産業廃棄物収集運搬業許可の取得は、申請すれば誰でも可能というわけではなく、いくつかの要件を満たしている必要があります。特に、講習会を受講し申請時にはその修了証を添付する必要があるなど、要件を満たすために事前の準備が必要な項目もあります。
あらかじめ許可基準を把握し計画的に申請の準備を進めることが重要です。
産業廃棄物収集運搬業の許可基準
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則では、その許可基準について以下のように規定しています。
(産業廃棄物収集運搬業の許可の基準)
第十条 法第十四条第五項第一号(法第十四条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定による環境省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 施設に係る基準
イ 産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること。
ロ 積替施設を有する場合には、産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要な措置を講じた施設であること。
二 申請者の能力に係る基準
イ 産業廃棄物の収集又は運搬を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。
ロ 産業廃棄物の収集又は運搬を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。
許可の基準としては主に2つの観点に分けられます。①施設に係る基準 ②申請者の能力に係る基準となっており、それぞれについて具体的に以下のような形で基準を満たしていることを証明する形になります。
①施設に係る基準
・収集運搬施設(車両・容器等)の確保
産業廃棄物の収集運搬は、飛散・流出及び悪臭が発散するおそれのない方法で行う必要があります。
そのため、飛散・流出及び悪臭が発散するおそれのある産業廃棄物については、収集運搬に適した容器又は車両を使用して収集運搬を行うことが求められ、申請時にはこれらの車両(密閉コンテナ車やダンプ車など、運搬する産業廃棄物によって必要な性能は異なります)の検査証や施設使用承諾書などを提出することで、証明します。
②申請者の能力に係る基準
・講習会の受講と修了証の取得
産業廃棄物の適正な処理を行うための専門知識と技能を習得するため、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)の実施する「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」を修了していることが必要です。
修了する必要があるのは個人申請の場合は申請者本人、法人申請の場合は代表者・役員(監査役及び社外取締役を除く。)又は政令使用人となっています。
許可申請時に修了証の写しを添付することが求められます。
・適切な事業計画の策定
申請時には事業の全体計画や取り扱う産業廃棄物、具体的な業務計画などを盛り込んだ事業計画書の添付が必要になるため、実際の業務を行うにあたっての事業計画を策定している必要があります。
事業計画の策定は業務遂行体制が整っていることを証明するとともに、事業者にとっても事業の見通しを立てる重要なプロセスとなります。なお、計画を立てる際には環境保全に対する措置を盛り込むことも大切です。
・経理的基礎の確保
事業を的確にかつ継続して行うことのできる経理的基礎を有することが必要です。求められる経理的基礎の基準は自治体によって異なりますが、概ね利益を計上できており、債務超過にないことが必要となります。
直近3年分の決算書や納税証明書などを提出し、財務状況を証明します。財務状況によっては追加の書類が必要になる可能性があります。
欠格要件
許可基準を満たしている場合であっても、欠格要件に該当すると許可は受けられません。産業廃棄物収集運搬業許可における主な欠格要件は以下です。
・成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
・禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
・廃棄物処理法、浄化槽法その他生活環境の保全を目的とする法令で政令で定めるものに違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(第31条第7項を除く)及び刑法若しくは暴力行為等処罰ニ関スル法律に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・一般廃棄物収集運搬・処分業の許可、産業廃棄物収集運搬・処分業の許可(特別管理産業廃棄物収集運搬業・処分業を含む)、浄化槽法による許可の取消しを受けてからから五年を経過しない者
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者
・その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
など
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