測量士・測量士補の違いとは?難易度・試験科目・合格後のキャリアを徹底比較

測量士(測量士補)

受験資格

なし
年齢・学歴・国籍・実務経験すべて不問

難易度(測量士)

★★★★★
例年10〜18%・2025年度は40.2%(変動大)

勉強時間の目安

測量士:500〜1,000時間
測量士補:200時間程度

合格率

測量士:例年10〜18%
測量士補:例年30〜50%(2025年度は51.2%)

試験日・受験料

年1回・2,850円
例年5月第3日曜日。2026年は5月17日

転職需要

★★★★
測量計画の独占業務。建設・インフラ業界で安定需要

土地・建物・インフラの位置や形状を正確に計測する「測量」の専門国家資格が「測量士」です。道路・橋・ダム・宅地造成・地図作成など、あらゆる建設・土木・不動産プロジェクトの出発点となる測量業務を担う専門家として、建設業界・インフラ整備・国土管理に欠かせない資格です。

受験資格は一切なく年齢・学歴不問で誰でも受験でき、受験料2,850円と低コストで挑戦できます。また、下位資格の「測量士補」は合格率30〜50%と取り組みやすく、土地家屋調査士試験の午前の部免除資格としても広く活用されています。

目次

測量士とはどんな資格か

測量士は、測量法に基づく国家資格です。測量士の主な独占業務は「測量計画の作成」で、測量会社が公共測量(国・地方公共団体が発注する測量)を請け負う際には、測量士の設置が法律で義務付けられています。

測量の種類には地形測量(土地の高低・形状の測定)・基準点測量(測量の基準となる点の設置)・写真測量(航空写真・ドローンを使った測量)・地図編集・応用測量(路線測量・河川測量など)など多岐にわたります。近年はICT・ドローン・AI活用による測量技術の革新が進んでおり、測量士の業務もデジタル化・高度化が加速しています。

測量士と測量士補の違い

測量士と測量士補は同じ測量法に基づく資格ですが、担える業務範囲が大きく異なります。

項目 測量士 測量士補
業務範囲 測量計画の作成+実施(すべての測量業務) 測量士の作成した計画に従った実施のみ
独占業務 測量計画の作成(最上位の独占業務) 計画に基づく測量の実施
難易度 高め(例年合格率10〜18%) 比較的易しい(例年合格率30〜50%)
試験形式 午前:択一式/午後:記述式 択一式のみ(記述式なし)
勉強時間の目安 500〜1,000時間 約200時間
受験料 2,850円 2,850円
試験日 同日実施(例年5月第3日曜日)
土地家屋調査士の午前免除 可能 可能

測量士補は測量士の補助者として測量を実施できる資格で、単独で測量計画を立案することはできません。一方、測量士はすべての測量業務を独自に計画・実施できる最上位の資格です。

試験の基本情報(2026年度)

項目 測量士 測量士補
試験日 2026年5月17日(日)※同日実施
申込期間 2026年1月5日(月)〜1月22日(木)
試験時間 午前10時〜午後4時(昼休憩あり) 午後1時30分〜4時30分(3時間)
試験形式 午前:択一式28問/午後:記述式(必須1題+選択2題) 択一式28問
合格基準 午前450点以上かつ午前+午後合計910点以上(1,400点満点) 450点以上(700点満点・18問以上正解)
受験料 2,850円(電子申請:2,800円) 2,850円(電子申請:2,800円)
合格発表 2026年7月9日(木) 2026年6月25日(木)
主催 国土地理院(国土交通省)

測量士・測量士補試験は年1回しかないうえ申込期間が1月上旬〜下旬のわずか約18日間と非常に短いため、受験を決意したら年末頃から準備を始めることが重要です。受験料2,850円は国家試験の中でも特に安価な水準です。

測量士試験の構成

午前の部:択一式28問(700点満点)

午前は四肢択一のマークシート方式で28問が出題されます。1問25点で合計700点満点、450点以上が合格基準です(2024年度から400点以上→450点以上に引き上げ)。出題分野は測量法規・基準点測量・地形測量・写真測量・地図編集・応用測量など測量全般の基礎知識が問われます。電卓の使用が認められています。

午後の部:記述式(700点満点)

午後は記述式で、必須問題1題(300点)と選択問題4題から2題を選択(各200点)の構成です。選択問題は「基準点測量」「地形・写真測量」「地図編集」「応用測量」の4分野から2分野を選択します。計算過程を含む詳細な記述が求められ、この午後の記述式が測量士試験最大の難関です。択一式で450点以上を確保したうえで、記述式で確実に得点することが合格の条件です。

測量士・測量士補で開けるキャリア

測量会社・建設コンサルタントへの就職・転職

測量士の最も直接的な活躍の場は測量会社・建設コンサルタントです。国・地方自治体が発注する公共測量(道路設計・区画整理・地形図作成・河川測量など)を受注するには測量士の設置が必要なため、測量士の資格保有者の需要は安定しています。道路・鉄道・ダム・空港などの大型インフラ整備では測量が最初の工程となるため、プロジェクトの上流から関わる重要なポジションです。

ドローン測量・3D計測の最前線

近年の測量分野では、ドローンを使った航空写真測量・レーザースキャナーによる3D点群データ取得・UAV(無人航空機)を活用した広域測量など、ICT・デジタル技術の導入が急速に進んでいます。測量士資格を持ちながらドローン測量技術を習得した人材は、建設DX・インフラ点検・災害対応の分野で特に高い需要があります。

土地家屋調査士へのステップアップ

測量士(または測量士補)資格は、土地家屋調査士試験の「午前の部」(測量に関する試験)免除の資格として使えます。土地家屋調査士試験を目指す方にとって、まず測量士補を取得して午前免除を確保してから本試験に臨む王道ルートの「入口」として機能します。測量士補試験(5月)に合格すれば、同年10月の土地家屋調査士試験で午前免除を受けられます。

不動産・デベロッパーでの測量担当

不動産開発・宅地造成・区画整理事業では土地の境界確認・面積測定・高低差の把握などの測量業務が必須です。デベロッパー・不動産会社・ハウスメーカーで測量士資格を持つ社員は、外部業者への丸投げではなく内部処理できる専門家として評価されます。

難易度・勉強時間の目安

測量士試験の難易度

測量士試験の合格率は年度による変動が大きく、例年10〜18%台で推移していましたが2025年度(令和7年度)は40.2%と急上昇しました。絶対評価方式のため問題の難易度によって合格率が大きく変わる特性があります。午後の記述式(特に計算問題)の対策が合否を左右する最大のポイントです。

前提知識 勉強時間 学習期間の目安
測量士補合格済み・測量の実務経験あり 300〜500時間 6ヶ月〜1年
測量士補合格済み・測量知識の基礎あり 500〜700時間 1〜1.5年
測量・理数系の知識ほぼなし 700〜1,000時間以上 1.5〜2年以上

測量士補試験の難易度

測量士補試験は択一式のみで記述式がなく、合格率は例年30〜50%と測量士より大幅に取り組みやすい水準です。200時間程度の学習で合格できるとされており、市販テキスト1冊+問題集1冊での独学合格も一般的です。

合格のための勉強法

測量士:午前択一式の基礎固め→午後記述式の集中対策

測量士試験の学習は2段階で進めます。まず午前の択一式で安定して450点(18問正解)以上を取れるよう、測量法規・各種測量の基礎知識・計算問題を過去問で繰り返し演習します。その後、午後の記述式対策として選択する2分野を絞り込み(基準点測量・応用測量を選ぶ方が多い)、過去問の解答例を参照しながら計算過程の記述方法を習得します。記述式は専門の解説がないと習得しにくいため、通信講座の活用が効果的です。

測量士補:過去問の反復が最短ルート

測量士補試験は択一28問中18問以上正解が合格基準の絶対評価です。過去問を繰り返し解くことで出題パターンを把握し、頻出の計算問題(距離計算・面積計算・標高計算など)のパターンを確実に押さえることが合格への最短ルートです。計算問題は解き方を覚えてしまえば確実に得点できるため、公式と手順の暗記に集中しましょう。

学歴・実務経験による登録(試験なし)ルート

測量士・測量士補は試験合格以外にも、学歴や実務経験によって登録できる「試験なし」のルートがあります。

資格 登録要件(試験免除ルート)
測量士 大学・短大・高専で測量に関する科目を修めて卒業し、卒業後1年以上(大学卒)または3年以上(短大・高専卒)の測量実務経験を有する者
測量士補 高校・中学校で測量に関する科目を修めて卒業し、卒業後1年以上(高卒)または3年以上(中卒)の測量実務経験を有する者 など

測量系の学科(工学部・理工学部・農学部の測量・土木・地理系)を卒業して測量会社等で勤務している方は、このルートで試験なしに登録できる場合があります。詳細は国土地理院の登録要件を確認してください。

通信講座・独学の比較

測量士補は独学合格が十分可能ですが、測量士は午後の記述式対策のために通信講座の活用が効果的です。

講座名 費用目安 特徴
日本測量協会 約59,000円〜 測量の公式団体が運営。業界標準のテキスト使用
東京法経学院 約80,000〜120,000円 記述式の解説が丁寧。土地家屋調査士とのセット対策も
アガルート 約305,800円 合格率87.64%。記述式添削・過去12年分解説が充実

よくある質問

Q. 測量士補を先に取るべきですか?それとも直接測量士を目指すべきですか?

測量士補の択一知識は測量士の午前の部にそのまま活きるため、まず測量士補を取得してから測量士を目指すルートが効率的です。特に測量の知識がゼロから始める方には、測量士補で基礎を固めてから測量士の記述式対策に進む段階的なアプローチをおすすめします。また、土地家屋調査士を目指す方は測量士補の取得だけで午前免除の目的は達成できます。

Q. 測量士・測量士補試験の申込期間は短いと聞きましたが?

はい、申込期間は例年1月上旬〜1月下旬の約18日間と非常に短いです。受験案内(願書)の配布は前年12月中旬から始まります。受験を考えているなら前年末から準備を始め、年明け早々に申込を済ませましょう。申込を逃すと次の試験は1年後になります。

Q. 2025年度の合格率40.2%は今後も続きますか?

測量士試験は絶対評価のため年度によって合格率が大きく変動します。2025年度の40.2%は過去に例のない高水準で、今後元の10〜18%水準に戻る可能性も十分あります。「今年は受かりやすいから」という理由だけで対策を手抜きせず、しっかりと準備して臨むことをおすすめします。

まとめ

測量士は、建設・土木・インフラ・不動産のすべての出発点となる「測量計画の作成」を独占する国家資格です。受験料2,850円・受験資格不問で誰でも挑戦でき、ドローン測量・ICT活用など技術革新が進む現代において測量士の専門性はますます高まっています。

まず測量士補から段階的に挑戦するルートが王道です。土地家屋調査士を目指す方にとっては測量士補が午前免除の入口となり、さらなるキャリアアップとして測量士を取得することで測量・不動産登記の両面で活躍できる専門家へと成長できます。試験の申込期間(1月上旬〜下旬)を絶対に逃さないよう、早めに準備を始めましょう。

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