ボイラー技士免許(二級・一級・特級)
受験資格
二級:なし / 一級:二級免許 / 特級:一級免許
二級は誰でも受験可。免許には実技講習の修了または実務経験が必要
難易度
★★〜★★★
令和7年度:二級52.9%・一級50.5%・特級34.0%
勉強時間の目安
二級:40〜60時間 / 一級:60〜100時間 / 特級:150時間以上
一般的な目安。二級は免許のために実技講習(20時間)なども必要
合格率
二級:52.9% / 一級:50.5% / 特級:34.0%
令和7年度(全国)。二級は21,349人中11,303人が合格
試験・受験料
二級:月1〜2回・8,800円(非課税)
全国の安全衛生技術センター(試験場)で受験。出張特別試験もあり
ビルメン・設備管理需要
★★★★
ビルメン4点セットの1つ。工場・ビル・病院の施設管理で評価される
工場・ビル・病院・学校・ホテルなど熱源設備を持つあらゆる施設でのボイラー操作・管理を行うための国家資格がボイラー技士免許です。労働安全衛生法に基づく国家資格として、一定規模のボイラーの取扱いには資格保有者の選任が義務付けられています。ビルメンテナンス業界の入門資格「ビルメン4点セット」(二級ボイラー技士・危険物取扱者乙種4類・第二種電気工事士・第三種冷凍機械責任者)の1つとして、設備管理のキャリアを目指す方の最初の一歩として広く知られています。
二級は受験資格なしで、各地のセンターで毎月のように試験が行われ、合格率は令和7年度で52.9%と取り組みやすい水準です。ただし試験合格だけでは免許が交付されず、ボイラー実技講習(20時間)の修了または一定の実務経験が必要という点が他の資格と異なる重要なポイントです。
ボイラー技士とはどんな資格か
ボイラーは蒸気・温水を生産する圧力容器で、工場・病院・大型ビル・地域熱供給など広く使用されています。ボイラー技士は、ボイラーの安全な運転・点検・トラブル対応を担う専門技術者として法律で選任が義務付けられた資格者です。
資格は二級・一級・特級の3段階で構成されており、取扱える(作業主任者になれる)ボイラーの伝熱面積の規模が異なります。上位資格を取得するほど大規模なボイラー設備の管理を担うことができます。
三段階の資格と担当できる規模
| 資格 | 取扱作業主任者になれる範囲 | 受験資格 | 試験形式 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 二級ボイラー技士 | 貫流ボイラーを除く伝熱面積25㎡未満のボイラー | なし(誰でも受験可) | マークシート(5肢択一)・4科目40問 | 52.9% |
| 一級ボイラー技士 | 伝熱面積25㎡以上500㎡未満のボイラー | 二級ボイラー技士免許を受けた者、またはボイラーに関する学科を修めて卒業し1年以上の実地修習を経た者など | マークシート(5肢択一)・4科目40問 | 50.5% |
| 特級ボイラー技士 | 規模に制限なし(すべてのボイラー) | 一級ボイラー技士免許を受けた者、またはボイラーに関する学科を修めて卒業し2年以上の実地修習を経た者など | 4科目・各6問(各1時間、計4時間) | 34.0% |
特級ボイラー技士は規模制限なしにすべてのボイラーの取扱作業主任者になれる最高位の資格です。合格率は令和7年度で二級52.9%(21,349人中11,303人)、一級50.5%(4,372人中2,207人)、特級34.0%(377人中128人)でした(いずれも全国の学科試験)。
二級ボイラー技士の詳細
試験の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | なし(本人確認証明書の添付は必要) |
| 受験料 | 8,800円(非課税) |
| 試験形式 | 5肢択一式・マークシート方式 |
| 試験科目・問題数 | 4科目各10問・計40問 |
| 試験時間 | 13:30〜16:30(3時間) |
| 合格基準 | 科目ごとの得点が40%以上(各科目4問以上)で、かつ合計が60%以上(24問以上) |
| 試験頻度 | 各地の安全衛生技術センターで毎月のように実施(日程はセンターごと。出張特別試験もあり) |
| 試験会場 | 北海道・東北・関東・中部・近畿・中国四国・九州の各センター(関東は東京試験場、近畿は大阪試験場もあり) |
| 合格発表 | 本人あての通知書で知らせる(センターのホームページにも掲載) |
| 免許申請先 | 東京労働局免許証発行センター(郵送または電子申請) |
| 主催 | 公益財団法人安全衛生技術試験協会 |
出典:公益財団法人安全衛生技術試験協会「二級ボイラー技士」「一級ボイラー技士」「特級ボイラー技士」「試験手数料」「各種免許試験(学科)の合格率一覧表(令和7年度)」(確認日:2026年10月9日)
試験4科目の内容
| 科目 | 主な出題内容 | 問題数 |
|---|---|---|
| ボイラーの構造に関する知識 | ボイラーの種類・構造・部品の名称と機能・蒸気・圧力の基礎 | 10問 |
| ボイラーの取扱いに関する知識 | 起動・停止・運転管理・水管理・ブロー・異常時の対応 | 10問 |
| 燃料及び燃焼に関する知識 | 燃料の種類・性質・燃焼の仕組み・バーナーの構造・燃焼調節 | 10問 |
| 関係法令 | 労働安全衛生法・ボイラー及び圧力容器安全規則・設置基準 | 10問 |
【重要】二級免許取得には実技講習または実務経験が必要
二級ボイラー技士は筆記試験に合格しただけでは免許が交付されません。以下のいずれかの条件を満たした上で免許申請することが必要です。
| 条件 | 内容 | 所要期間・費用目安 |
|---|---|---|
| ①ボイラー実技講習の修了 | 日本ボイラ協会等が実施するボイラー実技講習(20時間)を修了する。ボイラーの実物操作を含む実習があり、学科・実技の両面を学べる | 2〜3日程度。受講料は実施団体・地域により異なる |
| ②一定の実務経験 | ボイラー取扱業務の実務経験を有すること(詳細は安全衛生技術試験協会の受験要領を確認) | 規定の期間・証明書類が必要 |
実務経験がない方は①のボイラー実技講習を受講するルートが一般的です。実技講習は試験前に受講しておくと、実物のボイラーに触れることで筆記試験の理解も深まるため、試験前に受講することをおすすめします。実技講習は各地のボイラ協会が実施しており、地域によって月1回〜年数回の開催頻度があります。
一級・特級ボイラー技士の受験資格と試験概要
一級ボイラー技士
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な受験資格 | ①二級ボイラー技士免許を受けた者 ②大学・短大・高専・高校などでボイラーに関する学科を修めて卒業し、その後1年以上の実地修習を経た者 ③その他所定の条件(詳細は安全衛生技術試験協会で確認) |
| 受験料 | 8,800円(非課税) |
| 試験形式 | 5肢択一式・マークシート方式(4科目・計40問、12:30〜16:30の4時間) |
| 試験頻度 | センターごとに日程が決まっている(協会の日程表で確認) |
| 合格率 | 50.5%(令和7年度) |
特級ボイラー技士
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な受験資格 | ①一級ボイラー技士免許を受けた者 ②大学・短大・高専でボイラーに関する講座や学科目を修めて卒業し、その後2年以上の実地修習を経た者 ③エネルギー管理士(熱)免状を持つ者など(詳細は安全衛生技術試験協会で確認) |
| 受験料 | 8,800円(非課税) |
| 試験形式 | 4科目・各6問(各1時間、計4時間) |
| 試験頻度 | 実施回数は少ない(協会の日程表で確認) |
| 受験者数 | 377人(令和7年度・全国) |
| 合格率 | 34.0%(令和7年度) |
試験の申込方法
二級・一級の申込方法は以下の2種類です。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| オンライン申請(推奨) | 安全衛生技術試験協会の公式サイトからオンライン完結で受験申請可能。受験申請書の取り寄せが不要 |
| 郵送・窓口申請 | 受験申請書を協会本部・各センター・取扱機関で入手し、必要書類とともに郵送または窓口で提出 |
申込受付は受験を希望する試験日の2か月前から始まり、オンライン申請は試験日の14日前まで、郵送は14日前の消印までです(窓口の受付期限は各センターで確認してください)。月ごとに試験が実施されるため、無理なく自分のスケジュールに合わせて受験計画を立てられます。
ビルメン4点セットとしての位置づけ
ビルメンテナンス(ビル管理)業界では、以下の4資格を「ビルメン4点セット」と呼び、施設管理の基礎資格として広く推奨されています。
| 資格 | 関連設備 | 取りやすさ |
|---|---|---|
| 二級ボイラー技士 | ボイラー・熱源設備 | 合格率52.9%(令和7年度)・受験機会が多い |
| 危険物取扱者乙種4類 | 灯油・重油等の燃料管理 | 受験機会が多い(都道府県ごとに実施) |
| 第二種電気工事士 | 電気設備・照明・コンセント | 年2回(上期・下期) |
| 第三種冷凍機械責任者 | 空調設備・冷凍冷蔵 | 年1回(11月) |
ビルメン4点セットを全て取得することで、ビルメンテナンス会社への就職・転職の際に「基本的な設備管理が一通りできる人材」として高く評価されます。ビルメンを目指す場合、最も受験機会が多い二級ボイラー技士か危険物乙4から始め、冷凍3種(年1回・11月のみ)を先に計画に組み込むことが効率的です。
ボイラー技士で開けるキャリア
ビルメンテナンス・設備管理
オフィスビル・商業施設・病院・学校・ホテルなどの施設管理(ビルメン)職において、二級ボイラー技士は採用・評価の基本資格です。各種設備の点検・保守・異常対応を担う設備管理員として、資格手当が支給されることもあります(金額は会社によって異なります)。
工場・プラントの設備管理
製造業の工場・食品工場・化学プラントなど大型ボイラーを使用する施設では、一級・特級ボイラー技士が取扱作業主任者として選任されます。大規模施設での責任ある役職に就くためのステップアップ資格として、一級・特級の取得が重要です。
病院・温泉施設・地域熱供給
病院の蒸気滅菌設備・温泉の熱源設備・地域暖冷房システム等、医療・観光・インフラ分野でのボイラー管理専門家としての活躍が期待されます。エネルギー効率の向上・省エネ管理の観点からも、ボイラー技士の専門知識は重要性を増しています。
ボイラーレス化の現状と将来性
近年は小型貫流ボイラーや電気式・ヒートポンプ式熱源の普及により、ボイラー技士の資格が不要な施設が増えているのも事実です。ただし、大規模な工場・病院・地域熱供給等では依然として蒸気ボイラーが欠かせず、有資格者の需要は継続しています。また、エネルギー管理士との組み合わせで省エネ・脱炭素分野での専門家としての活躍の場も広がっています。
施設管理のキャリアを目指す方にとって、二級ボイラー技士は今なおビルメン4点セットの一角として取得すべき資格であり、設備管理の基礎スキルを証明する手段として価値があります。
合格のための学習戦略
過去問中心の繰り返し学習が最効率
二級ボイラー技士の試験は出題パターンが安定しており、過去問を繰り返し解くことが最も効果的な対策です。安全衛生技術試験協会の公式サイトで公開されている過去問・公表問題を中心に、3〜5年分を繰り返し解いて問題のパターンを習得しましょう。
4科目の足切りに注意した学習配分
合格基準は「各科目40%(4問)以上かつ合計60%(24問)以上」で、科目別の足切りがあるため、得意科目だけ高得点を取っても1科目でも3問以下だと不合格になります。4科目をバランスよく学習し、苦手科目(多くの受験者には「ボイラーの構造」や「関係法令」)を重点的に補強することが重要です。
実技講習は試験前に受講が推奨
ボイラー実技講習(20時間・2〜3日間)は試験合格後でも受講できますが、試験前に受講しておくことで実物のボイラーを操作・観察する経験が筆記試験の理解を深め、合格率向上に役立ちます。また試験後に講習の日程が合わない場合、免許交付まで数ヶ月待つことになりかねないため、試験前受講が時間的にも効率的です。
よくある質問
Q. 試験会場が遠くて受験できません。出張試験はありますか?
はい、センターから離れた地域で受験できる「出張特別試験」があります。出張特別試験は提出先や受付期間が地区ごとに異なります。最新の出張試験日程は安全衛生技術試験協会の公式サイト(exam.or.jp)で確認してください。
Q. 試験申込はいつからできますか?
受験希望日の2か月前から申込受付が始まります。オンライン申請は試験日の14日前まで、郵送申請は14日前の消印までです。
Q. 二級と一級の試験内容はどのくらい違いますか?
一級は二級の知識を前提として、より大型のボイラー特有の構造・制御・運転管理に関する高度な内容が加わります。試験形式は同じくマークシート4科目(一級は4時間)ですが、一級では大型ボイラー・自動制御・熱管理の高度な問題が出題されます。二級合格後に一定の実務経験を積みながら一級を目指すステップアップルートが一般的です。
まとめ
ボイラー技士は、ビルメンテナンス・工場・医療・エネルギー分野での設備管理に必要な国家資格として、施設管理のキャリアを目指す方に欠かせない資格です。二級は受験資格なし・受験機会が多く・合格率52.9%(令和7年度)と取り組みやすく、ビルメン4点セットの入門資格として最初に取得する方が多い資格です。
試験前にボイラー実技講習を受講し、過去問中心の学習で4科目バランスよく対策することが合格への近道です。詳細な試験日程は安全衛生技術試験協会の公式サイト(exam.or.jp)で確認し、希望する試験日の2か月前から申込を開始しましょう。
関連記事:ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)とは?/危険物取扱者乙種4類の取り方/第二種電気工事士の取り方/エネルギー管理士とは?
