一般財団法人 行政書士試験研究センター |
出典:一般財団法人行政書士試験研究センター「令和8年度行政書士試験のご案内」「試験結果分析資料」「令和7年度行政書士試験合否判定基準」(確認日:2026年10月17日)
行政書士試験は基準点を満たせば合格できる試験です。2026年度(令和8年度)の案内では、法令等科目が満点の50%以上、基礎知識科目が満点の40%以上、試験全体が満点の60%以上の3つをすべて満たすと合格とされています(2025年度(令和7年度)は122点・24点・180点)。ただし、問題の難易度を評価して補正的措置を加えることがあるとも案内されています。余裕を持って、総合180点を上回る点数を目標にしましょう。
試験の科目構成と配点
試験は「法令等科目」と「基礎知識科目」の2種類で構成されます。配点の大部分を占める法令等科目、特に「行政法」と「民法」が合否の鍵を握ります。
| 科目区分 | 主な内容 | 配点 |
|---|---|---|
| 行政法 | 行政手続法・行政不服申立法・行政事件訴訟法・国家賠償法・地方自治法など | 112点(最大) |
| 民法 | 契約・物権・相続・家族法など | 76点(最大) |
| 憲法 | 基本的人権・統治機構など | 28点(最大) |
| 商法・会社法 | 商法総則・会社法の基礎 | 20点(最大) |
| 基礎法学 | 法学の基礎概念 | 8点(最大) |
| 基礎知識科目 | 一般知識・行政書士法等の業務関連法令・情報通信・個人情報保護・文章理解 | 56点(最大) |
出題形式は、五肢択一式(法令等40問・基礎知識14問、各4点)・多肢選択式(法令等3問、各8点)・記述式(法令等3問、各20点)の3種類です(2025年度(令和7年度)の合否判定基準の配点)。特に記述式(40字程度で記述)は配点が60点と高く、合否を大きく左右します。択一式だけで180点を稼ぐのは難しいため、記述式対策が必須です。
行政書士で開けるキャリア
独立開業
行政書士の資格取得後、都道府県の行政書士会に登録することで独立開業できます。建設業許可・飲食店開業・会社設立・外国人ビザ申請・遺言・相続など、特定分野に特化した専門事務所を立ち上げる方が多くいます。特に近年は「外国人ビザ申請(入管業務)」「補助金申請支援」「農地転用」などの需要が伸びており、特化型の行政書士としてニッチな市場を開拓する道も広がっています。
副業行政書士
会社員として働きながら登録・開業し、副業として案件を受ける「副業行政書士」も増えています。許認可申請・契約書作成・補助金申請などはスポット案件として受けやすく、週末や夜間に対応することも可能です。副業から始めて軌道に乗ったのちに独立するルートを選ぶ方も多くいます。
法務・コンプライアンス職へのキャリアアップ
一般企業の法務・コンプライアンス部門・許認可管理部門への転職において、行政書士資格は法律知識の裏付けとして評価されます。特に許認可が多い建設業・飲食業・不動産業・医療福祉業などの業種では、社内で許認可手続きを管理する人材として重宝されます。
法律系上位資格へのステップアップ
行政書士は法律系資格の登竜門として位置づけられており、合格後に司法書士・社労士・中小企業診断士などの上位資格を目指す方も多くいます。行政書士で学ぶ憲法・民法・商法は司法書士試験とも重複する分野が多く、行政書士合格者が司法書士試験に挑戦するルートは定番のキャリアパスです。また、社労士試験の受験資格として行政書士合格が認められているため、「行政書士→社労士」のダブルライセンスを目指す方も多くいます。
難易度・勉強時間の目安
行政書士試験の合格率は10〜15%前後です。法律系国家資格の中では司法書士・社労士より取り組みやすい水準ですが、決して容易ではありません。試験範囲が広く、五肢択一という選択肢の多さ、足切り基準(科目別最低点)、記述式への対応と、複数のハードルをすべてクリアする必要があります。
勉強時間は、法律の初学者で800〜1,000時間がひとつの目安です。働きながら合格を目指すなら、平日2時間・休日5時間ほどのペースで約1年間続ける計画を立てると、試験日から逆算しやすくなります。
| 前提知識 | 勉強時間 | 学習期間の目安 |
|---|---|---|
| 法律系資格の学習経験あり(宅建・FP等) | 600〜800時間 | 8ヶ月〜1年 |
| 法律知識ほぼなし・初学者 | 800〜1,000時間 | 1〜1.5年 |
運営者の合格体験:会社員で6月から勉強し、1回で合格
運営者は、2024年度(令和6年度)の行政書士試験に1回で合格しました。当時は会社員で、取引先として行政書士に仕事を依頼し、やり取りする中で興味をもったのが受験のきっかけです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験した年度 | 2024年度(令和6年度)・1回で合格 |
| 当時の状況 | 会社員 |
| 勉強期間 | 6月から11月の試験まで(約5か月) |
| 勉強時間 | 計っていないが、300〜400時間くらい(本人の感覚) |
| 平日 | 通勤中と、帰りに図書館に寄って1時間程度 |
| 土日 | それぞれ3〜5時間くらい |
| テキスト | TAC出版『スッキリわかる行政書士テキスト』(2024年度版) |
| 過去問 | 無料の過去問アプリ |
| 記述式対策 | LEC『出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集』(3周) |
| 直前対策 | LECの直前予想模試 |
勉強時間は上で紹介した目安より少なめですが、記録をつけていない本人の感覚です。必要な時間は、法律の学習経験や1日に使える時間によって人それぞれ違います。
教材は増やさず、1冊を集中して回した
どの教材も必要最低限の知識が入っていて、過不足なく学べました。合わないと感じた教材は特にありません。記述式の対策は『出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集』を3周しました。運営者は「いろんな問題集に手を出すよりも、1冊を集中的に回したのがよかったかなと思います」と振り返っています。本番では、この問題集で解いたのと似た論点も出ました。
つまずいたのは記述式
いちばん苦労したのは記述式です。「記述式は点数が安定しないのと、採点方法がブラックボックスなので、結果が出るまでドキドキでした」。対策は、上のとおり1冊の問題集をくり返すことに絞りました。
試験当日の様子
会場には受験者がたくさんいて驚いたそうです。問題は頭から順番に解き、記述式は最後に回しました。3時間と長い試験のため、途中でトイレに席を立つ人も割といたのが印象に残っています。
合格後
合格後は、転職活動で評価されることが多かったといいます。これから受ける人へは「簡単な試験ではないですが、取って損する資格ではないので頑張る価値はあります」。
合格のための勉強法
行政法・民法を最優先に学習する
配点の最も大きい行政法(112点)と民法(76点)の2科目で合計188点分を占めます。この2科目だけで全体の約60%以上の配点があるため、まずここを徹底的に仕上げることが合格への最短ルートです。行政法は暗記要素が多く過去問の反復が効果的で、民法は理解が重要で条文と判例を丁寧に読み込む学習が必要です。
記述式対策を早期から始める
記述式問題(行政法1問・民法2問)は各20点・合計60点の配点があり、択一式だけで180点を達成するのが難しいことから、記述式への対応が合否を分ける最大のポイントです。40字程度で正確に答える練習を、択一式の学習と並行して早い段階から始めることが重要です。過去問の記述式を繰り返し解いて、「問われていることを正確に・コンパクトに書く」型を習得しましょう。
基礎知識科目の足切りを確実にクリアする
基礎知識科目は出題範囲が広く(一般知識・行政書士法等の業務関連法令・情報通信・個人情報保護・文章理解)、対策が難しい科目です。しかし満点の40%(2025年度(令和7年度)は56点中24点=14問中6問正解)という基準を下回ると、法令等科目でどれだけ高得点でも不合格になります。文章理解や、行政書士法などの業務関連法令、情報通信・個人情報保護は過去問で傾向をつかみやすいため、ここを得点源にしておくと安心です。
最新法改正への対応
行政書士試験では民法・会社法・個人情報保護法などの法改正が毎年出題に反映されます。出題の対象は、試験を行う年度の4月1日時点で施行されている法令です。試験直前には最新の法改正ポイントを確認し、古い情報のままで受験しないよう注意が必要です。使用するテキストが最新年度版であることを確認してください。
独学 vs 通信講座 vs 資格学校
行政書士試験は独学合格者も一定数いますが、試験範囲が広く記述式対策も必要なため、通信講座を活用することで学習効率が大きく上がります。特に初学者は通信講座の体系的なカリキュラムと記述式添削サービスの活用が合格への近道です。
| 学び方 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| 独学(市販テキスト・過去問) | 費用を抑えたい人、法律の学習経験がある人 | 記述式の答案を自分で採点しにくい。法改正に対応した受験年度の版を選ぶ |
| 通信講座 | 働きながら自分のペースで学びたい人 | 講座によって価格・添削・質問の範囲が大きく違う |
| 資格学校(通学) | 決まった時間に授業を受けて、ペースを保ちたい人 | 費用が高めで、通える校舎が限られる |
通信講座の価格やサポートは毎年変わるため、申し込む前に各講座の公式サイトで最新の内容を確認しましょう。主な通信講座の費用・サポートの比較は「行政書士通信講座の比較」でまとめています。2026年度(令和8年度)の試験が終わると、次の目標は2027年度(令和9年度)の試験です。
行政書士試験に絞った通信講座です。講座の内容と価格は公式サイトで確認してください。
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よくある質問
Q. 法律をまったく勉強したことがない社会人でも合格できますか?
はい、受験資格がないため、法律を学んだことがない社会人も多く受験しています。契約や手続きなど、仕事での経験が民法・行政法の理解に役立つ場面もあります。ただし初学者は800〜1,000時間が目安とされる学習時間の確保が必要で、早めに学習を始めることが大切です。
Q. 行政書士と司法書士はどう違いますか?
行政書士は行政手続き・許認可申請・書類作成が主な業務です。司法書士は不動産登記・商業登記・簡易裁判所での代理業務が主な業務です。試験の難易度は司法書士のほうが高く、行政書士に合格したあとで司法書士を目指す人もいます。
Q. 合格後すぐに開業できますか?
試験に合格したあと、事務所を置く都道府県の行政書士会を通じて行政書士名簿に登録し、その行政書士会に入会すると開業できます。費用は、日本行政書士会連合会の登録手数料(新規登録25,000円)のほか、登録免許税や各行政書士会の入会金・会費などがかかり、合計額は行政書士会によって異なります。金額は事務所を置く行政書士会に確認しましょう。実務経験がなくても登録・開業はできますが、行政書士事務所などで実務を学んでから独立する人もいます。
出典:日本行政書士会連合会「行政書士になるには」「各種手数料について」(確認日:2026年10月17日)
Q. 社労士試験の受験資格に行政書士合格が使えますか?
はい、行政書士となる資格を有する者(行政書士試験の合格者など)は、社労士試験の受験資格に該当します(社会保険労務士法第8条)。学歴や実務経験の要件を満たしていない方が社労士を目指す場合、まず行政書士に合格して受験資格を得るルートがあります。受験の申込では合格証明書などの提出が必要です。
出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト「「その他の国家試験合格」による受験資格には何がありますか。」(確認日:2026年10月17日)
まとめ
行政書士は受験資格なし・合格率10〜15%前後・独立開業も可能という、法律系国家資格の中でも挑戦しやすい入口のひとつです。取得後の独立・副業・法務職への転職・ほかの法律系資格へのステップアップと、キャリアの選択肢が広い点が多くの社会人に支持される理由です。
試験は年1回・11月の実施です。2026年度(令和8年度)の申込は7〜8月でした。2027年度(令和9年度)の試験を目指すなら、日程の発表を待たずに、行政法と民法の基礎から学習を始めておきましょう。
