リフォーム事業を始めたい、または既に始めている方からよくある質問の一つが「建設業許可って必要なの?」という疑問です。
実際には、工事の内容や金額によって許可が必要になるケースと不要なケースが分かれるため、正確な知識がないまま業務を行うと、後々トラブルや法令違反となる恐れもあります。
この記事では、リフォーム工事における建設業許可の要否の判断基準や、許可取得のメリット・注意点について詳しく解説します。
建設業許可が必要となる金額の基準

建設業法では、一定の規模以上の工事を請け負う事業者には、建設業許可が必要とされています。
● 基本の許可要否ライン(500万円基準)
工事の種類 | 許可が必要となる金額 |
---|---|
建築一式工事 | 税込1,500万円以上(または延床面積150㎡以上の木造住宅) |
その他の工事(内装、設備、外構など) | 税込500万円以上 |
つまり、税込500万円未満のリフォーム工事であれば、原則として建設業許可は不要です。実際、住宅のリフォームは、小規模な工事の工事件数が多い傾向で、500万円未満の工事は約8割と言われます(国土交通省「軽微な工事(リフォーム工事等)に関する対応の検討」より)
よくあるリフォーム工事ごとの判断例
工事の種類 | 許可の要否(目安) |
---|---|
クロス貼替え、畳の入替えなど軽微な内装 | 不要(工事費が安い) |
キッチンやバスの交換、間取り変更 | 金額次第で必要になる場合あり |
全面リフォーム(戸建て・マンション) | 多くは500万円を超えるため要許可 |
太陽光パネル・蓄電池の設置 | 機器代+工事費で500万円超なら必要 |
店舗やオフィスの内装工事 | 商業施設では高額化しやすく、許可が必要になる場合が多い |
元請け・下請けどちらでも許可が必要?
建設業許可は、元請けでも下請けでも、500万円以上の工事を請け負う場合には必要です。「自分は元請けじゃないから」と油断していても、個別に契約した金額が許可基準を超えていれば違反になります。
許可を取得するメリット
● 信用力の向上
顧客や元請け企業に対し、「しっかり許可を持っている=信頼できる業者」という印象を与えられます。
● 受注可能な工事の幅が広がる
規模の大きなリフォーム工事や、法人案件・公共工事の受注も視野に入ります。
● 入札や協力業者登録にも有利
不動産会社やハウスメーカー、工務店などと業務提携を進めるうえでも許可の有無は問われるポイントです。
許可がない場合のリスクとは?

許可が必要な工事を無許可で請け負うと、「無許可営業」となり建設業法違反になります。
- 罰則:3年以下の懲役または300万円以下の罰金
- 再犯や悪質な場合は行政処分(営業停止)もあり
- 元請けが無許可業者に下請けを出した場合も指導対象となることあり
万一の際、元請けからの契約解除や信用失墜のリスクもあるため、慎重な判断が必要です。
許可取得を見据えるタイミングの目安
以下のような場合には、早めに建設業許可の取得を検討するのがおすすめです。
- 工事単価が高く、年間数件で500万円超の案件が出てくる
- 元請けや取引先から許可取得を条件とされた
- 法人化を検討している
許可取得には経営業務の管理責任者や専任技術者などの要件確認も必要なため、計画的に準備を進めましょう。
まとめ|リフォーム業で成長を目指すなら許可取得は必須に
リフォーム業において、建設業許可が必要かどうかは「請負金額」が大きな判断基準となります。軽微な工事だけを扱ううちは不要でも、事業を拡大するにつれて許可の取得は避けて通れません。
建設業許可の取得によって、顧客や元請けからの信用力が向上し、より大きなビジネスチャンスをつかむことも可能です。
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