「独立して建設業を始めたいけど、いったいいくらかかるの?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、この記事では、建設業許可を取得して事業を始める際に必要な費用の全体像をわかりやすく解説します。
結論から言いますと(業種や請負工事の規模により変動はあるものの)開業資金として最低100万円程度、法人を設立する場合は+20万円~30万円程度は見ておく必要があります。
1. 建設業許可の取得費用

建設業を始めるにあたって最初に必要になるのが「建設業許可」です。許可には以下のような費用がかかります。
● 許可申請にかかる法定費用(東京都の場合)
許可の種類 | 金額(収入印紙) |
---|---|
知事許可(新規) | 90,000円 |
大臣許可(新規) | 150,000円 |
※ 5年ごとに更新が必要で、更新にも同額の費用がかかります。
● 申請書類の準備にかかる費用
- 登記簿謄本(法人の場合)…約500円
- 住民票(個人の場合)…300円程度
- 納税証明書など…数百円〜1,000円前後
※これらは役所等で取得が必要です。
● 行政書士への依頼費用(外注の場合)
自分で申請することも可能ですが、要件の確認や書類作成に手間がかかるため、専門家に依頼するケースが多いです。費用の目安は以下のとおり。
- 知事許可(新規)の申請代行費用:70,000円〜150,000円程度
- 経営業務の管理責任者や専任技術者の証明が複雑な場合は別途加算あり
2. 開業準備に必要な費用(許可取得以外)
建設業許可の取得以外にも、独立開業にあたって次のような費用が発生します。
● 事務所・拠点の準備費用
- 事務所の賃料(敷金・礼金含む):20万円〜50万円程度(場所による)
- 事務機器、パソコン、電話回線、インターネット:10万円〜30万円程度
※許可申請には「営業所」の実態が必要なので、自宅兼事務所が使えるか要確認です。
● 法人設立費用(法人として開業する場合)
項目 | 概算費用 |
---|---|
定款認証費用(公証役場) | 約50,000円 |
登録免許税 | 150,000円(株式会社の場合) |
印紙代(電子定款なら不要) | 40,000円 |
総額で約20万円前後が必要になります。
3. 運転資金として確保しておきたい費用
建設業は、材料費や人件費を立て替える必要がある商慣習があるため、手元資金も重要です。
- 着工前の仕入費や外注費:50万円〜200万円程度(規模による)
- 月々の経費(賃料、通信費、交通費、報酬など):10万円〜30万円程度
開業後しばらくは受注が安定しないケースもあるため、最低3か月分の運転資金を準備しておくのが理想です。
4. その他の初期費用
● 社会保険・労働保険の加入手続き
建設業者は社会保険・労働保険の加入が義務付けられています(法人の場合は特に注意)。
- 社会保険加入手続き:自力でも可能だが、社労士に依頼する場合は3〜5万円程度
- 労災・雇用保険の加入費用:人数や賃金総額により変動
● 各種資格取得や講習費用
必要な資格を持っていない場合は、専任技術者のための講習や試験受験費用がかかることもあります。
5. 合計でどのくらいかかる?モデルケースで試算

【モデルケース】個人事業主が知事許可を取得して独立する場合
項目 | 費用の目安 |
---|---|
許可申請の法定費用 | 90,000円 |
行政書士への依頼費 | 100,000円 |
書類取得などの諸費用 | 5,000円 |
事務所準備費 | 30万円 |
運転資金(3か月分) | 50万円 |
合計 | 約100万円前後 |
事業内容や所在地によって変動しますが、開業資金として最低でも80万円〜100万円程度は必要になると見ておきましょう。
まとめ:費用の全体像を把握し、計画的に独立を
建設業で独立開業するには、許可取得だけでなく、事務所や資金繰りの準備も含めて多くの費用が発生します。
ただし、必要な準備を適切に行えば、許可業者としての信用力を活かして継続的に受注が見込めるという大きなメリットもあります。
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