介護福祉士
受験資格
実務経験3年以上+実務者研修
または養成施設ルート・福祉系高校ルート等
難易度
★★★★★
合格率70%前後。全科目群での得点が必要
勉強時間の目安
150〜300時間
実務経験者で3〜6ヶ月が目安
合格率
約70%前後
第38回(2026年):70.1%
試験日・受験料
年1回・1月下旬・18,380円
全国35都道府県で実施
転職需要
★★★★★
介護職唯一の国家資格。給与・待遇に直結
介護職として働くなら、ぜひ目指したい国家資格が「介護福祉士」です。介護・福祉の専門知識と技術を証明する唯一の国家資格として、資格手当の支給・給与アップ・役職への就任・転職時の評価など、取得後のキャリアへの効果は多岐にわたります。
合格率は70%前後と国家資格の中では比較的高く、実務経験者が着実に準備すれば合格を目指せます。2026年実施の第38回試験からは「パート合格制度」が導入され、不合格となっても科目ごとに再挑戦できる仕組みになりました。介護現場で働きながらキャリアアップを目指すすべての方に取得をおすすめできる資格です。
介護福祉士とはどんな資格か
介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく国家資格です。高齢者・障害者の日常生活を支援する介護の専門家として、身体介護・生活援助・コミュニケーション支援・医療的ケアなど幅広い業務を担います。
介護職には無資格でも就くことができますが、介護福祉士を取得することで「専門職」として認定され、業務範囲・責任・待遇のすべてが変わります。特に喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアが介護福祉士に認められており、より高度な介護の担い手として活躍できます。また介護施設・訪問介護事業所では介護福祉士の配置比率が加算要件になっており、施設側からも資格取得を強く奨励される資格です。
【2026年から導入】パート合格制度とは
2026年実施の第38回試験から、介護福祉士国家試験に「パート合格制度」が導入されました。これは試験の合格基準を大きく変えた重要な制度変更です。
これまでは試験に不合格の場合、翌年すべての科目を再受験する必要がありました。パート合格制度では試験科目を3つのパート(A・B・C)に分けて判定し、不合格となったパートのみを翌年・翌々年に再受験できます。合格したパートは2年間受験が免除されるため、仕事・育児・介護と両立しながら段階的に資格取得を目指せるようになりました。
| パート | 対象科目 |
|---|---|
| パートA | 人間の尊厳と自立・人間関係とコミュニケーション・社会の理解・介護の基本・コミュニケーション技術・生活支援技術・介護過程 |
| パートB | こころとからだのしくみ・発達と老化の理解・認知症の理解・障害の理解・医療的ケア |
| パートC | 総合問題 |
なお一括受験(全パートを同日に受験)した場合は、まず総得点で合否判定が行われます。総得点で合格となればすべて完了ですが、不合格でも各パートの基準を達した部分は翌年の免除対象となります。
受験資格:主な3つのルート
介護福祉士試験には受験資格があります。社会人が働きながら目指す場合は「実務経験ルート」が一般的です。
| ルート | 主な要件 | 対象者 |
|---|---|---|
| 実務経験ルート(最も一般的) | 介護等の業務に3年以上(従業期間1,095日以上・従事日数540日以上)従事+実務者研修の修了 | 介護施設・訪問介護等で働く介護職員 |
| 養成施設ルート | 厚生労働大臣指定の介護福祉士養成施設(2年以上)を卒業 | 専門学校・短大で介護を学んだ方 |
| 福祉系高校ルート | 福祉系高校の必要科目を履修して卒業 | 高校で福祉・介護を専攻した方 |
実務経験ルートで受験する社会人が最も多く、介護施設・訪問介護・グループホーム・デイサービスなどでの介護業務が対象です。注意が必要なのは、実務経験だけでなく「実務者研修」の修了も必須である点です。実務者研修は全450時間のカリキュラムで、スクールに通うか通信講座で修了します。受験申込前に実務者研修を修了していなければなりません(試験日までに修了予定でも申込可能)。
試験の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験料 | 18,380円 |
| 試験日 | 例年1月下旬の日曜日(年1回) |
| 申込期間 | 例年8月上旬〜9月上旬 |
| 試験会場 | 全国35都道府県 |
| 合格発表 | 例年3月中旬 |
| 試験形式 | 五肢択一式マークシート(筆記試験のみ・実技試験は2024年廃止) |
| 問題数・時間 | 125問・220分(午前100分・午後120分) |
| 合格基準 | 総得点125点の60%程度(難易度補正あり)かつ11科目群すべてで得点 |
| 主催 | 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター |
合格基準点は毎年の難易度に応じて補正されます。第38回(2026年実施)の合格基準点は64点でした。また合格基準点を満たしていても11の試験科目群のいずれかで0点があると不合格になる「科目群足切り」があるため、全科目で最低1問以上の正解が必要です。
試験の13科目
介護福祉士試験は13科目・125問で構成されます。人間理解・介護技術・医療・法律・総合問題と幅広い範囲から出題されます。
| 科目群 | 科目名 | 問題数 |
|---|---|---|
| ① | 人間の尊厳と自立 | 2問 |
| ② | 人間関係とコミュニケーション | 4問 |
| ③ | 社会の理解 | 12問 |
| ④ | こころとからだのしくみ | 12問 |
| ⑤ | 発達と老化の理解 | 8問 |
| ⑥ | 認知症の理解 | 10問 |
| ⑦ | 障害の理解 | 10問 |
| ⑧ | 医療的ケア | 5問 |
| ⑨ | 介護の基本 | 10問 |
| ⑩ | コミュニケーション技術 | 6問 |
| ⑪ | 生活支援技術 | 26問 |
| ⑫ | 介護過程 | 8問 |
| ⑬ | 総合問題 | 12問 |
介護福祉士で変わるキャリアと待遇
資格手当による給与アップ
介護福祉士を取得すると、多くの介護施設・事業所で資格手当が支給されます。金額は施設によって異なりますが、月額8,000〜25,000円程度が一般的で、年収換算で10〜30万円以上の増加につながります。また国の処遇改善加算制度では介護福祉士の配置が評価対象となり、施設全体の収入増加を通じて職員の給与底上げにつながっています。
リーダー・管理職への道が開ける
介護福祉士を取得することで、フロアリーダー・ユニットリーダー・サービス提供責任者などの役職候補として評価されるようになります。また訪問介護事業所のサービス提供責任者には介護福祉士資格が要件として設定されていることが多く、キャリアの選択肢が広がります。
転職・就職での強力なアピール
介護業界は慢性的な人手不足であり、介護福祉士の有資格者は転職市場でも高い需要があります。無資格・未経験でも採用される業界ですが、介護福祉士を保有することで条件交渉・施設の選択肢・正社員採用のしやすさが大きく変わります。施設によっては資格取得を条件に正社員転換の制度を設けているところもあります。
さらに上の資格へのステップ
介護福祉士を取得すると、さらに上位の資格・専門職への道が開けます。
| 次のステップ | 概要 | 受験資格への関連 |
|---|---|---|
| ケアマネジャー(介護支援専門員) | 介護保険サービスのプランナー | 介護福祉士として5年以上の実務経験で受験資格 |
| 認定介護福祉士 | 介護福祉士の上位認定資格 | 介護福祉士取得後に民間認定の研修を修了 |
| 社会福祉士 | 福祉全般の相談援助専門職 | 養成施設ルートで取得可能 |
難易度・勉強時間の目安
介護福祉士試験の合格率は70%前後と比較的高く、国家資格の中では挑戦しやすい部類です。ただし試験範囲は13科目と広く、すべての科目群で得点が必要なため苦手科目を放置することはできません。実務経験で培った現場知識が活かせる一方で、法制度・社会の理解・医療的ケアなど現場経験だけでは補いにくい科目への対策が必要です。
| 前提知識・経験 | 勉強時間 | 学習期間 |
|---|---|---|
| 介護の実務経験3年以上・現場知識十分 | 150〜200時間 | 3〜4ヶ月 |
| 実務経験はあるが座学は苦手 | 200〜300時間 | 4〜6ヶ月 |
| 養成施設・福祉系高校からの受験 | 100〜150時間 | 2〜3ヶ月 |
合格のための勉強法
過去問を軸にした学習サイクル
試験問題は厚生労働省の「出題基準」に基づいて作成されるため、出題パターンが比較的安定しています。過去問を繰り返し解き、間違えた問題の解説を読み込む学習サイクルが最も効果的です。過去3年分の過去問を3周以上解くことを目標にしましょう。
苦手科目の「0点科目群」を作らない
介護福祉士試験の最大の落とし穴は科目群足切りです。「生活支援技術(26問)」など問題数が多い科目は得点しやすい一方、「人間の尊厳と自立(2問)」「医療的ケア(5問)」など問題数が少ない科目で0点になると不合格です。問題数の少ない科目ほど丁寧に対策しておくことが重要です。
実務の経験を学習と結びつける
介護現場での経験は試験の大きな武器になります。実際に利用者の介護をしながら「この動作はなぜ正しいのか」を意識的に考える習慣をつけることで、試験の実践的な問題への対応力が上がります。「社会の理解」「介護の基本」などの法制度系科目は現場で目にする書類・計画・会議と結びつけて学ぶと理解が深まります。
テキストは「手引き」準拠の最新版を選ぶ
出題基準は定期的に改訂されます。最新の出題基準に対応したテキストを使用することが必須で、古い版のテキストは改訂部分が試験に出た際に対応できません。毎年改訂される試験向けテキストの最新年度版を必ず選びましょう。
よくある質問
Q. 介護福祉士と「介護士」は違いますか?
「介護士」は法的な定義がない通称で、介護の仕事に就く人全般を指す場合に使われます。一方「介護福祉士」は社会福祉士及び介護福祉士法に基づく国家資格の名称です。介護福祉士を取得して初めて「介護福祉士」を名乗ることができ、名称独占資格として保護されています。
Q. 実務者研修はどこで受けられますか?
全国の介護系スクール・専門学校・通信講座で受講できます。通信+スクーリング形式が一般的で、受講期間は約4〜6ヶ月が目安です。費用は5〜15万円程度で、施設によっては会社が費用を全額または一部負担する「資格取得支援制度」を設けているところもあります。働きながら受験を目指す方は、まず職場の制度を確認してみましょう。
Q. パート合格制度を使えば何年で取れますか?
最大3年間(初年度+翌年+翌々年)のチャレンジ期間があります。1年目で一部のパートに合格し、2年目・3年目で残りのパートに合格するという計画も立てられます。ただし合格パートの有効期間は2年間のため、3年以内に全パートの合格を目指す必要があります。
まとめ
介護福祉士は、介護職として働くすべての方にとってキャリアの転換点となる国家資格です。合格率70%前後・パート合格制度の導入で以前より挑戦しやすくなっており、実務経験3年を積んだら積極的に受験を目指しましょう。
資格取得後の給与アップ・役職への道・転職市場での評価向上と、取得によって得られる恩恵は多岐にわたります。現場で働きながらでも、計画的な学習と過去問演習を続けることで必ず合格できる資格です。まずは実務者研修の受講から始めてみましょう。