建設業許可は一般建設業と特定建設業の2つに分けられます。
一般建設業と特定建設業の違いは、元請け会社として工事を受注する際に、下請け会社への発注金額の多寡によるもので、受注工事の一定額以上を下請けに発注する場合は特定建設業許可を取得しておく必要があります。
ここからは、一般と特定の区分の目的なども踏まえながら、もう少し詳しく説明していきます。
そもそも一般と特定の違いは何のためにある?
そもそも一般建設業と特定建設業ですが、下請負人の保護を主な目的として設けられた区分です。特定建設業許可を受けるためには、技術者の要件や財産的基礎の要件で一般建設業よりも厳しい定めがあります。
冒頭で、下請け会社への発注金額が一定額を上回る場合は特定建設業である必要がある、と述べましたが、これは金額が大きいと工事規模が大きくなり、工期も長期間に及び専門業者の数も増える複雑な工事になっていくからです。より一層の専門的技術が必要になると共に、万が一元請け会社が倒産などしてしまった時にも、下請け会社への損害を抑える必要があることなどから、特定建設業として要件を厳しくした区分を設けているのです。
特定建設業許可が必要なのはどんな場合?
発注者から直接元請け会社として請け負った工事について、5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)の下請契約を締結する場合に特定建設業許可が必要になります。
令和7年2月1日より、建築工事業の場合は7,000万円から8,000万円に、それ以外の場合は4,500万円から5,000万円に、それぞれ引き上げられました。
つまり、ポイントは2つで、自社が元請負人であり、下請契約の金額が5,000万(又は8,000万円)以上であるときに、特定建設業許可を受けている必要があるのです。
自社が下請(一次)である場合には二次以降の下請けに対する下請契約の金額の制限はありません。また、元請負人として直接受注した工事金額が大きいものであっても、工事の大半を自社で施工するなどして下請契約金額が5,000万円を下回る場合には一般建設業で差し支えないのです。
特定建設業許可の要件は?
特定建設業許可には専任技術者と財産的基礎の要件で一般建設業よりも厳しい条件が課せられていると説明しました。具体的な一般建設業との違いは以下の通りです。
専任技術者に関する要件
特定建設業許可を受ける場合、専任技術者は所定の国家資格、又は指導監督的な実務経験を有する必要があります。
ただし、指定建設業(土木工事・建築工事・管工事・鋼構造物工事・舗装工事・電気工事・造園工事)については施工技術の総合性が考慮され、一級の国家資格・技術士資格が必要となります。
財産的基礎等に関する要件
以下の4つに該当していなければなりません。
①欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
②流動比率が75%以上であること
③資本金の額が2,000万円以上あること
④自己資本の額が4,000万円以上あること
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