遊休地などを持て余している場合、活用方法の1つとして考えられるのが駐車場経営です。立地に左右されるものの、都心はもとい周辺に商業施設がある場合や、公共交通機関が整備されていないけれど近隣に観光スポットがある場合などには集客が見込めます。また、平面駐車場であれば他の不動産ビジネスに比べて初期投資があまりかからないこともメリットです。
一見行政への許可や届出など、許認可が必要なさそうな駐車場の営業ですが、一定の要件に該当する場合には届出が必要となります。
駐車場営業は駐車場法に基づく届出が必要
駐車場営業を規制する法律は駐車場法です。駐車場法では、駐車場を「路上駐車場」と「路外駐車場」2つに区分しています。
路上駐車場:駐車場整備地区内の道路の路面に一定の区画を限つて設置される自動車の駐車のための施設であつて一般公共の用に供されるものをいう。
駐車場法第2条より抜粋
路外駐車場:道路の路面外に設置される自動車の駐車のための施設であつて一般公共の用に供されるものをいう。
路上駐車場は道路脇のパーキングメーターなどの駐車場所を指します。遊休地などを活用して始める駐車場は路外駐車場に該当します。
したがって、これ以降は駐車場法の「路外駐車場」を設置し営業するケースについて見ていきましょう。
届出が必要な場合は?
下記の4つのすべてに該当する場合、管轄の行政担当課へ設置等の届出が必要です。
(1)一般公共の用に供されるもの
…一時預かり駐車場や時間貸し駐車場等を指し、月極駐車場や従業員専用駐車場など、利用者が限定されている自動車の駐車の用に供する部分は対象外です。
(2)自動車の駐車の用に供する部分(駐車マス部分)の面積が500平方メートル以上のもの
(3)駐車料金を徴収するもの
(4)都市計画区域内に設置されるもの
一般論として、(2)駐車部分の面積が500㎡を超えるのはそこそこ大規模な駐車場である点を押さえておきましょう。
(1)~(4)に該当し届出を行う場合、駐車場法に定める構造及び設備の基準を満たさなければなりません。また、届出を行わない場合であっても(1)・(2)に該当する場合には行動及び設備の基準に適合させなければなりません。
構造及び設備の基準
適合させるべき構造及び設備の基準は、駐車場法施行令第6条~第15条に規定されており、建築物においては建築基準法ほか関係法令の基準を満たしていなければなりません。
具体的には、自動車の出入口の設置場所や車路の幅など構造についての基準ほか、避難階段・換気・照明・警報装置などの各種設備についても規定されています。
届出の流れ・必要書類
届出時は事前相談の上、必要書類を揃えて提出します。必要に応じて現地調査が行われ、副本が交付されます。
届出に必要な書類は、位置図や平面図ほか、構造設備基準を満たしているかのチェックシートなどです。建築物の場合は立面図や断面図、換気や照明に関する書類も必要になります。
管理規定の届出
路外駐車場管理者は、管理規定を定め、その供用開始後10日以内に届出をしなければなりません。
管理規定には駐車料金や供用時間のほか、駐車場利用者との供用契約に関する規定などを記載します。
コメント