介護支援専門員(ケアマネジャー)
受験資格
国家資格21種等+実務5年以上
介護福祉士・看護師・社会福祉士等+900日以上の従事
難易度
★★★★
合格率20〜32%。2分野それぞれで基準点クリアが必要
勉強時間の目安
100〜200時間
試験日の半年〜1年前から1日30分〜1時間の学習が目安
合格率
20〜32%(近年)
第27回(2024年度):32.1%・合格者17,228名
試験日・受験料
年1回・10月第2日曜日
受験料は都道府県により異なる(例:東京都12,400円)
転職・キャリア需要
★★★★★
超高齢社会で需要急増。介護職のキャリアアップの王道
介護が必要な高齢者・障害者とさまざまな介護サービスをつなぐ「橋渡し役」として、介護保険制度の中核を担うのが「介護支援専門員(ケアマネジャー)」です。ケアプランの作成・関係機関との連携・家族への相談対応など、介護サービスのトータルコーディネーターとして超高齢社会を支える重要な専門職です。
介護福祉士・看護師・社会福祉士などの実務経験者がキャリアアップの目標として取得する代表的な資格で、合格率は20〜32%。第27回(2024年度)試験では合格率32.1%と20年ぶりに30%を超え、近年は受験しやすい状況となっています。
介護支援専門員(ケアマネジャー)とはどんな資格か
介護支援専門員は介護保険法に基づく公的資格で、各都道府県知事が登録します。2000年4月の介護保険制度導入とともに創設されました。正式名称は「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、実務研修を経て登録された専門職です。国家試験ではなく都道府県が実施する試験ですが、問題は厚生労働省が全国統一で作成しており、実質的に国家資格に準じた扱いを受けています。
主な業務は、利用者のニーズを把握して介護サービス計画(ケアプラン)を作成し、訪問介護・デイサービス・施設入所などの各介護サービス事業者との連絡調整を行うことです。利用者・家族・医療機関・行政・介護事業者のすべてをつなぐコーディネーターとして、介護保険サービスを機能させる要の存在です。
受験資格:2つのルート
ケアマネ試験の受験には、以下のいずれかの要件を満たした上で、通算5年以上かつ900日以上の実務経験が必要です。
| ルート | 条件 |
|---|---|
| ①国家資格等に基づく業務ルート | 下記の21種の国家資格等を保有し、その資格登録日後の業務に5年以上・900日以上従事 |
| ②相談援助業務ルート | 生活相談員・支援相談員・相談支援専門員・主任相談支援員として要援護者への相談援助業務に5年以上・900日以上従事 |
①の対象となる国家資格等21種は以下のとおりです。
医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・視能訓練士・義肢装具士・歯科衛生士・言語聴覚士・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師・栄養士(管理栄養士含む)・精神保健福祉士
なお、資格は取得していても対人援助に直接関わらない教育・研究・営業等の業務期間はカウントされません。また複数の職場での実務経験を合算する場合は、それぞれの職場から実務経験証明書を取得する必要があります。
試験の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日 | 例年10月第2日曜日(全国統一) |
| 受験申込期間 | 例年6月上旬〜6月末(都道府県により異なる) |
| 合格発表 | 例年11月下旬 |
| 問題数・時間 | 全60問・120分・マークシート方式(五肢択一) |
| 受験料 | 都道府県により異なる(例:東京都12,400円) |
| 受験地 | 現在の勤務地の都道府県で受験(住所ではなく勤務地が基準) |
| 実施主体 | 各都道府県(問題は厚生労働省が全国統一作成) |
受験地については注意が必要です。ケアマネ試験は住所地ではなく「現在の勤務地(受験資格となる業務に従事している都道府県)」での受験が原則です。東京都在住でも千葉県で勤務していれば千葉県で受験することになります。受験要項で必ず確認しましょう。
試験の2分野と合格基準
| 分野 | 問題数 | 主な内容 | 合格基準 |
|---|---|---|---|
| 介護支援分野 | 25問 | 介護保険制度・ケアマネジメント・ケアプランの作成・サービス調整・給付管理 | 正答率70%基準(難易度で補正) |
| 保健医療福祉サービス分野 | 35問 | 訪問看護・リハビリ・医療との連携・認知症・障害福祉・各種介護サービスの知識 | 正答率70%基準(難易度で補正) |
| 合計 | 60問・120分 | — | 両分野それぞれで基準点以上が必要 |
合格基準は「各分野ごとに正答率70%を基準として、問題の難易度で補正」とされています。合計点が高くても、一方の分野で基準点を下回れば不合格となります。2分野それぞれの対策がバランスよく必要です。第27回(2024年度)の合格基準点は介護支援分野18点・保健医療福祉サービス分野25点でした。
合格後の流れ:実務研修→登録→介護支援専門員証の交付
試験に合格しただけではケアマネジャーとして働けません。以下の手順を経て初めて「介護支援専門員」として活動できます。
| ステップ | 内容 | 期間・備考 |
|---|---|---|
| ①試験合格 | 介護支援専門員実務研修受講試験に合格 | 10月試験・11月合格発表 |
| ②介護支援専門員実務研修の受講・修了 | 各都道府県が実施する研修(87時間以上の講義・演習・実習)を修了 | 例年1〜3月頃。居宅介護支援事業所での3日程度の実習を含む |
| ③介護支援専門員資格登録簿への登録申請 | 都道府県知事に登録申請(登録費用が必要・都道府県により異なる) | 研修修了後に申請 |
| ④介護支援専門員証の交付申請 | 登録申請と同時に行うことを推奨 | 証の交付まで含め合格から約4〜5ヶ月 |
| ⑤ケアマネジャーとして就業開始 | 居宅介護支援事業所・施設等での勤務開始 | 介護支援専門員証の交付後 |
介護支援専門員証の更新制度
ケアマネジャーの資格は5年ごとの更新が必要です。更新には都道府県が指定する更新研修の受講が義務付けられています。更新を怠ると資格が失効するため、有効期限の管理と計画的な研修受講が重要です。
ケアマネジャーで開けるキャリア
居宅介護支援事業所(最も多い就職先)
ケアマネジャーの主な活躍の場が「居宅介護支援事業所」です。在宅で生活する要介護者・要支援者の自宅を訪問し、ケアプランを作成して訪問介護・デイサービス・訪問看護などの各サービスを調整・手配します。担当する利用者一人ひとりの生活を支える、ケアマネの仕事の中で最も代表的なフィールドです。
特別養護老人ホーム・介護老人保健施設(施設ケアマネ)
特別養護老人ホーム・老健・グループホームなどの介護施設では、入居者のケアプラン作成と施設内サービスの調整を担う「施設ケアマネ」として活躍します。在宅ケアマネと異なり、移動が少なく施設内での業務が中心になります。
地域包括支援センター
地域包括支援センターでは「主任介護支援専門員(主任ケアマネ)」として、地域のケアマネジャーへの支援・困難事例への対応・地域ネットワーク構築などを担います。主任ケアマネは通常のケアマネ経験5年以上などの要件を満たした上で主任介護支援専門員研修を修了することで取得できます。
キャリアラダーの頂点「主任介護支援専門員」へ
ケアマネジャーのキャリアアップの最終ステップが「主任介護支援専門員(主任ケアマネ)」です。地域包括ケアシステムの中核として、後輩ケアマネへのスーパービジョン・地域連携・政策立案への参画など、より高度な役割を担います。居宅介護支援事業所の管理者になるためには主任ケアマネの資格が必要とされています。
難易度・合格率の変化
ケアマネ試験の合格率は年度によって大きく変動してきました。
| 年度(回次) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第24回(2021年度) | 約54,290名 | 約12,662名 | 23.3% |
| 第25回(2022年度) | 約54,406名 | 約10,328名 | 19.0% |
| 第26回(2023年度) | 約56,057名 | 約11,844名 | 21.0% |
| 第27回(2024年度) | 約53,699名 | 約17,228名 | 32.1% |
第27回(2024年度)は合格率32.1%と20年ぶりに30%を超え、合格者数17,228名も2021年度以降で最多となりました。受験者数の減少を受けた難易度調整の影響が大きいと見られ、近年は受験しやすい状況が続いています。
合格のための勉強法
介護保険制度の「仕組み」をまず理解する
ケアマネ試験の約4割を占める「介護支援分野」の中心は介護保険制度の仕組みです。介護認定の流れ・区分支給限度基準額・各種給付の種類・保険者と被保険者の関係など、制度の全体像を理解してから細部を覚える学習が効果的です。制度を「点」ではなく「つながり」で理解することで、応用問題にも対応できます。
保健医療福祉サービス分野は実務経験を活かす
看護師・介護福祉士・社会福祉士など医療・介護職の受験者は、自分の実務経験が保健医療福祉サービス分野の学習に直接活かせます。「なぜそのサービスが存在するのか」という現場感覚を持ちながら学ぶことで、暗記ではなく理解に基づいた得点力が身につきます。
過去問演習と法改正チェックの両輪で進める
介護保険法は数年ごとに改正されるため、最新の法令・制度に対応した問題集・テキストを使うことが重要です。過去問演習で出題パターンを把握しながら、直近の法改正ポイントを必ず確認する学習サイクルが合格への近道です。各都道府県のウェブサイトでも過去問が公開されているため、無料で活用できます。
試験の半年前から計画的に開始する
10月の試験に向けて、4〜5月から学習を始める受験者が多くいます。平日30分・休日2時間の学習を半年継続することで、100〜150時間の学習時間を確保できます。介護保険制度の改定が毎年4月に実施されるため、最新版のテキスト・問題集の購入は4月以降がおすすめです。
よくある質問
Q. 介護福祉士を取得してから何年でケアマネを受験できますか?
介護福祉士として介護等の業務に通算5年以上かつ900日以上従事することが必要です。介護福祉士の登録日以降の実務経験のみカウントされます。資格取得後すぐに5年のカウントを開始できますが、900日の従事日数も満たす必要があります(5年勤続でも産休・育休・長期休暇等で900日に達しない場合は要注意)。
Q. ケアマネは「国家資格」ではないのですか?
正確には「公的資格」です。国家試験ではなく各都道府県が実施する試験ですが、試験問題は厚生労働省が全国統一で作成しており、介護保険法に基づく公的な資格として実質的に国家資格に準じた扱いを受けています。履歴書にも正式に記載できます。
Q. 受験料は全国同じですか?
いいえ、都道府県によって異なります。東京都12,400円(2025年度)など、地域によって数千円〜1万数千円の幅があります。必ず受験予定の都道府県の受験案内で確認してください。
まとめ
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、超高齢社会において社会インフラとして不可欠な専門職であり、介護職・看護職・福祉職のキャリアアップの代表的なルートです。第27回試験の合格率32.1%が示すように、近年は受験しやすい傾向にあります。
受験資格の確認(21種の国家資格等+5年900日以上の実務経験)と実務経験証明書の早めの準備が第一歩です。試験対策は介護保険制度の仕組みの理解を核に、最新のテキストと過去問演習で半年計画的に取り組みましょう。