【廃止】診療報酬請求事務能力認定試験が終了した理由と、医療事務を目指す方のための代替資格ガイド

⚠️ この試験は2025年12月をもって終了しました

診療報酬請求事務能力認定試験は、第63回(2025年12月14日実施)をもって廃止されました。主催団体の公益財団法人日本医療保険事務協会も2026年3月31日をもって解散しています。現在、新規に受験することはできません。本ページでは試験の概要・廃止の経緯・代替となる医療事務資格を解説しています。

診療報酬請求事務能力認定試験(廃止済・参考情報)

試験の状況

2025年12月に廃止
第63回(2025年12月14日)が最終回。受験申込は終了

難易度(廃止前)

医療事務系最難関
合格率30%前後・厚生労働省後援・30年以上の歴史を持つ最高峰資格だった

試験内容(廃止前)

学科20問+実技(レセプト作成)・180分
医科・歯科を選択。診療点数表持ち込み可の実務型試験

廃止理由

少子化+医療DXの進展
受験者数減少・電子レセプト化・診療報酬改定DXの推進が背景

主催団体の状況

公益財団法人日本医療保険事務協会
2026年3月31日をもって解散。公式サイトも閉鎖済み

合格済みの方へ

合格の事実は有効
試験廃止後も合格の実績は履歴書に記載可能。当面はネームバリューが残る

「診療報酬請求事務能力認定試験」は、医療事務関連の資格の中で最難関として長年知られてきた、厚生労働省後援の権威ある試験でした。1994年(平成6年)に始まり、30年以上にわたって医療機関でのレセプト(診療報酬明細書)作成業務の最高峰の証明として機能してきましたが、2025年12月14日の第63回をもって廃止されました。

これから医療事務を目指す方、または医療事務のキャリアアップを考えている方向けに、廃止の経緯と代替となる資格の情報を詳しく解説します。

目次

診療報酬請求事務能力認定試験とはどんな試験だったか

診療報酬請求事務能力認定試験は、公益財団法人日本医療保険事務協会が実施し、厚生労働省が後援した全国一斉統一試験です。「診療報酬請求事務に従事する者の資質の向上」を目的として創設され、医療機関でのレセプト(診療報酬明細書)作成に必要な知識・実務能力を認定しました。

医科と歯科のどちらかを選択して受験する形式で、学科試験(20問・5択マークシート)と実技試験(レセプト作成)を合わせて180分という実務に直結した試験設計が特徴でした。試験会場への診療報酬点数表その他資料の持ち込みが自由という点も、「知識の暗記ではなく実際の点数表を使いこなす能力」を問う趣旨を反映していました。

試験の概要(廃止前の情報)

項目 内容(廃止前)
受験資格 なし(年齢・学歴・実務経験不問)
受験料 9,000円(税込)
試験形式 学科試験(5択マークシート20問)+実技試験(レセプト作成)・合計180分
持ち込み 診療報酬点数表・その他資料の持ち込み自由
試験科目 医科または歯科を選択
実施頻度 年2回(7月・12月の日曜日または祝日)
試験会場 全国17都市(札幌・仙台・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・金沢・静岡・愛知・大阪・岡山・広島・高松・福岡・熊本・那覇)
合格率 30%前後(過去の平均合格率)
合格発表 試験月の翌々月末までに書面で通知
主催 公益財団法人日本医療保険事務協会(厚生労働省後援)

出題範囲(廃止前)

試験の出題範囲はガイドラインで以下の12項目が定められており、医療保険から薬学の基礎まで幅広い知識が問われました。

分野 主な内容
医療保険制度等 被用者保険・国民健康保険・後期高齢者医療等の制度概要
公費負担医療制度 生活保護法・精神保健福祉法・障害者総合支援法等に基づく公費制度
保険医療機関等 保険医療機関の指定・保険医・療養担当規則
診療報酬等 診療報酬点数表の算定方法・基本診療料・特掲診療料等
薬価基準・材料価格 保険医療で使用される医薬品・医療材料の価格と請求方法
診療報酬請求事務 診療報酬請求書・診療報酬明細書(レセプト)の作成実技
医療用語 病名・検査法・医薬品等の用語・略語
医学の基礎知識 身体の解剖・生理・病理・治療方法の基礎
薬学の基礎知識 医薬品の種類・名称・規格・剤形・単位等
医療関係法規 医療法・医師法・歯科医師法等の医療機関関連法規
介護保険制度 介護保険制度の概要

廃止の経緯と理由

2023年12月22日、主催の公益財団法人日本医療保険事務協会から「令和7年度(2025年度)の試験(第63回)をもって試験事業を終了し、協会は2026年3月31日をもって解散する」との正式発表がありました。廃止の理由として協会は以下の2点を挙げています。

廃止理由 詳細
①少子化による受験者数の減少 受験者の約60%を占めていた25歳以下・専門学校生層が少子化・専門学校縮小により減少。事業の継続が困難な水準まで受験者数が落ち込んだ
②医療DXの進展 診療報酬の請求が紙レセプトから電子レセプトへ全面移行。政府の「医療DX推進」・「診療報酬改定DX」により手書きでのレセプト作成能力を問う試験形式が時代の実務と乖離していった

30年以上の歴史と権威を持つ最難関医療事務資格の突然の廃止は医療事務業界に大きな衝撃を与えました。一方で「手書き点数表による算定能力の証明は今後も必要」という声も根強く、代替となる資格・試験の整備が求められています。

合格済みの方・勉強中の方への影響

すでに合格している方

試験が廃止されても、合格の事実は消えません。履歴書への記載は引き続き可能です。「診療報酬請求事務能力認定試験(医科)合格」として記載できます。医療機関の採用担当者・医療事務業界関係者の間では当分の間、この資格のネームバリューは維持されると考えられており、就職・転職の場面でのアピール力は引き続き有効です。

勉強途中で廃止を迎えた方

試験は廃止されましたが、学んだ内容は無駄になりません。医療保険制度・診療報酬の算定知識・レセプト作成の基礎は、以下に紹介する代替資格の試験でも共通して問われる内容です。習得した知識をベースに代替資格への移行をおすすめします。

代替となる医療事務資格ガイド

診療報酬請求事務能力認定試験の廃止後、医療事務のスキルを証明する代替資格として以下が注目されています。

医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)

主催:一般財団法人日本医療教育財団 / 合格率:60%前後 / 年12回(毎月)

医療事務の基本的な知識と実務能力を測る試験として、医療事務資格の中で最も受験者数が多く認知度が高い資格です。外来・入院のレセプト作成、医療費計算、診療報酬請求業務の知識が問われます。難易度は診療報酬請求事務能力認定試験より低めで取り組みやすく、毎月受験できる利便性から医療事務入門資格として広く活用されています。

毎月受験可合格率60%前後認知度高い

医療事務管理士®技能認定試験

主催:技能認定振興協会(JSMA) / 合格率:50〜60% / 年6回

医療事務の総合的な知識・技能を認定する民間資格で、外来・入院レセプトの点数算定・保険制度の理解が問われます。在宅試験(自宅での受験)が可能なため、働きながらでも受験しやすい資格です。病院・クリニックへの就職・転職で評価される実務型の資格として位置づけられています。

在宅受験可年6回実務型

診療報酬請求事務能力検定試験(医科2級医療事務実務能力認定試験)

主催:全国医療福祉教育協会 / 合格率:60〜75% / 年複数回

外来・入院レセプトの作成能力と診療報酬の算定知識を問う試験で、廃止された認定試験に近い内容の実務型資格として注目されています。レセプト作成の実技を含む点で実務に直結した内容です。会場試験と在宅試験から選べます。

実技ありレセプト作成会場・在宅選択可

電子カルテオペレーション実務能力認定試験

主催:全国医療福祉教育協会 / 受験者増加中の注目資格

医療DXの進展を背景に注目度が高まっている電子カルテの操作・運用能力を問う資格です。電子カルテが普及した現代の医療現場において、実際の業務環境に即したスキルを証明できます。廃止された認定試験が問えなかった「デジタル時代の医療事務スキル」の証明として、今後ますます需要が高まることが予測されます。

医療DX対応電子カルテ注目度急上昇

医療事務資格の選び方:目的別ガイド

目的・状況 おすすめ資格
医療事務未経験・まず入門資格を取りたい 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)
レセプト作成の実務能力を証明したい 医科2級医療事務実務能力認定試験 / 医療事務管理士®技能認定試験
電子カルテ・デジタル環境に対応したい 電子カルテオペレーション実務能力認定試験
病院・大規模医療機関への就職を目指す 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)+レセプト実技系資格の組み合わせ
クリニック・診療所への就職を目指す クリニック事務技能認定試験 / 医療事務管理士®技能認定試験

まとめ

診療報酬請求事務能力認定試験は、30年以上にわたって医療事務の最高峰資格として機能してきましたが、少子化による受験者数の減少と医療DXの進展を背景に2025年12月をもって廃止されました。すでに合格している方の資格の価値は当面有効であり、引き続き履歴書に記載できます。

これから医療事務を目指す方には、メディカルクラーク®を入門として取得し、レセプト実技系の資格と電子カルテ関連資格を組み合わせることで、変化する医療現場に対応できる人材として証明できます。各資格の最新情報は主催団体の公式サイトで確認してください。

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