旅行業務取扱管理者(国内・総合)
受験資格
なし
年齢・学歴・実務経験すべて不問
難易度
★★★★★
国内:合格率35%前後/総合:合格率20%台
勉強時間の目安
国内:100〜150h
総合:200〜250h(海外実務が難関)
合格率
国内:約35% / 総合:約20〜28%
総合は免除あり受験者を含む。全科目受験は10%台
試験日・受験料
国内:9月頃(CBT)・8,000円
総合:10月下旬・13,000円(2025年6月改定)
転職需要
★★★★★
旅行会社唯一の国家資格。必置資格で需要安定
旅行会社の営業所には「旅行業務取扱管理者」を必ず1名以上配置することが旅行業法で義務付けられています。旅行業界で働く・働きたいすべての人にとって、旅行業界唯一の国家資格として評価される必置資格です。旅行が好きで仕事にしたい方、旅行会社でのキャリアを確立したい方に広く目指されています。
資格には「国内」「総合」「地域限定」の3種類があり、取り扱える旅行の地理的範囲が異なります。受験資格は不問で誰でも挑戦できる点も魅力です。なお、2025年6月から受験料が大幅改定されていますので、古い情報に注意してください。
旅行業務取扱管理者とはどんな資格か
旅行業務取扱管理者は、旅行業法に基づく国家資格です。旅行会社・旅行代理店の営業所では、この資格の保有者を取り扱う旅行の種類に応じて選任することが義務付けられており、資格なしでは旅行業の営業ができません。
主な職務は、旅行取引に関する顧客への説明・旅行約款の管理・苦情対応・旅行契約の適正な管理・従業員への指導監督など、営業所の旅行取引全体を管理・監督することです。旅行プランの企画・販売・手配といった旅行業のコアな業務を、責任者として担える資格です。
3種類の資格:国内・総合・地域限定の違い
旅行業務取扱管理者には3つの区分があります。取り扱える旅行の範囲と試験の難易度が異なるため、自分のキャリア目標に合わせて選択することが重要です。
| 種別 | 取り扱える旅行 | 合格率 | 受験料 | 試験実施 |
|---|---|---|---|---|
| 国内旅行業務取扱管理者 | 日本国内の旅行全般 | 約35%前後 | 8,000円 | CBT方式・9月頃 |
| 総合旅行業務取扱管理者 | 国内+海外すべての旅行 | 約20〜28%(免除者含む) | 13,000円 | 筆記試験・10月下旬 |
| 地域限定旅行業務取扱管理者 | 特定の地域内の旅行のみ | — | 観光庁公示参照 | 観光庁主催 |
旅行業界でのキャリアを本格的に築くなら、まず国内旅行業務取扱管理者を取得し、翌年以降に免除制度を活用して総合旅行業務取扱管理者を目指す「段階取得」が王道ルートです。国内資格を持っていると、総合試験で「旅行業法」と「国内旅行実務」の2科目が無期限で免除されるため、残り「約款」と「海外旅行実務」の2科目に集中できます。
【重要】2025年6月から受験料が大幅改定
2025年6月1日施行の旅行業法施行令改正により、受験料が次のとおり大幅に引き上げられました。受験者の減少による試験運営の収支悪化が理由です。
| 試験区分 | 改定前(〜2025年5月) | 改定後(2025年6月〜) |
|---|---|---|
| 総合旅行業務取扱管理者 | 6,500円 | 13,000円(約2倍) |
| 国内旅行業務取扱管理者 | 5,800円 | 8,000円 |
特に総合試験は受験料が約2倍になっています。古いテキストやウェブサイトの情報では旧料金が掲載されている場合があるため注意してください。なお国内試験にはCBTシステム利用料として別途660円(税込)が必要です。
試験の基本情報
国内旅行業務取扱管理者
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | なし |
| 受験料 | 8,000円(非課税)+システム利用料660円(税込) |
| 試験方式 | CBT方式(テストセンターのパソコンで受験) |
| 試験時期 | 例年9月上旬〜下旬(受験者が日時を選択) |
| 試験会場 | 全国47都道府県のテストセンター |
| 申込期間 | 例年6月上旬〜7月上旬 |
| 合格発表 | 例年10月中旬 |
| 合格基準 | 全科目60%以上の得点率 |
| 主催 | 一般社団法人 全国旅行業協会(ANTA) |
総合旅行業務取扱管理者
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | なし |
| 受験料 | 13,000円(非課税)+システム利用料660円(税込) |
| 試験方式 | 筆記試験(マークシート) |
| 試験日 | 例年10月下旬の日曜日(年1回) |
| 試験会場 | 北海道・宮城・東京(2会場)・愛知・大阪・広島・福岡・沖縄の9会場 |
| 申込期間 | 例年7月上旬〜8月上旬 |
| 合格発表 | 例年12月上旬 |
| 合格基準 | 全科目60%以上の得点率(海外旅行実務は200点満点中120点以上) |
| 主催 | 一般社団法人 日本旅行業協会(JATA) |
試験の科目構成
国内旅行業務取扱管理者(3科目・120分)
| 科目 | 配点 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 旅行業法およびこれに基づく命令 | 100点 | 旅行業の登録・取引条件・禁止行為・罰則等 |
| 旅行業約款・運送約款・宿泊約款 | 100点 | 契約の締結・解除・変更・旅行業者の責任等 |
| 国内旅行実務 | 100点 | JR運賃・料金計算、航空運賃、宿泊料金、国内地理等 |
総合旅行業務取扱管理者(4科目・午前・午後の2時限)
| 科目 | 配点 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 旅行業法(第1時限) | 100点 | 国内試験の法令科目と同内容 |
| 旅行業約款等(第1時限) | 100点 | 国内試験の約款科目と同内容 |
| 国内旅行実務(第2時限) | 100点 | 国内試験の実務科目と同内容 |
| 海外旅行実務(第2時限) | 200点 | 国際航空運賃・出入国手続・海外地理・英語・旅行英会話等 |
総合試験の最大の難所は「海外旅行実務」です。200点満点(他科目の2倍)と配点が高く、国際航空運賃の計算・英語による契約書の読み取り・世界の地理など、広範な知識が求められます。全科目受験者のみで見た合格率は10%台にとどまる年もあり、この科目への十分な対策なしに合格するのは難しいとされています。
旅行業務取扱管理者で開けるキャリア
旅行会社・旅行代理店への就職・転職
旅行業界への就職・転職を目指す方にとって、旅行業務取扱管理者は事実上の必須資格です。旅行業法の規定上、営業所に有資格者がいなければ営業できないため、旅行会社は常に有資格者を必要としています。特に総合旅行業務取扱管理者の保有者は希少性が高く、大手旅行会社・OTA(オンライン旅行会社)・航空会社系列の旅行部門への転職で強力なアピールになります。
インバウンド・観光業界でのキャリア
訪日外国人旅行者(インバウンド)の増加に伴い、旅行業務の知識を持つ人材への需要が観光業界全体で高まっています。旅行業務取扱管理者の資格はホテル・旅館・観光施設・DMO(観光地域づくり法人)などでも評価されます。地域の観光振興に携わる仕事を目指す方にも有効な資格です。
旅行会社の独立開業
旅行業の開業には旅行業の登録が必要で、その際に営業所に旅行業務取扱管理者を配置することが条件となります。旅行会社の独立開業を目指す方には必須の資格です。個人で旅行業を開業し、専門性の高いツアー企画・手配代行などを行うビジネスモデルも近年注目されています。
難易度・勉強時間の目安
国内旅行業務取扱管理者
合格率35%前後と比較的取得しやすく、旅行業の入門資格として最初に目指すのに適しています。3科目のうち「旅行業法」「約款」は暗記中心で取り組みやすく、「国内旅行実務」はJR運賃計算など実務的な計算問題が含まれます。旅行好きの方なら地理の知識が活かせる科目でもあります。
| 前提知識 | 勉強時間 | 学習期間 |
|---|---|---|
| 旅行業の実務経験あり | 60〜100時間 | 1〜2ヶ月 |
| 旅行経験豊富・法律知識なし | 100〜150時間 | 2〜3ヶ月 |
| 旅行知識・法律知識ともになし | 150〜200時間 | 3〜4ヶ月 |
総合旅行業務取扱管理者
海外旅行実務の難度が高く、国内試験より大幅に難しくなります。特に国際航空運賃の計算(GDS運賃・IATA運賃規則)と英語科目は専門的な知識が必要で、独学での対策が難しい分野です。国内資格取得後に免除制度を活用して2科目に絞る戦略が合格への王道です。
| 受験パターン | 勉強時間 | 学習期間 |
|---|---|---|
| 国内資格保有・2科目免除受験 | 150〜200時間 | 3〜4ヶ月 |
| 全4科目受験(初受験) | 250〜300時間 | 5〜6ヶ月 |
| 旅行業実務経験3年以上・研修免除活用 | 100〜150時間 | 2〜3ヶ月 |
合格のための勉強法
法令・約款科目:条文の読み込みと過去問演習
旅行業法・旅行業約款は毎年ほぼ同じ出題範囲から出題されます。条文の重要ポイントを整理しながらテキストを読み込み、過去問を繰り返し解くことで確実に得点できます。特に数字(登録の有効期間・弁済業務保証金の金額等)の暗記は必須です。
国内旅行実務:JR計算を繰り返し練習する
国内旅行実務の最大の山場はJR運賃・特急料金の計算問題です。複雑な経路計算や割引制度のルールを理解するには、問題を繰り返し解いて計算パターンを体に覚えさせることが効果的です。地理はある程度の旅行経験・旅行知識があれば有利ですが、試験頻出の観光地・温泉・祭りなどのポイントを一通りテキストで押さえておきましょう。
海外旅行実務:国際航空運賃と英語は通信講座の活用を
総合試験の海外旅行実務は独学での対策が最も難しい科目です。国際航空運賃(IATA運賃規則・マイレージシステム)は体系的な理解が必要で、英語科目は実務的な旅行英語の読解力が問われます。資格の大原・LEC・フォーサイトなどの通信講座には海外旅行実務に特化した教材が用意されており、この科目については通信講座の活用を強くおすすめします。
よくある質問
Q. 旅行会社に就職してから取得するのと、就職前に取得するのどちらがいいですか?
どちらのルートも現実的ですが、就職・転職活動中に国内旅行業務取扱管理者を取得しておくと書類選考での評価が高まります。旅行会社に入社後は会社が費用負担・学習時間を確保してくれるケースもありますが、資格保有者として入社する方が初任給・配属先での評価が有利になる場合があります。
Q. 国内を取得せず最初から総合を目指すのはありですか?
可能ですが、国内を先に取得する段階取得ルートのほうが効率的です。国内合格後に総合を受験すると「旅行業法」「国内旅行実務」の2科目が無期限免除され、残り2科目に集中できます。総合の全4科目受験は難易度が高いため、国内→総合の順番が王道です。
Q. 旅行業に就いていなくても取れますか?
はい、受験資格は一切ありません。旅行業未経験の学生や他業種の社会人でも取得できます。旅行が好きで将来旅行業界に転職したい方の「転職準備資格」として取得するケースも多くあります。
まとめ
旅行業務取扱管理者は、旅行業界唯一の国家資格として、旅行会社への就職・転職・独立開業に直結する実用的な資格です。受験資格なし・国内試験は合格率35%前後と挑戦しやすく、段階取得戦略を使えば総合資格も効率的に取得できます。
旅行が好きで仕事にしたい方、旅行業界でのキャリアを本格的に築きたい方は、まず国内旅行業務取扱管理者から挑戦してみましょう。インバウンド需要が拡大する今、旅行業の専門家としての価値はますます高まっています。