診療報酬請求事務能力認定試験(廃止済・参考情報)
試験の状況
2025年12月に廃止
第63回(2025年12月14日)が最終回。受験申込は終了
難易度(廃止前)
医療事務系最難関
厚生労働省後援・30年以上続いた医療事務の代表的な試験だった
試験内容(廃止前)
学科20問+実技(レセプト作成)・180分
医科・歯科を選択。診療点数表持ち込み可の実務型試験
廃止理由
受験者数の減少など
少子化による受験者の減少が背景とされる。電子レセプト化の進展も指摘されている
主催団体の状況
公益財団法人日本医療保険事務協会
2026年3月31日をもって解散(サイトは解散の告知を掲載中)
合格済みの方へ
合格の事実は有効
履歴書に記載可能。ただし合格証明書の発行受付は2026年2月27日で終了
「診療報酬請求事務能力認定試験」は、医療事務関連の資格の中で難関として長年知られてきた、厚生労働省後援の試験でした。平成6年度に始まり、30年以上にわたって医療機関でのレセプト(診療報酬明細書)作成業務の最高峰の証明として機能してきましたが、2025年12月14日の第63回をもって終了しました。第63回の合格者は2026年2月20日に発表されています。
これから医療事務を目指す方、または医療事務のキャリアアップを考えている方向けに、廃止の経緯と代替となる資格の情報を詳しく解説します。
診療報酬請求事務能力認定試験とはどんな試験だったか
診療報酬請求事務能力認定試験は、公益財団法人日本医療保険事務協会が実施し、厚生労働省が後援した全国一斉統一試験です。「診療報酬請求事務に従事する者の資質の向上」を目的として創設され、医療機関でのレセプト(診療報酬明細書)作成に必要な知識・実務能力を認定しました。
医科と歯科のどちらかを選択して受験する形式で、学科試験(20問・5択マークシート)と実技試験(レセプト作成)を合わせて180分という実務に直結した試験設計が特徴でした。試験会場への診療報酬点数表その他資料の持ち込みが自由という点も、「知識の暗記ではなく実際の点数表を使いこなす能力」を問う趣旨を反映していました。
試験の概要(廃止前の情報)
| 項目 | 内容(廃止前) |
|---|---|
| 受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
| 受験料 | 9,000円(税込) |
| 試験形式 | 学科試験(5択マークシート20問)+実技試験(レセプト作成)・合計180分 |
| 持ち込み | 診療報酬点数表・その他資料の持ち込み自由 |
| 試験科目 | 医科または歯科を選択 |
| 実施頻度 | 年2回(7月・12月の日曜日または祝日) |
| 試験会場 | 全国17都市(札幌・仙台・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・金沢・静岡・愛知・大阪・岡山・広島・高松・福岡・熊本・那覇) |
| 合格率 | おおむね3割前後とされていた(回によって差があった) |
| 合格発表 | 試験月の翌々月末までに書面で通知 |
| 主催 | 公益財団法人日本医療保険事務協会(厚生労働省後援) |
出題範囲(廃止前)
試験の出題範囲はガイドラインで以下の12項目が定められており、医療保険から薬学の基礎まで幅広い知識が問われました。
| 分野 | 主な内容 |
|---|---|
| 医療保険制度等 | 被用者保険・国民健康保険・後期高齢者医療等の制度概要 |
| 公費負担医療制度 | 生活保護法・精神保健福祉法・障害者総合支援法等に基づく公費制度 |
| 保険医療機関等 | 保険医療機関の指定・保険医・療養担当規則 |
| 診療報酬等 | 診療報酬点数表の算定方法・基本診療料・特掲診療料等 |
| 薬価基準・材料価格 | 保険医療で使用される医薬品・医療材料の価格と請求方法 |
| 診療報酬請求事務 | 診療報酬請求書・診療報酬明細書(レセプト)の作成実技 |
| 医療用語 | 病名・検査法・医薬品等の用語・略語 |
| 医学の基礎知識 | 身体の解剖・生理・病理・治療方法の基礎 |
| 薬学の基礎知識 | 医薬品の種類・名称・規格・剤形・単位等 |
| 医療関係法規 | 医療法・医師法・歯科医師法等の医療機関関連法規 |
| 介護保険制度 | 介護保険制度の概要 |
廃止の経緯と理由
主催の公益財団法人日本医療保険事務協会は、令和7年度(2025年度)の試験(第63回)を最後に試験事業を終え、2026年(令和8年)3月31日に解散しました。背景としては、主に次の2点が挙げられています。
| 背景 | 内容 |
|---|---|
| ①受験者数の減少 | 少子化の影響で受験者数が年々減り、試験事業の継続が難しくなったとされています |
| ②請求事務の電子化 | 診療報酬の請求が電子レセプト中心になり、手書きでレセプトを作る力を問う試験の形が実務と合わなくなってきた、という指摘もあります |
長く続いた試験の終了は、医療事務を目指す人や養成校に大きな影響を与えました。これから医療事務を目指す人は、下で紹介する別の資格を検討することになります。
合格済みの方・勉強中の方への影響
すでに合格している方
試験が終了しても、合格の事実は消えません。履歴書には「診療報酬請求事務能力認定試験(医科)合格」のように、合格した年月とあわせて記載できます。
注意したいのは合格証明書です。協会は解散前に合格証明書の発行を受け付けていましたが、その受付は2026年2月27日(必着)で終了しました。就職先などから証明を求められたときに備えて、手元の合格証書は大切に保管しておきましょう。
出典:公益財団法人日本医療保険事務協会 トップページのお知らせ(確認日:2026年10月8日)
勉強途中で廃止を迎えた方
試験は廃止されましたが、学んだ内容は無駄になりません。医療保険制度・診療報酬の算定知識・レセプト作成の基礎は、以下に紹介する代替資格の試験でも共通して問われる内容です。習得した知識をベースに代替資格への移行をおすすめします。
代替となる医療事務資格ガイド
診療報酬請求事務能力認定試験の終了後、医療事務のスキルを証明する資格として、次のようなものがあります。合格率・実施回数・受験方法は変わることがあるため、受験前に各主催団体の公式サイトで確認してください。
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)
医療事務の基本的な知識と実務能力を測る試験で、認知度の高い資格です。医療費の計算や診療報酬請求業務の知識が問われます。診療報酬請求事務能力認定試験より取り組みやすいとされ、医療事務の入門資格として広く使われています。
医療事務管理士®技能認定試験
医療事務の総合的な知識・技能を認定する民間資格で、レセプトの点数算定や保険制度の理解が問われます。病院・クリニックへの就職・転職で評価される実務型の資格です。受験方法(会場・在宅など)は公式サイトで確認してください。
医療事務実務能力認定試験
レセプトの作成能力と診療報酬の算定知識を問う試験で、終了した認定試験と同じくレセプト作成の実務に直結した内容の資格です。級や受験方法は公式サイトで確認してください。
電子カルテオペレーション実務能力認定試験
電子カルテの操作・運用能力を問う資格です。電子カルテが普及した医療現場の業務に即したスキルを証明できます。
医療事務資格の選び方:目的別ガイド
| 目的・状況 | おすすめ資格 |
|---|---|
| 医療事務未経験・まず入門資格を取りたい | 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®) |
| レセプト作成の実務能力を証明したい | 医科2級医療事務実務能力認定試験 / 医療事務管理士®技能認定試験 |
| 電子カルテ・デジタル環境に対応したい | 電子カルテオペレーション実務能力認定試験 |
| 病院・大規模医療機関への就職を目指す | 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)+レセプト実技系資格の組み合わせ |
| クリニック・診療所への就職を目指す | クリニック事務技能認定試験 / 医療事務管理士®技能認定試験 |
まとめ
診療報酬請求事務能力認定試験は、30年以上にわたって医療事務の最高峰資格として機能してきましたが、受験者数の減少などを背景に2025年12月の第63回で終了し、協会も2026年3月に解散しました。すでに合格している方は引き続き履歴書に記載できますが、合格証明書の発行受付は2026年2月27日で終わっているので、合格証書は大切に保管してください。
これから医療事務を目指す方には、メディカルクラーク®を入門として取得し、レセプト実技系の資格と電子カルテ関連資格を組み合わせることで、変化する医療現場に対応できる人材として証明できます。各資格の最新情報は主催団体の公式サイトで確認してください。
