建設業経理士2級と簿記2級はどっちが難しい?合格率・勉強時間・取る順番

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この記事を書いた人資格建築家の運営者・けいしー。行政書士・宅建士・第二種電気工事士・建設業経理士2級など10の資格を取得。試験日や合格率などは、試験団体の公式情報で確認して掲載しています。運営者情報





「簿記2級と建設業経理士2級、どちらが難しいんだろう?」
「建設業で働いているけど、どっちを先に取ればいいの?」

この記事では、日商簿記2級と建設業経理士2級の難易度・合格率・勉強時間・出題範囲を徹底比較し、あなたの状況に合った取得順まで解説します。

結論から言うと、試験の難易度は日商簿記2級のほうがやや高く、建設業経理士2級は簿記の知識があれば比較的短期で取得しやすい資格です。ただし、どちらを先に取るかは目的・業界によって変わります。

この記事を書いている運営者は、両方に1回で合格しています。日商簿記2級は約100時間、そのあとに受けた建設業経理士2級は約10時間の勉強でした。最新の合格率などの公式データと、この体験をもとに詳しく見ていきましょう。

目次

まず結論:2つの資格を一目比較

細かい解説の前に、まず2つの資格の主要データを並べて確認しましょう。

項目 日商簿記2級 建設業経理士2級
主催団体 日本商工会議所 (一財)建設業振興基金
受験資格 なし(誰でも受験可) なし(誰でも受験可)
試験回数 年3回(統一試験)+随時(ネット試験) 年2回(3月・9月)
試験時間 90分 120分
受験料 5,500円(税込)※ネット試験は別に事務手数料あり 7,120円(税込)
合格率 統一試験15〜24%/ネット試験32〜36% 32〜48%(3月の回が高く、9月の回が低い傾向)
勉強時間目安 200〜400時間(初学者の一般的な目安) 100〜200時間(簿記知識ありの一般的な目安)
難易度 ★★★☆☆ ★★☆☆☆
業界汎用性 全業種・職種 建設業に特化
経審加点 なし あり(1級は1人、2級は0.4人として数える)

合格率は、日商簿記2級が直近5回の統一試験(第169回〜第173回)と2022年度〜2025年度のネット試験、建設業経理士2級が直近5回(第34回〜第38回)の実績です。出典:商工会議所の検定試験 簿記 受験者データ、建設業経理検定 過去の実施状況、建設業経理検定 R8下期試験(確認日:2026年10月4日)

💡 ポイント:合格率だけ見ると建設業経理士2級のほうが明らかに易しく見えますが、試験時間・出題構成・必要な前提知識なども含めた総合的な難易度を比較することが大切です。

それぞれの資格の基本情報

日商簿記2級とは

日商簿記検定は、日本商工会議所が主催する日本最大規模の会計系検定試験です。1954年の開始から累計2,900万人以上が受験しており、経理・財務職への転職において「持っていることが前提」とも言える基準資格として業界全体で認知されています。

2級では3級(商業簿記のみ)に加えて工業簿記(製造業の原価計算)が出題範囲に加わります。この工業簿記が2級最大の難関で、日常生活ではあまり馴染みのない「製品1個あたりのコストをどう計算するか」という考え方を扱います。

詳しくは日商簿記は転職に有利?2級取得で経理未経験転職を目指す社会人のための完全ガイドをご覧ください。

建設業経理士2級とは

建設業経理士は、(一財)建設業振興基金が主催する建設業に特化した会計資格です。一般的な商業会計とは異なる「建設業独自の会計処理(完成工事高・未成工事支出金・工事原価など)」を扱います。

最大の特徴は、建設業の経営事項審査(経審)で評価されること。経審の「公認会計士等の数」という項目で、1級合格者は1人、2級合格者は0.4人として数えられ、会社の評点(W点)に反映されます。公共工事の受注に関わるため、建設業界では2級から重視されます。

なお、経審で評価されるのは、合格した年度の翌年度から5年以内の人か、登録経理講習を受けてから5年以内の人です(出典:建設業経理検定 経営事項審査の改正に伴う経理士等の評価、確認日:2026年10月4日)。

2級の試験範囲は「建設業の簿記、原価計算及び会社会計」で、実践的な建設業簿記と基礎的な建設業原価計算を身につけ、決算などの実務ができるレベルが求められます(出典:建設業経理検定試験とは)。試験時間は2時間です。

難易度比較:どっちが難しい?

総合難易度:日商簿記2級 > 建設業経理士2級

合格率・出題範囲・必要な前提知識を総合すると、日商簿記2級のほうが難易度は高いと言えます。その主な理由を以下で詳しく解説します。

①合格率の違い

日商簿記2級の統一試験の合格率は、直近5回で15.1%〜23.6%です。2026年(令和8年)2月の第172回と6月の第173回はどちらも15.1%で、回によって難易度に差が出やすい試験です。一方、ネット試験の合格率は年度ごとに32〜36%前後(2025年度は32.9%)と、統一試験より高めになっています。

建設業経理士2級は、直近5回で32.2%〜47.7%です。3月の回は47%前後ですが、9月の回は2024年(令和6年)36.5%、2025年(令和7年)32.2%と低めでした。日商簿記2級の統一試験より合格率は高いものの、回によって10ポイント以上の差がある点は知っておきましょう。

②出題範囲・ボリュームの違い

日商簿記2級は、商業簿記(連結会計・税効果会計・外貨建取引など)+工業簿記と、出題範囲が非常に広いです。特に近年は連結会計の出題が増え、内容が高度化しています。

建設業経理士2級は、出題範囲が「建設業の簿記、原価計算及び会社会計」に絞られており、範囲が明確です。建設業という業界特有の用語・勘定科目を覚える必要はありますが、日商簿記2級ほど広くはありません。

③前提知識の必要性

日商簿記2級は、3級(商業簿記の基礎)の知識を前提とした上で、さらに工業簿記を上乗せして学ぶ構造になっています。初学者が一から学ぶ場合のハードルが高い資格です。

建設業経理士2級は、日商簿記3級程度の基礎知識があれば学習をスタートしやすい設計になっています。「簿記の基礎は知っているが、建設業の会計を専門的に学びたい」という方に向いています。

✅ 難易度まとめ:日商簿記2級のほうが出題範囲・合格率・難問の出やすさの点で難しい。建設業経理士2級は簿記の基礎がある人なら比較的取り組みやすい。

勉強時間の目安

資格 初学者(簿記知識なし) 簿記3級取得済み 簿記2級取得済み
日商簿記2級 250〜400時間 150〜250時間 ー
建設業経理士2級 200〜300時間 150〜200時間 100〜150時間

上の表は一般的な目安です。建設業経理士2級は、日商簿記2級の知識があれば勉強時間を大幅に短縮できるのが大きな特徴です。仕訳・財務諸表の基礎は共通しており、建設業固有の勘定科目・原価計算の考え方を上乗せするだけで対応できます。

一方、簿記の知識がまったくない状態から建設業経理士2級を目指す場合は、まず簿記の基礎から学ぶ必要があるため、結果的に勉強時間が増えることが多いです。

💡 効率のポイント:日商簿記2級 → 建設業経理士2級の順で学ぶと、2つ目の試験の勉強時間を最も短くできます。

両方に合格した運営者の場合:簿記2級は約100時間、建設業経理士2級は約10時間

ここからは、この記事を書いている運営者の受験体験です。日商簿記2級に合格したあとで建設業経理士2級を受けたので、「簿記2級を持っていると、建設業経理士2級はどれくらい楽になるのか」の一例として参考にしてください。

項目 日商簿記2級 建設業経理士2級
受験 2023年3月・ネット試験で1回で合格(95点) 2025年9月(第37回)・筆記試験で1回で合格
勉強期間・時間 2か月・約100時間 約2週間・約10時間
勉強の仕方 平日は仕事終わりに1時間、休日は2〜3時間 通勤電車(行き帰り各30分)で解説サイトを読み、試験前日に約3時間で過去問を1回分
教材・費用 YouTubeの簿記受験対策チャンネル+直前に市販の予想問題集(約2,000円) ネットの論点解説サイト+公式サイトの過去問(0円)
難しかったところ 連結会計 勘定科目の違い・工事進行基準(最初だけ)

建設業経理士2級は「考え方が同じ」なので短時間で済んだ

建設業経理士2級では、完成工事高や未成工事支出金といった建設業独自の勘定科目が出てきます。運営者の感想は「勘定科目の違いや進行基準は最初は戸惑うけど、基本的な考え方は同じなので難しくはなかった」というものでした。

特に助けになったのが工業簿記です。「工事原価の計算などは、簿記2級の工業簿記の考え方が活きた」とのことで、簿記2級で原価計算を一度学んでいると、建設業の原価計算も理解しやすくなります。

なお、運営者が受けた2025年9月の第37回は、2級の合格率が32.2%と直近5回で最も低い回でした。前日に解いた過去問は7割ほどの出来で、その過去問で解いた論点が本番にも出たため、手応えはあったそうです。10時間は、簿記2級の知識があり、直前の過去問演習がうまくはまった一例と考えてください。

日商簿記2級は連結会計に苦戦

日商簿記2級では、商業簿記に多く時間をかけました。一番難しかったのは連結会計で、「結局理解できなくて、流れだけ丸暗記した」そうです。それでもネット試験で95点を取れたので、苦手な論点が1つあっても、ほかで確実に点を取れば合格は十分狙えます。

運営者からひとこと

  • 簿記2級を持っていれば、建設業経理士2級はそれほど対策しなくても受かると思うので、チャレンジしたい人はぜひ
  • 簿記2級を持っていない人は、先に簿記2級を取るのがおすすめ

どちらを先に取るべきか?取得順の考え方

パターン①:建設業に就職・転職したいなら → 簿記2級を先に取る

建設業界で経理・財務職を目指す方には、日商簿記2級 → 建設業経理士2級の順番がおすすめです。理由は以下の通りです。

  • 日商簿記2級の知識は建設業経理士2級の学習ベースになる
  • 転職市場では日商簿記2級の認知度・汎用性が高く、選考で有利
  • 建設業経理士2級の勉強時間を大幅に短縮できる

パターン②:すでに建設会社に勤めており、早く実務に役立てたい → 建設業経理士2級を先に取る

すでに建設会社で働いており、今の職場ですぐに評価・活用したいという方は建設業経理士2級を先に取得する判断もあります。

  • 建設業の実務(完成工事高・未成工事・工事台帳など)に即座に直結する
  • 簿記3級レベルの基礎があれば受験可能
  • 2級でも経審で評価され(1人を0.4人として数える)、会社への貢献につながる

パターン③:建設業と無関係な業界も視野に入れている → 簿記2級のみでOK

「建設業に絞らず、広く経理・財務職を目指したい」という方は日商簿記2級の取得を優先しましょう。建設業経理士は建設業への特化資格のため、他業界では評価されにくいのが実情です。

あなたの状況 おすすめの取得順
建設業への転職を目指している(簿記未経験) 日商簿記3級 → 日商簿記2級 → 建設業経理士2級
建設会社に勤めており、実務スキルを早く高めたい 建設業経理士2級(簿記3級知識は必要)
業界を問わず経理・財務職を目指している 日商簿記2級(一択)
日商簿記2級を持っており、建設業でのキャリアを伸ばしたい 建設業経理士2級 → 建設業経理士1級

キャリアへの活かし方

日商簿記2級のキャリア価値

日商簿記2級は、業種・職種を問わず評価される汎用性が最大の強みです。経理・財務職への転職における事実上の最低基準として認知されており、未経験からの経理転職を目指す方にとって最初に取得すべき資格と言えます。

資格手当を設けている会社もあります(金額は会社によって異なります)。さらに税理士・公認会計士・中小企業診断士などの上位資格への学習基盤にもなります。

運営者は当時、プロジェクトマネージャーとして予算管理や収支計画を担当しており、そのために簿記2級を取りました。「実際のキャッシュフローと決算では数字の見え方が違うので、あるとなしとでは大違い。特に減価償却の知識は大きかった」とのことで、経理以外の職種でも役立つ資格です。

→ 日商簿記の転職・キャリアへの活かし方を詳しく読む

建設業経理士2級のキャリア価値

建設業経理士2級は、建設業界に特化したキャリアを積みたい方にとって価値の高い資格です。特に以下の点でメリットがあります。

  • 建設会社での評価向上:建設業の会計処理は一般会計と異なる部分が多く、資格保有者は実務面での即戦力として評価される
  • 経審での評価:2級合格者も経審のW点(公認会計士等の数)で0.4人として数えられ、会社の公共工事受注力に関わる。1級なら1人として数えられる
  • 建設業界での転職:建設業に特化した求人では、建設業経理士の保有が評価基準になるケースがある
  • 取引先との実務:運営者は企画管理系の仕事で建設業の取引先が多く、「会計処理の前提条件がわかるので、交渉や事前に何を確認すべきかなど、実務的な視点が身についた」と感じています

よくある質問

Q. 建設業経理士2級は簿記の知識なしで受験できますか?

受験資格自体は設けられていないため、誰でも受験可能です。ただし、試験では仕訳・財務諸表・原価計算といった簿記の基礎知識が前提となる問題が多く出題されます。日商簿記3級程度の基礎知識があると学習がスムーズに進みます。まったくの初学者が挑戦する場合は勉強時間が多くかかることを想定しておきましょう。

Q. 日商簿記2級と建設業経理士2級は同時並行で勉強できますか?

可能ではありますが、あまりおすすめしません。どちらも相応の学習量が必要な資格であり、同時並行では両方の理解が中途半端になるリスクがあります。日商簿記2級を先に完成させてから、建設業経理士2級に集中するほうが合格の確実性が上がります。

Q. 建設業経理士1級と日商簿記1級はどちらが難しいですか?

難易度は日商簿記1級のほうが圧倒的に高いです。日商簿記1級は税理士試験の受験資格にもなる最高峰の会計資格で、統一試験の合格率は直近で10〜21%前後です。建設業経理士1級は科目合格制で3科目合格が必要ですが、難易度・合格率の点では日商簿記1級より取り組みやすい設計です。

Q. 建設業経理士2級は独学でも合格できますか?

合格率が32〜48%と比較的高く、公式サイトで過去問も公開されているため、独学での合格は十分可能です。運営者は日商簿記2級の知識があり、ネットの解説サイトと公式の過去問だけ(教材費0円)、約10時間で合格しました。簿記の知識がない方は、先に日商簿記の基礎を固めてから取り組むと効率的です。

まとめ

改めて2つの資格の難易度・活用場面を整理します。

  • 難易度は日商簿記2級 > 建設業経理士2級。合格率(統一試験15〜24%と32〜48%)や出題範囲の広さで、日商簿記2級のほうが難しい
  • 建設業経理士2級は、日商簿記2級の知識があれば短期で取得しやすい。運営者は簿記2級に約100時間、建設業経理士2級に約10時間で合格
  • 取得順は「日商簿記2級 → 建設業経理士2級」が最もコスパが高い。ただし建設会社に勤めており今すぐ実務に活かしたい場合は建設業経理士2級から始める選択肢もある
  • 業界を絞らず幅広く経理職を目指すなら日商簿記2級一択。建設業経理士は建設業に特化した資格のため、他業界では評価されにくい

建設業経理士2級の次回試験は2027年(令和9年)3月14日(日)で、申込は2026年11月10日〜12月10日です。どちらの資格も、取得することでキャリアの選択肢が広がります。まずは自分のキャリア目標と現在の立ち位置を整理し、最適な取得順を決めてみてください。

資格建築家の運営者。行政書士・宅地建物取引士・第二種電気工事士・建設業経理士2級・日商簿記2級など10の資格を取得。建設・不動産業界でプロジェクトマネジメントや企画開発に携わる。自分の受験経験と、試験実施団体の公式情報をもとに、資格選びと勉強の進め方を解説しています。

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