賃貸不動産経営管理士
受験資格
なし
日本国内居住者なら年齢・学歴不問
難易度
★★★★★
合格率25〜30%。年々難化傾向
勉強時間の目安
100〜200時間
宅建取得者なら50〜100時間程度
合格率
25〜30%前後
2025年度は29.5%(9,370人合格)
試験日・受験料
年1回・12,000円
例年11月第3日曜日。2026年は11月15日
転職需要
★★★★★
賃貸管理業者に業務管理者設置義務あり
賃貸住宅の管理に特化した国家資格が「賃貸不動産経営管理士」です。2021年に国家資格化され、賃貸住宅管理業者(200戸以上の賃貸住宅を管理する業者)には営業所・事務所ごとに業務管理者1名以上の設置が法律で義務付けられています。その業務管理者の要件を満たす資格として、賃貸不動産経営管理士は業界内で必須の資格となっています。
合格率は25〜30%前後と不動産系資格の中では取り組みやすく、宅建取得後のステップアップ資格として、あるいは賃貸管理業界への転職を目指す方の入口資格として年々人気が高まっています。受験者数はすでに約32,000人に達しており、今後さらに需要が拡大することが見込まれます。
賃貸不動産経営管理士とはどんな資格か
賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)に基づく登録試験資格です。賃貸物件のオーナー(家主)から管理を受託する賃貸管理業者のプロフェッショナルとして、入居者の募集・賃貸借契約の締結・建物の維持管理・退去時の精算など、賃貸住宅管理の全般にわたる知識と実務能力を証明します。
試験合格後に所定の実務経験(2年以上)または実務経験講習を修了することで資格登録でき、登録後は「業務管理者」の要件を満たす専門家として活躍できます。業務管理者は賃貸住宅管理業者の法定設置義務者であり、不動産仲介業の宅建士に相当する立場と理解すると分かりやすいです。
2021年の国家資格化で何が変わったか
賃貸不動産経営管理士は2021年に国家資格となり、それ以前の民間資格時代と比べていくつかの重要な変化がありました。
- 業務管理者の設置義務:200戸以上の賃貸住宅を管理する賃貸管理業者は、登録を受けて事業を行う義務が生じ、営業所・事務所ごとに業務管理者1名以上の設置が必須となった
- 試験の難化:国家資格化に伴い問題数が40問から50問に増加し、出題範囲も拡大。合格率が以前の約50%から25〜30%前後へと大幅に低下した
- 業界内での評価向上:単なる任意の資格から法律に基づく設置義務資格となったことで、賃貸管理業者における資格保有者の採用ニーズが急増した
国家資格化後、受験者数は急増し、現在は年間約32,000人が受験する大規模な資格試験に成長しています。試験は今後さらに難化する可能性が協議会から示唆されており、取得するなら早めの挑戦が有利です。
試験の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | なし(日本国内居住者なら年齢・学歴不問) |
| 受験料 | 12,000円+事務手数料400円(税込) |
| 試験日 | 例年11月第3日曜日(2026年度:11月15日) |
| 申込期間 | WEB:例年8月上旬〜9月下旬/郵送:例年8月上旬〜9月下旬(消印有効) |
| 試験時間 | 午後1時〜午後3時(2時間) |
| 出題数 | 50問(四肢択一)※講習修了者は45問(5問免除) |
| 合格基準 | 概ね70〜80%以上(毎年変動) |
| 合格率 | 25〜30%前後(2025年度:29.5%) |
| 合格発表 | 例年12月下旬(2026年度:12月24日予定) |
| 主催 | 一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会 |
試験会場は全国41地域(2026年度)と非常に広範囲に設置されており、地方在住の方でも比較的受験しやすい環境です。合格後の資格登録には2年以上の実務経験が必要ですが、実務経験がない場合は実務経験講習(登録実務講習)を修了することで代替できます。
5問免除制度
賃貸不動産経営管理士協議会が実施する「賃貸不動産経営管理士講習」を修了することで、試験本番の50問中5問が免除され45問での受験が可能になります。講習は2週間程度の事前学習と1日のスクーリングで構成されており、どなたでも受講できます。
5問免除を受けた受験者の合格率は一般受験者より高い傾向があり、賃貸管理の業務経験がある方や試験本番に向けて万全を期したい方は活用を検討する価値があります。ただし講習には別途受講費用が発生するため、費用対効果を考慮したうえで判断しましょう。
賃貸不動産経営管理士で開けるキャリア
賃貸管理会社への就職・転職
賃貸不動産経営管理士の最も直接的な活用先は賃貸住宅管理会社です。大東建託・積水ハウスPM・東建コーポレーション・レオパレス21など、全国規模の賃貸管理会社から地元の不動産会社まで、業務管理者の設置義務から資格保有者の採用ニーズは高く安定しています。業界未経験でも資格取得後に転職しやすい資格であり、不動産業界への入口として活用する方も多くいます。
資格手当・昇給
賃貸管理会社・不動産会社では賃貸不動産経営管理士に月額3,000〜10,000円程度の資格手当を設定しているところがあります。また、業務管理者として選任されることで手当が別途支給されるケースもあります。現職が賃貸管理業者の方にとっては、取得することで収入アップが見込める実用的な資格です。
宅建士との組み合わせで不動産のオールラウンダーに
宅建士(売買・仲介)+賃貸不動産経営管理士(賃貸管理)のダブルライセンスを持つことで、不動産の「売る・貸す・管理する」すべてに対応できる不動産のスペシャリストとして差別化できます。特に不動産仲介と賃貸管理を両方手がける中小規模の不動産会社では、両方の資格を持つ社員は非常に重宝されます。
不動産オーナー・大家としての活用
賃貸不動産を所有するオーナー(大家)が自らの物件を適正に管理・経営するために取得するケースも増えています。入居者管理・建物維持管理・会計処理・法令遵守など、賃貸経営全般の知識を体系的に身につけることで、管理会社への丸投げではなく自ら理解したうえで賃貸経営に取り組めるようになります。
難易度・勉強時間の目安
国家資格化以降、合格率は25〜30%前後で推移しており、かつての50%時代と比べて大幅に難化しています。しかし宅建(15〜18%)やマンション管理士(9〜10%)と比較すれば取り組みやすい難易度です。宅建との出題範囲の重複が多く、宅建取得者であれば学習時間を大幅に短縮できます。
| 前提知識 | 勉強時間 | 学習期間の目安 |
|---|---|---|
| 宅建取得者 | 50〜100時間 | 1〜2ヶ月 |
| 不動産業界の実務経験あり | 100〜150時間 | 2〜3ヶ月 |
| 不動産・法律知識ほぼなし | 150〜200時間 | 3〜4ヶ月 |
試験は11月開催のため、前年末〜夏頃に学習を始めるスケジュールが一般的です。試験の難化傾向が続いているため、以前の過去問だけを繰り返すのではなく、最新の法改正や統計データにも対応したテキストを使うことが重要です。
合格のための勉強法
賃貸住宅管理業法を最優先に押さえる
国家資格化の根拠法令である「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)」は、この試験の核心的な出題分野です。業務管理者の義務・賃貸管理業者の登録制度・重要事項説明・管理受託契約の内容など、条文を理解しながら学習することが合格への必須条件です。テキストで全体像を把握してから、過去問で出題パターンを確認しましょう。
宅建知識を活かして民法・賃貸借関係を効率よく習得
民法(賃貸借契約・原状回復・敷金・連帯保証など)や借地借家法は宅建との重複分野が多く、宅建取得者は復習程度で対応できます。賃貸管理の実務に特有の論点(サブリース・特定賃貸借契約・原状回復ガイドラインなど)を重点的に学習することで効率よく得点力を上げられます。
建物・設備管理の知識は暗記中心で対応
建物の構造・設備(給排水・電気・消防設備など)・大規模修繕に関する問題は、管理業務主任者試験と同様に暗記中心で対応できます。過去問で頻出の用語と仕組みをセットで覚えることを優先しましょう。
統計・最新情報への対応を忘れずに
賃貸不動産経営管理士試験では住宅に関する統計データ(空き家数・賃貸住宅戸数など)が出題されます。試験の法令基準日(令和8年4月1日)以降に公表された統計データが出題対象となるため、最新版のテキストを使うことが重要です。直前期には法改正・統計の確認を必ず行いましょう。
独学 vs 通信講座
宅建取得者は独学でも十分対応できますが、賃貸住宅管理業法など国家資格化以降の新出範囲に対応した最新テキストの入手が重要です。初学者や確実に合格したい方には通信講座の活用が効果的です。
| 講座名 | 費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| スタディング | 約10,000〜15,000円 | 業界最安値水準。スマホ完結型。宅建とのセット学習向き |
| フォーサイト | 約44,000円 | フルカラーテキスト。高い合格実績(2025年度合格率84.32%) |
| アガルート | 約50,000〜80,000円 | 合格特典あり。2025年度受講生合格率84.32%(全国平均の約2.8倍) |
よくある質問
Q. 宅建と賃貸不動産経営管理士はどちらを先に取るべきですか?
宅建を先に取得することを強くおすすめします。宅建は賃貸不動産経営管理士より難しいうえ(合格率15〜18% vs 25〜30%)、宅建で学ぶ民法・借地借家法・建築基準法などの知識が賃貸管理士試験にそのまま活かせます。宅建合格後に賃貸不動産経営管理士を目指せば、短期間での合格が狙えます。
Q. 試験合格後すぐに業務管理者として働けますか?
試験合格後、資格登録が必要です。登録には2年以上の実務経験か、登録実務講習の修了が必要です。登録完了後に業務管理者として選任される形になります。実務経験がない場合は登録実務講習を修了することで、同等の能力があると認められ登録できます。
Q. 年々難化しているのに、今から取る価値はありますか?
はい、むしろ今のうちに取得することをおすすめします。試験は今後さらに難化する可能性が示唆されており、合格率が下がるほど取得者の希少性が上がります。業務管理者の設置義務により安定した需要が続く資格であるため、早期に取得するほどキャリアへの活用期間が長くなります。
まとめ
賃貸不動産経営管理士は、2021年の国家資格化により業務管理者の設置義務資格として賃貸管理業界内での需要が急増しました。合格率25〜30%・勉強時間100〜200時間と、宅建取得者であれば比較的短期間で取得できる難易度です。
賃貸管理業界への転職・就職を目指す方の入口資格として、また宅建取得後のキャリアアップとして、あるいは賃貸不動産オーナーとしての経営力向上のために——幅広い立場の方が活用できる実用的な国家資格です。試験が難化傾向にある今こそ、早めに挑戦することをおすすめします。