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第三種電気主任技術者(電験三種)
受験資格
なし
年齢・学歴・実務経験すべて不問
難易度
★★★★
4科目の合格率は近年12〜19%。理数系の難関資格
勉強時間の目安
約1,000時間
前提知識で大きく変わる。4科目そろうまで2〜3年かける人も
合格率
13.0%(2025年度)
上期12.9%・下期13.1%。科目合格は連続5回まで免除
試験日・受験料
年2回(上期・下期)
下期の申込:2026年11月9日〜26日
転職需要
★★★★★
事業用電気工作物の設置者に選任義務
工場・ビル・商業施設・病院・発電所など、高圧で受電する施設(事業用電気工作物)の設置者に選任が義務付けられている電気の保安の専門家が「電気主任技術者」です。その入門・最多取得区分が「第三種電気主任技術者(電験三種)」で、電気設備の保守・監督を担う独占業務資格として、エネルギー業界・製造業・建設業・ビル管理業など幅広い分野で安定した需要を誇ります。
4科目の合格率は2025年度(令和7年度)で13.0%と難関ですが、2022年度から年2回試験が実施されるようになり、さらにCBT方式の導入で受験しやすい環境が整っています。科目別合格制度(最大5回の受験機会)を活用すれば、働きながら計画的に合格を目指せます。
電験三種とはどんな資格か
電験三種(第三種電気主任技術者)は、電気事業法に基づく国家資格です。電気主任技術者には第一種・第二種・第三種の3区分があり、それぞれ保安監督できる電気工作物の電圧範囲が定められています。
| 種別 | 保安監督できる範囲 | 難易度 |
|---|---|---|
| 第一種電気主任技術者 | すべての事業用電気工作物 | 最難関 |
| 第二種電気主任技術者 | 電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物 | 難関 |
| 第三種電気主任技術者 | 電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5,000kW以上の発電所を除く) | 最多取得区分 |
電験三種の対象となる「電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物」には、工場・ビル・商業施設・マンション・病院・学校など、一般的な建物の電気設備の大半が含まれます。これらの電気設備の工事・維持・運用に関する保安の監督は電気主任技術者の独占業務であり、設置者は電気主任技術者を選任する義務があります(条件を満たせば、電気保安法人などへの外部委託も認められています)。
試験の基本情報(2026年度(令和8年度))
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
| 受験料 | インターネット申込:7,700円/郵送申込:8,100円(非課税) |
| 試験回数 | 年2回(上期・下期) |
| 上期試験(実施済み) | CBT方式:2026年7月16日(木)〜8月9日(日)/筆記方式:8月30日(日) |
| 下期の申込み | 2026年11月9日(月)10時〜11月26日(木)17時(原則インターネット) |
| 下期のCBT会場予約 | 2026年12月7日(月)〜2027年1月7日(木) |
| 下期試験日 | CBT方式:2027年2月4日(木)〜2月28日(日)/筆記方式:2027年3月21日(日) |
| 試験科目 | 理論・電力・機械・法規の4科目 |
| 出題形式 | 五肢択一式(筆記方式はマークシート、CBT方式はパソコンで解答) |
| 合格基準 | 科目ごとに合否を判定(合格基準は試験ごとに試験センターが公表) |
| 合格率 | 4科目合格:13.0%(2025年度(令和7年度)) |
| 主催 | 一般財団法人 電気技術者試験センター |
CBT方式は試験期間中の都合の良い日時・会場を選べるため、試験センターもCBT方式での受験を勧めています。日時・会場の選択や変更ができるので、働きながら受験する社会人にとって受験しやすい方式です。
合格率の推移
| 年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2022年度(令和4年度) | 62,571人 | 7,307人 | 11.7% |
| 2023年度(令和5年度) | 52,735人 | 9,894人 | 18.8% |
| 2024年度(令和6年度) | 49,963人 | 8,181人 | 16.4% |
| 2025年度(令和7年度) | 48,942人 | 6,365人 | 13.0% |
※上期・下期の合計。合格率は受験者に対する4科目合格者の割合(試験センター公表の人数から計算)。2025年度は上期12.9%、下期13.1%でした。出典:電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験の試験結果と推移」
4科目の内容と特徴
電験三種は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目で構成されます。各科目の特徴と難易度を把握して学習の優先順位を決めることが、合格への重要な戦略です。
| 科目 | 主な内容 | 特徴・難しさ |
|---|---|---|
| 理論 | 電気回路・電磁気学・電子理論・電気計測 | 最重要かつ最難関。他3科目の基礎。電気数学の理解が必須 |
| 電力 | 発電・変電・送配電・電気材料 | 理論の知識を前提とした計算問題。実務寄りの出題 |
| 機械 | 変圧器・回転機・パワーエレクトロニクス・情報 | 出題範囲が広く最も多様。得点が安定しにくい |
| 法規 | 電気法規(保安に関するもの)・電気施設管理 | 暗記中心だが計算問題も出題。条文の正確な理解が必要 |
「理論」はすべての科目の土台となるため、最初に習得することが合格への最短ルートです。理論を理解しないまま他の科目を学習しても効率が悪く、多くの受験者が理論の壁で苦労します。特に数学(複素数・微積分・行列)への抵抗がある方は、電気数学の基礎から学習を始めることをおすすめします。
科目別合格制度:計画的な3年戦略
電験三種には「科目別合格制度」があり、4科目のうち一部の科目に合格した場合は「科目合格」となり、最初に合格した試験以降、申請により最大で連続5回までその科目の試験が免除されます。試験は年2回なので、およそ3年のうちに残りの科目に合格すれば電験三種の合格となります。
この制度を活用した合格戦略の例を示します。
| 年度 | 上期(7〜8月) | 下期(2〜3月) |
|---|---|---|
| 1年目 | 理論・電力を受験→両科目合格 | 機械を受験→合格 |
| 2年目 | 法規を受験→合格 | (全科目合格・資格取得) |
一度に4科目すべてに合格する必要はなく、自分の学習の進み具合に合わせて科目を絞って対策できます。免除を受けるには、申込みのときに科目免除の申請が必要です。
電験三種で開けるキャリア
ビル管理・施設管理での電気主任技術者
オフィスビル・商業施設・マンション・病院・学校・ホテルなどの施設管理において、電気主任技術者(電験三種保有者)の選任は法律で義務付けられています。ビル管理会社・施設管理会社では電験三種保有者の求人が多く、年齢を問わず応募できる求人もあるため「定年後も活躍できる資格」として注目されています。
電力・エネルギー業界でのキャリア
電力会社・ガス会社・再生可能エネルギー事業者(太陽光・風力・バイオマスなど)では、発電設備・変電設備の保安監督者として電験三種・二種の資格保有者が求められています。太陽光発電所・風力発電所などの再生可能エネルギー設備でも、電気主任技術者が必要です。
製造業・工場での電気主任技術者
大規模な電気設備を持つ工場・製造プラントでは、自家用電気工作物の保安監督のために電気主任技術者が必要です。製造業の電気・設備担当者が電験三種を取得することで、会社内の電気主任技術者として選任され、昇給・昇格につながることがあります。
独立・電気保安法人での外部委託
自社に電気主任技術者を選任する代わりに、電気保安法人(電気保安協会など)に電気主任技術者業務を外部委託することが認められています。電験三種取得後に電気保安法人に勤務し、複数の施設の電気主任技術者業務を担当する働き方も可能です。国の告示で定める実務経験などの要件を満たせば、個人の電気管理技術者として複数の施設と直接契約する道もあります(電気事業法施行規則 第52条の2)。
電験二種・一種へのステップアップ
電験三種取得後に電験二種・一種へのステップアップを目指す方も多くいます。電験二種は大規模変電所・大型工場、電験一種はすべての電気工作物の保安監督が可能となり、大規模インフラ・電力会社などでの活躍の幅が広がります。
難易度・勉強時間の目安
電験三種の4科目の合格率は近年12〜19%程度(2022〜2025年度)と、国家資格の中でも難しい試験です。特に理論科目の電気数学(複素数・ベクトル・微積分)への対応が最初の壁となります。電気・理数系の専門教育を受けた方でも、試験特有の問題形式に慣れるための相当な勉強時間が必要です。
| 前提知識 | 勉強時間の目安 | 学習期間 |
|---|---|---|
| 電気系の専門学校・大学出身・実務経験あり | 500〜700時間 | 1〜1.5年 |
| 理系出身(電気以外)・数学の基礎あり | 700〜1,000時間 | 1.5〜2年 |
| 文系・電気知識ほぼなし | 1,000〜1,500時間以上 | 2〜3年以上 |
合格のための勉強法
Step1:電気数学の基礎を固める
電験三種最大の関門は「理論」科目の電気数学です。複素数・三角関数・指数対数・微積分・ベクトルなど、高校〜大学初年度レベルの数学知識が必要です。電気知識の前に数学が不安な方は、「電験三種 電気数学」などの入門テキストで基礎を固めてから各科目に進みましょう。
Step2:理論科目を最初に集中対策
理論は電力・機械・法規すべての土台となるため、最初に習得することが合格への王道です。電気回路(直流・交流)・電磁気学・電子回路の基本を理解し、計算問題を繰り返し解いて解法を身につけましょう。理論が固まれば電力・機械への学習スピードが上がります。
Step3:科目別合格制度を活用した受験計画
4科目を一度に全合格しようとせず、科目別合格制度を活用した計画的な受験戦略が有効です。例えば1回目の試験では理論・電力に集中し、次の試験で機械・法規を狙う、という分割戦略で着実に合格を積み上げることが現実的な道です。
Step4:過去問の徹底演習
電験三種は過去問から類似した問題が出題される傾向があります。電気技術者試験センターが公式サイトで過去問を公開しているため、過去5〜10年分を繰り返し解いて出題パターンを把握することが合格の近道です。計算問題は「問題を見たら解法が浮かぶ」レベルまで繰り返しましょう。
CBT方式 vs 筆記方式
2023年度からCBT方式が導入され、受験方式を選べるようになりました。
| 項目 | CBT方式 | 筆記方式 |
|---|---|---|
| 試験日 | 期間中(約1ヶ月)の都合の良い日時を選択 | 全国一斉指定日(年2回) |
| 場所 | 全国のCBT試験会場から選択 | 指定試験会場(都道府県ごと) |
| 変更 | 日時・会場の変更ができる(期限は試験センターのCBT案内で確認) | 変更不可 |
| 複数科目 | 科目単位での予約・連続受験が可能 | 1日に全科目受験(上期) |
| 難易度 | 同じ(問題内容・合格基準に差なし) | 同じ |
試験センターはCBT方式を勧めており、柔軟なスケジュール調整が可能なCBT方式は働きながら学習する社会人に特に適しています。
独学 vs 通信講座 vs 資格学校
電験三種は独学で合格する人もいますが、電気数学・理論でつまずく人も多い試験です。電気の基礎知識が少ない方は、動画で解説する通信講座を使うと理論の理解が進めやすくなります。
| 学び方 | 費用の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 独学(市販テキスト+過去問) | テキスト代のみ | 電気・数学の基礎があり、自分で計画を立てられる人 |
| 通信講座(動画・テキスト) | 講座により異なる | 仕事と両立したい人、理論を講義で理解したい人 |
| 資格学校(通学・ライブ) | 通信講座より高めのことが多い | 決まった日に授業を受けて、ペースを保ちたい人 |
講座の内容・費用は時期によって変わるため、申し込む前に各講座の公式サイトで確認してください。
難関資格の通信講座で、電験三種の講座があります。講座の内容・費用は公式サイトで確認してください。
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よくある質問
Q. 文系・電気未経験でも電験三種に合格できますか?
合格している方はいますが、相当な学習時間と覚悟が必要です。特に電気数学(複素数・微積分)が最初の高い壁となります。文系・電気未経験の方は1,000〜1,500時間以上を見込み、電気数学の基礎から丁寧に学習を進めることが重要です。通信講座の電気数学基礎講座や、初心者向けテキストで基礎を固めてから本格学習に入ることをおすすめします。
Q. 電験三種と第一種電気工事士はどう違いますか?
電気工事士は「電気工事の施工作業」を行う資格、電験三種(電気主任技術者)は「電気設備の保安監督」を行う資格です。役割が根本的に異なります。電気工事士が工事を「実施」するのに対し、電気主任技術者は工事が適切に行われているかを「監督」する立場です。両方を持つことで電気分野のオールラウンダーとして評価されます。
Q. 電験三種の資格手当はどのくらいですか?
資格手当の有無や金額は企業によって異なります。電気主任技術者として選任されると別に手当が付く会社もあるため、求人票や社内規程で確認しましょう。
あわせて読みたい:ビルメン・設備の資格
まとめ
電験三種(第三種電気主任技術者)は、事業用電気工作物の設置者に選任義務がある資格として、エネルギー・製造・ビル管理・再生可能エネルギーなど幅広い分野で需要があります。4科目の合格率は2025年度で13.0%と難関ですが、年2回の試験と科目別合格制度(連続5回まで免除)を活用すれば、働きながら計画的に合格を目指せます。次の申込みは2026年度下期(2026年11月9日〜26日)です。
特に理論科目の電気数学が最初の壁となるため、早い段階から数学基礎を固めることが合格への最重要ステップです。電気の保安の専門家として長く働ける資格なので、まずは理論から計画的に始めてみましょう。
※試験日程・受験手数料・合格率は、電気技術者試験センターの公式サイトで確認しています(確認日:2026年10月9日)。最新情報は電気技術者試験センター「第三種電気主任技術者試験」で確認してください。
